「場合」及び「とき」

4.「場合」、「とき」

「もしも...だったら」という仮定的条件を法律的に表現する場合には、「とき」、「場合」を用います。「とき」は、「時」と漢字を当てると「ある時点」という意味にになってしまい、厳密な意味が変わるので、平仮名で表記します。

それでは、「とき」及び「場合」の使い分けをどのように行うのかという問題です。大きな仮定条件の直後には「場合」を使い、小さな仮定条件の直後に「とき」を使います。たとえば、「××党の代表選挙が行われた場合、ポイント総数の過半数を得た者がいないときは、得票数の上位2名により党所属国会議員による決選投票を行い、得票数の多かった者を当選者とする。」というようになります。


5.「その他」、「その他の」

日常用語としてはどこに違いがあるのかと思われますが、法律用語として使われる場合、その使い方には違いがあります。「その他の」は、「その他の」の前に出てくる言葉が後に出てくる意味や内容の広い言葉の一部であるという関係にあることを示す場合に使われます。一方、「その他」は、「その他」の前にある言葉と後ろにある言葉と並列、対等の関係にあることを示すにすぎません。

たとえば、行政手続法19条1項「聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する。」という条文ですが、「その他」なので、「行政庁が指名する職員」はまず出てくるのです。そして、「政令で定める者」がこの他に存在すれば出てくるということになります。しかし、仮に「その他の」となっていたならば、「行政庁が指名する職員」は、そもそも「政令で定める者」の中に含まれていなければならないことになります。


6.「遅滞なく」、「直ちに」、「速やかに」

いずれも「すぐに」という意味で用いらますが、法律用語としては区別して用いられます。「遅滞なく」は、正当な理由、合理的な理由がない限りすぐに行わなければならないとされています。これに対して「直ちに」は、理由はどうあれすぐに行わなければならない場合に用いられます。「遅滞なく」及び「直ちに」は、すぐに行われなければ義務違反となり、違法となる場合が多いとされるようです。「速やかに」は、訓示的に用いられ、すぐに行われなくても義務違反とはならないができるだけ早く行わなければならないとする場合に用いられます。


7.「みなす」、「推定する」

「みなす」という場合には、法律的にそういうものとして扱いますと決めてしまうことを意味します。一方、「推定する」というのは、一応そういうことにしておきますが、もし反証が上がってきて、事実と違っていた場合には改めますということです。

民法753条(婚姻による成年擬制)は、「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。」と規定しています。これは、年齢からいうと成年ではありませんが、法律上は成年となったと確定してしまい、そのように扱うということです。

また、民法31条に「失踪宣告の効力」の条文があります。これによれば、「前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。」といっています。つまりこれらの失踪宣告を受けた者は、法律的には死亡したものとして扱われることになって、後に生存していることが証明されても確定した法律関係は覆らないということです。しかしながらこの規定の場合には、続く32条(失踪の宣告の取消し)で「失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。」、「2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。」という例外規定が設けられています。

「推定する」の方は、「同時死亡の推定」の規定があり、民法32条の2 「数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。」という規定があります。この規定でも述べているように、実際に反論があり、その反論の方が正しいということになれば、覆ることもあるということです。


8.「善意」、「悪意」

日常用語で用いられるような性格や心理的な意味は全くありません。「善意」とは「事情を知らない」という意味で用いられ、「善意の第三者」のように使います。「悪意」とは、従って「事情を知っている」という意味です。

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