国民年金の被保険者の種類と年金額

 何かにつけて、昭和60年年金大改正(翌年4月施行)による基礎年金制度の導入は、公的年金制度を分かりにくいものにしていると繰り返し述べてきました。今日は、国民年金の被保険者の種類という切り口で、学んだことを整理してみたいと思います。

1.第1号被保険者

 定義は、日本国内に住居を有する20歳以上60歳未満の者で、第2号被保険者及び第3号被保険者のいずれにも該当しない者、具体的には、自営業者、農業、失業中の人、学生及び年収130万円以上のため配偶者の被扶養者とならない主婦などの方々です。保険料は、平成22年度で1月当たり15100円、今後平成29年度の16900まで毎年引き上げられます。

 年金額は至って単純に計算できます。現在、20歳から60歳までの40年間きっちり保険料を納入された方の場合、792100円ですので、この満額を480月(40年×12箇月)で除した数値に実際に自分が保険料を納めた期間の月数を乗じればよいのです。

 しかし、国民年金制度が発足したのが昭和36年4月であるために、生年月日によって40年間保険料を納めようにもそれができなかった方のために救済措置が取られています。例えば昭和6年4月2日から翌年4月1日までに生まれた人の場合、加入可能年数が30年ですので、満額を480月ではなく、360月で除すことになります。480月適用は、昭和16年4月2日生まれの方からです。

 また、保険料納付済み期間が480月に満たないことで満額受給できない人が、年金額を増やしたいと思ったときのための例外的な手段として、60歳以後65歳まで任意に国民年金の被保険者となる任意加入被保険者の制度があります。


2.第2号被保険者

 第2号被保険者は、被用者年金各法の被保険者、組合員又は加入者とされます。ただし、65歳以上70歳未満の者であって、老齢又は退職を支給事由とする年金の受給権者は、厚生年金保険の被保険者ではありますが、国民年金第2号被保険者からは除外されます。老齢基礎年金は、受給権者と被保険者とを兼ねることは許されないという原則があるのだと思われます。

 大学を卒業して就職した人の場合、学生時代第1号被保険者として20歳到達月からの保険料をきっちりと支払い、就職して第2号被保険者に変わって60歳到達で定年退職した場合、基礎年金は満額の792100円です。それでは、高校を卒業して18歳から働き始め、同じく60歳で定年退職したら、どうなるのでしょう。この方の場合、第2号被保険者であった期間はおよそ42年間です。しかし、この場合も基礎年金は、満額の792100円となってしまいます。これに対して、厚生年金等の被用者年金制度はどのようになるかといえば、従前額保障を考慮すると計算式は以下のA及びBのようになり、両者を合算したものが主要な年金になります。つまり、厚生年金の報酬比例と言われる部分は、70歳まで働けば働くほど年金額は増えていくと考えることができます。

A.平均標準報酬月額(過去の標準報酬を平成6年標準に再評価し、平均したもの)×7.5~10/1000×平成15年3月以前の被保険者月数×1.031×0.985(物価スライド率)
B.平均標準報酬額(過去の賞与を含む標準報酬を平成6年標準に再評価し、平均したもの)×5.769~7.692/1000×平成15年4月以降の被保険者月数×1.031×0.985(物価スライド率)

5%適正化及び従前額の保障



 次に、大学を卒業して22歳で就職した方について考えます。話を分かり易くするために、就職した瞬間に23歳に到達する4月2日生まれの方を想定します。この方が就職した会社を途中で辞めることもなく、再雇用制度も利用して62歳で退職したと仮定します。

 この方が、学生時代の2年間も国民年金の第1号被保険者ですが、未納若しくは学生の納付特例の申請をしていた場合です。この方の年金額は、次のようになると考えられます。

(1)基礎年金=792100×456月÷480月≒752500
(2)厚生年金報酬比例=上記のA+B
(3)厚生年金定額部分=1676円(単価)×1.0×480月×0.985-792100×456(註1)÷480(註2)=39917.8

(註1)昭和36年4月以後で20歳以上60歳未満の厚年の被保険者期間の月数
(註2)加入可能月数

 (1)+(3)がほぼ792100円になるところがミソですが、基礎年金満額とはしないで、あえてこのように考える理由は、この方が学生時代の2年間もしっかりと国民年金保険料を納めていた場合を考えてみれば理解できます。その場合には、次のような計算になるはずです。

(1)基礎年金=792100×480月÷480月=792100
(2)厚生年金報酬比例=上記のA+B
(3)厚生年金定額部分=1676円(単価)×1.0×480月×0.985-792100×456月÷480月=39917.8

 つまり、厚生年金保険の定額部分考慮して計算しているわけですが、これが前述の高卒で就職された方の事例とどこが違うのかということです。同じ理屈で考えてよいのですが、定額部分には報酬比例部分とは異なり、独自の上限が設定されています。この上限は昭和21年4月2日生まれから480月(それ以前生まれは段階的に480月より短く設定)とされているのです。そのため、高卒で就職された方の事例では、厚生年金保険の被保険者期間が480月を超えている期間については、定額部分の対象にならなかったのです。


3.第3号被保険者

 第2号被保険者の配偶者であって、主として第2号被保険者の収入により生計を維持する者のうち、20歳以上60歳未満の者です。被扶養配偶者の認定は、健康保険法等における被扶養者の認定の取り扱いを勘案して、日本年金機構が行うものとされています。具体的には、被扶養者の年収が130万円未満であるかが最も重要な基準になります。また、第3号被保険者の資格取得及び喪失等に関する届出は、第3号被保険者の配偶者である第2号被保険者を使用する事業主又は共済組合などが事業所を管轄する年金事務所で行うことになっています。

 第3号被保険者の要件は、第1号被保険者のように国内居住要件が問われることはなく、第2号被保険者による生計維持要件及び20歳以上60歳未満の年齢要件の2つだけですので、配偶者の海外駐在に伴って非居住者になった場合でも、資格を喪失することはありません。

 年金額は、言うまでもないことですが、国民年金ですので単純に計算できます。極端な設定ですが、18歳で結婚し、その後就職はしないでずっと専業主婦だったという方がいたとします。20歳から60歳までの40年間の保険料は配偶者の所属する被用者年金制度からまとめて拠出されることになっていますので、792100円を480月(40年×12箇月)で除した数値に第3号被保険者であった期間月数(480月)を乗じればよいのです。従って、この事例の場合、792100円の満額となります。

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