移民政策の困難さ

 「デフレの正体」(藻谷浩介著)を読んで、我が国で近年顕著に見られる不況に関連した諸現象の根本的な原因は「景気循環では説明できず、生産年齢人口の大量減少によるものである」という主張は、ある程度説得力のあるものだと思いました。そして、この生産労働人口の大量減少の問題は、たった今出生率を大幅に高めることが仮にできたとしても、その成果が表れるのは10年以上も先のことになります。そこで、短絡的に「外国人労働者の受入れ推進」や「移民政策」を主張する人、そこまで積極的ではなくても、「移民を入れるのはやむを得ないこと」と何となく思っている人が少なくないのではないかと想像します。

 しかし、浅草社労士は、学者、芸術家または運動選手など専門的な知識及び技能によって社会に貢献できる外国人の受け入れは積極的に進めるべきだと思う反面、いわゆる3Kといわれる仕事をする移民を受け入れることには明確に反対します。いわゆる3Kとは、「きつい」、「汚い」、「危険」といわれる仕事のことです。そのため、日本人労働者にはそれなりの報酬が補償されるのが通例ですが、低賃金でも働く移民が流入すれば、目先の利益を優先させ外国人労働者、ひいては移民を選好するようになることは目に見えております。3K移民は、本当はただの一人として入れるべきではなく、留学生又は研修生と呼ばれようが実態を見てあらゆる抜け穴はふさいでおくような、しっかりとした法的な手当てが必要なのだと考えています。

 そもそも、世界に積極的に3K移民を受け入れて成功している国があるのでしょうか。元々欧州からの移民によって建国され、原住民族は最早ごく少数になってしまっている米国など、移民政策の上に成り立っている一部の例外的な国を除外すると、今日欧州の主要国がかつての植民地などから大量の移民を受け入れてきたことが、ロンドンやパリといった主要都市を歩いてみると手に取るように分かります。しかし、これらの欧州諸国は、治安の悪化を始め様々な問題を抱えています。サッカーの代表チームの様子などから、英仏に比べ移民はまだ少ない方だと思われるドイツでさえも、移民問題は非常に深刻な問題になっており、先日首相自身が、与党の集会において「多文化主義は失敗したと述べ、論争を呼んでいる。」(産経新聞2010年10月19日)と報じられています。

 報道によれば「旧西独は労働力不足を補うため、1961年からトルコ、ギリシャなどの出稼ぎ労働者を大量に受け入れた。しかし、いずれは帰国するとして、99年に国籍取得条件を緩和するまで積極的な統合政策を怠った。」とあります。とはいえ、ドイツの失業率は、1991年の東西統合後の数字を見ても6~11%もあります。お隣のフランスの場合、1980年からの数字は概ね6~12%です。不況のただなかにあるといわれる今年でさえ5%程度の失業率である我々の感覚からすれば、こんなに失業率が高止まりしているのに、何が労働力不足なのだと思えます。失業率の定義の違い、労働保険制度の違いなど技術的な細かい点について反論の余地はあるのだろうと想像しますが、本質は「3K労働力不足を補うために大量移民を受け入れた」ということだったと思います。

 その結果、どうなったかというと、報道によれば「人口8200万のうち約1600万人が移民か外国出身で、イスラム系は約400万人とされる。しかし、『ドイツは移民国家』であることさえ認めたがらない空気が保守層に強く、最近の世論調査では3割以上が『ドイツは外国人に乗っ取られる』と回答した。」というのがドイツの現在の状態なのです。

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