メンタルヘルス、最近の傾向と対策

 11月19日に銀座 Blossom Hall で開催された中央統括支部必須研修「メンタルヘルス(社労士としてどうかかわるか)」を聴講してきました。講師は、福武書店を経て臨床心理士をしておられる廣川進先生でした。


1.過労自殺及び過労による精神障害の労災判断指針

 一般に「自殺」は労働者本人による死亡であるため、労災認定されないのが原則です。しかし、「業務による強度の心理的負荷」を原因として重度のうつ病等(気分障害)や重度のストレス障害などを発症していた場合は、その病態としての自殺行為が出現する蓋然性が高いと医学的に認められることから、遺書の有無又は内容に関わらず、原則として業務起因性を認め労災認定される事例が増えています。

(1)対象となる精神障害は、国際疾病分類(ICD-10)で「精神及び行動の障害」に分類されている精神障害です。
(例)うつ病等の気分(感情)障害、ストレス関連障害、神経症性障害、精神分裂病、分裂病型障害、妄想性障害、症状性を含む器質性精神障害など

(2)次に掲げる3つの要件を全て満たす場合に労災認定されます。
① (1)の精神障害が実際に発症していること
② 発症前6箇月間に、客観的にみて、その精神障害を発症させるおそれのある業務による強度の心理的負荷が認められること
③ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因によりその精神障害が発症したとは認められないこと


2.誰でもかかり得るうつ病と実務における対策

 今日では、10人に1人がうつ病を患っているといわれ、心の風邪、捻挫であり、誰もがかかり得る病気という認識です。だからこそ、初動的な職場におけるうつ病対策は、管理職の必須能力になってきています。いわゆるうつ病の場合、外に現れやすい、従って医学や心理学の知識に乏しい管理職にも注意していれば気付くことができる点は、次の3点です。

(1)不眠---入眠困難、早朝覚醒
(2)食欲低下
(3)自責感

 この3つが揃って観察されたら、うつ病を疑い、それとなく医師の診断を勧めます。この段階ならば、医師は内科の家庭医で十分です。なぜなら、医師がうつ病の可能性があると判断すれば、当然専門医の受診を勧めると考えられるからです。


3.非定型うつ病

 問題をさらに困難にしているのは、2で述べたような古典的なうつ病には分類できない症状を発症する非定型うつ病というものも存在していることです。非定型うつ病では、過眠、過食甘食、体重増、他責他罰、社内にいるときだけ抑うつなど、古典的なうつ病とは対照的な症状を見せます。

 このように、多様化するうつ病に対して、会社のできる対応として、次のような点が挙げられます。

(1)個別対応、柔軟な対応
(2)問題の深刻度を見極めたうえでの対応
(3)健康管理と労務管理を混同しない
(4)必要に応じて、ときには親や保証人などを巻き込む

 複雑化し、深刻化する心の健康管理については、今後上記のような対応能力をもった人材を社内で育成する必要性があります。適性のある人材を選定し、中長期的に担当させることを検討するべきです。

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