第4種被保険者_旧厚生年金任意加入制度

現行の広義の公的年金制度は、1階基礎年金(国民年金)、2階厚生年金、そして3階が企業年金等という構図ががっしりと頭の中に根付いているせいで、かつて国民年金制度と厚生年金保険制度は全く関係のない各々独立した制度だったことがついつい実感できない状態です。おっさんとは言え、社労士としては新進気鋭ということがこういう場面で露見してしまいます。

専業主婦などが第3号被保険者として国民年金の被保険者となった61年改正の時、それまでは別々の制度だった国民年金制度及び厚生年金保険制度が一つの制度に合体させられたわけです。つまり、それまでは別々の制度だったということは、現行制度のように会社を辞めたら厚生年金から国民年金に鞍替えするという発想よりは、会社を辞めても厚生年金制度に残るという方がごく自然で、特に女性が一時的に仕事を辞める状況になったが、落ち着いたらいずれまた働くというような場合を想定すると、厚生年金に任意に残る制度はあって当然というものでしょう。


1.第4種被保険者

現行の厚生年金保険の任意加入制度は任意単独被保険者、高齢任意加入被保険者の2つですが、共に事業所で働いている人が対象です。しかし、昭和61年に廃止になった第4種被保険者は、会社等を辞めた後も厚生年金の被保険者となり続けられる制度です。

旧厚生年金保険法では、老齢年金の受給資格期間は原則として「厚生年金保険の被保険者期間が20年以上」でした。10年以上厚生年金の被保険者期間を有する者は、退職等で被保険者でなくなったときに、老齢年金の受給資格を満たすまでの間、第4種被保険者として任意に厚生年金に加入できたのです。

要件は、退職等で厚生年金の被保険者でなくなった場合に、被保険者の資格を喪失してから6月以内に社会保険庁長官に申出ることです。期間は厚生年金保険の被保険者期間が20年になるまでですが、中高齢の特例により、生年月日により男子40歳以降、女子35歳以降に15年~19年の被保険者期間を満たした場合にはそれまでの期間第4種被保険者となることができます。

昭和61年の年金改正で国民年金も厚生年金も共済年金も全て基礎部分が合体したために、第4種被保険者は原則として廃止された制度ですが、ある程度年齢が上の人や、この第4種被保険者に期待をしていた人たちに対して、いきなり廃止とすると支障がありますので、昭和61年以降もある一定の要件を満たす者は例外的に第4種被保険者になり続けることができることとしました。


2.資格取得要件

昭和61年当時、経過措置とし厚生年金の第4種被保険者の資格を取得することができるための要件ですが、次に該当する者で、厚生年金の被保険者期間が10年以上20年未満であるものが厚生年金の被保険者でなくなった場合、または、厚生年金の被保険者でなくなった後に、引き続いて共済年金に加入したときは、共済組合の加入者の資格を喪失した場合に、厚生年金の被保険者期間が20年に達するまでの間第4種被保険者となり、厚生年金の被保険者となることができました。

(1)昭和61年3月31日に、現に第4種被保険者であった者
(2)昭和16年4月1日以前に生まれた者であって、昭和61年4月1日において厚生年金の被保険者であった者
(3)昭和61年3月31日に65歳以上であるため、被保険者の資格を喪失した者
(4)昭和61年3月31日において、第4種被保険者の資格取得の申出をすることができた者であって、その申し出をしていなかった者が昭和61年4月1日において厚生年金保険の被保険者及び共済組合の組合員でなかったとき
(1)は、明日からいきなり「第4種被保険者はなしね」と言われたらかわいそうだから、(2)は、施行日で45歳以上だし、このくらいの年ならば長年厚生年金に入っていただろうし、第4種被保険者への期待も大きいだろうということ、(3)は、厚生年金の適用が65歳までなので第4種被保険者で被保険者期間を稼ぐしかないということ、(4)は、昭和61年4月1日前、第4種被保険者になろうと思えばまさに今第4種被保険者になれたという人です。つまり、昭和61年4月1日以降に厚生年金の被保険者になった人は、第4種被保険者という概念は一切関係ありません。

第4種被保険者の資格取得の申出は、厚生年金保険の被保険者資格を喪失した日、または共済組合の組合員もしくは私学教職員共済制度の加入者の資格を喪失した日から起算して6月以内に社会保険庁長官に申し出なければなりません。


3.第4種被保険者の資格取得の時期

資格取得の申出が受理された時は、次のいずれかのうち、資格取得希望者が選択した日に第4種被保険者の資格を取得します。

(1)申出にかかる厚生年金の被保険者資格又は共済組合の組合員若しくは私学教職員共済制度の加入者の資格を喪失した日
(2)申出が受理された日

第4種被保険者は任意継続被保険者なのですが、(2)を選択した者には断続もあり得るということです。


4.その他注意事項

(1)第4種被保険者の資格喪失の申出

厚生年金第4種被保険者は、いつでも社会保険庁長官に申し出て、厚生年金の被保険者の資格を喪失することができます。

(2)第4種被保険者の資格喪失の時期

厚生年金第4種被保険者は、次のいずれかに該当するときは、その日の翌日に、⑤、⑥に該当するときはその日に被保険者の資格を喪失します。

①死亡した時
②被保険者期間が20年に達した時、又は老齢基礎年金の特例受給に必要な被保険者期間を満たしたとき(いわゆる中高齢の特例のことで、生年月日に応じて男子40歳以降、女子35歳以降に15年~19年)
③資格喪失の申出が社会保険庁長官に受理された時
④保険料を滞納し、督促状の指定期限までにその保険料を納付しないとき(初めて納付すべき保険料を除く)
⑤当然被保険者又は任意単独被保険者となったとき
⑥共済組合の組合員、または私学教職員共済制度の加入者となったとき
②は、目的達成。また、中高齢の特例により厚生年金の受給資格ができた旧厚生年金のしくみを引き継いでいます。⑤の当然被保険者は、厚生年金の適用事業に使用される被保険者。つまり、第4種被保険者として任意で入っている意味はもうないということです。

(3)第4種被保険者と当然被保険者等の違い

厚生年金の第4種被保険者と、当然被保険者、任意単独被保険者との違いは次のようなものです。

①第4種被保険者となって初めて納付する保険料を納付しなかったときは、初めから第4種被保険者とならなかったものとみなされます。これは厚生年金の高齢任意加入被保険者(事業主の同意がない方)と同じです。
②標準報酬は、第4種被保険者資格取得前の最後の標準報酬によるものとします。
③保険料は、全額本人負担、納付義務を負います。
④毎月の保険料は、その月の10日までに納付しなければなりません。(健康保険の任意継続と同様)
⑤保険料の前納が認められています。(最後の標準報酬というように固定ですので改定はありません)
⑥育児休業期間でも、保険料の免除はありません。
⑦第4種被保険者は、高齢任意加入被保険者となることはできません。

高齢任意加入被保険者の加入目的は年金の受給権確保です。これに対して、第4種被保険者は、あくまで厚生年金の被保険者期間が20年が目的です。老齢基礎年金の25年を満たしていても出て行けとはなりません。一致しているのは中高齢の特例の適用の点です。

コメント

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2010年10月21日 23:49 from -

Re: 質問

Kimi様

回答の送信先確認のメールにご返事がなかったためそのままになっていました。
第4種被保険者が国民年年金の第2号被保険者である限り、その配偶者が年齢、生計維持などの要件を
満たしていれば第3号被保険者です。詳しくは5月9日付け掲載記事をご参照ください。

> 質問です。
> ご主人が、第4種被保険者の期間の時、奥さんを国民年金第3号被保険者にすることが出来るのでしょうか?
> もし、お分かりになりましたら、回答をメール頂ければ幸いです。

2011年05月10日 13:40 from 横手文彦 URL

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