琴光喜解雇問題

朝青龍の傷害事件醜聞にかかわる引退劇といい、今回の琴光喜の問題といい、今年の角界は社労士的に興味深い問題を提供してくれるものだと思うのは小生だけでしょうか。我が国における正社員の解雇を非常に厳しく制限している状況からすると、まだ直感的な判断の段階ですが、琴光喜の請求が認められる可能性が高いのではないかと感じてしまいます。

相撲協会の就業規則に当たるものには、懲戒処分及び懲戒解雇について明確な規定があるのか調べていないのですが、大前提として「ある」と仮定します。そこで、解雇とは使用者と労働者との間の合意で成立している労働契約を使用者側からの一方的な意思表示で解約することであり、通常の退職とはその点が異なります。そのため、労働者を解雇するには、労働基準法や労働契約法により、解雇権の濫用について厳しい制約が課せられているのはご案内の通りです。特に懲戒解雇は、労働者にとって死刑宣告にも擬せられるほどに厳しいものなので、その実施には様々な条件が付きます。重要なのは、「就業規則処分の原則」及び「就業規則該当の原則」で、懲戒解雇処分という処分があることが就業規則に書かれていること、どういうことをしでかしたら懲戒解雇になるか就業規則に具体的に書かれていることが必要なのです。その上で、懲戒解雇に該当する行為と懲戒処分という結果に誰もが納得のいくような相当性がなければならないこと(行為と処分の均衡の原則)、また、日頃から問題行動について必要な注意がなされていたか、本人に弁明の機会が与えられたかなど(処分手続き厳守の原則)といったことも問題になってきます。

刑法犯罪を犯したり、有罪が確定したら懲戒解雇という規定は世間一般の就業規則によく見かける条文ですが、今回、一連の琴光喜の行為がはたして賭博罪で有罪になったのか、寡聞にして存じ上げません。角界はサラリーマンの世界ではないし、その特殊性が十分に考慮されなければならないということは理解できます。しかし、そもそもそのことをあまり強調できない時代の流れのために今回のような問題が顕在化してきたわけですから、普遍的な労使関係の原則論が展開されることになるのではないかとも考えられるのです。

===産経ニュースから引用===

大相撲の野球賭博問題で日本相撲協会から解雇された元琴光喜関(34)=元大関、本名・田宮啓司=は13日、解雇は不当として、同協会に対し解雇の撤回を求める仮処分を東京地裁に申請した。元琴光喜関の代理人が明らかにした。野球賭博問題をめぐっては、同協会は7月4日の臨時理事会で、関与の度合いが濃厚で悪質として、元琴光喜関や大嶽親方(42)=元関脇、貴闘力、本名・鎌苅忠茂=の解雇を決めていた。解雇は除名に次ぐ重い処分で、現役の大関が解雇されたのは初めてだった。

===引用終わり===

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