改正育児・介護休業法復習

社会保険労務士会台東支部の研修旅行で熱海に行って参りました。一泊だけで翌朝には解散のわずかな時間でしたが、環境が変わり普段あまり経験しないことの連続でしたので、随分と長い時間が流れたような錯覚を少し感じました。熱海も酷暑ではありましたが、風光明媚な海が見える環境のせいか多少はしのぎ良いような気がします。研修旅行を企画し、成功させるために尽力された役員の皆さんに感謝申し上げます。

本年6月30日施行の改正育児・介護休業法は、改正の内容が複雑なため、就業規則の手直しによる対応などもそれなりに難しい仕事になります。今回の改正の中で、父親の育児休業の促進ということが改正の大きな目的の一つになっています。そのための具体的な改正点として、次の3点が挙げられます。また、今回の改正点の一部について、常時100人以下の労働者を雇用する事業主については平成24年6月30日までその施行を延期する措置が取られていますが、父親の育児休業の促進に関する3点については、中小企業についても原則通り適用されます。


1.労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止

配偶者が専業主婦(夫)であれば、労使協定を締結することによって育児休業の取得ができないとすることができる制度が廃止されました。


2.産後8週間以内の父親の育児休業取得促進

父親が出産後8週間以内に育児休業を取得した場合、再度育児休業を取得することが可能になりました。
改正前は、育児休業を取得した場合、配偶者の死亡等の特別な事情がない限り、再度の取得はできないとされていました。改正法では、配偶者の出産後8週間以内の期間内に取得された最初の育児休業については、特別な事情がなくとも、再度の取得が可能になりました。
特例の対象となる期間は、原則として出生日から8週間後までの期間ですが、(1)出生予定日前に子が生まれた場合、出生日から出産予定日の8週間後まで、(2)出産予定日後に子が生まれた場合、出産予定日から出生日の8週間後までとなります。

産前の6週間、産後の8週間の休業については、労働基準法65条に規定があります。しかし、より具体的な期間の算出については、健康保険法の出産手当金についての規定の方が分かりやすいと思います。「出産の日(出産の日が出産の予定日後である時は出産の予定日)以前42日、出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間」という規定になっていますので、産後の8週間とは、出産日の翌日又は出産予定日の翌日から56日目までということになります。つまり、本日9月7日(火)に予定通り生まれた場合、期間は9月7日(火)から11月2日(火)までということになります。(1)もし予定日が9月8日(水)だったとすると、9月7日(火)から11月3日(水)までの期間になり、(2)予定日が9月6日(月)だった場合には、9月6日(月)から11月2日(火)までの期間ということでよいのでしょう。

なお、就業規則の修正は、以下のような感じになります。
「育児休業の申出は、以下のいずれかに該当する場合を除き、一子につき1回限りとする。ただし、産後休業をしていない従業員が、子の出生日又は出生予定日のいずれか遅い方から8週間以内に取得した育児休業は、1回の申出とみなさないことができる。」


3.パパ・ママ育休プラス

父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2箇月までの間に、1年間の育児休業を取得することが可能とされました。(しかし、「パパ・ママ育休プラス」とは、通称にしてもセンスが宜しくないのではと思います。)

パパ・ママ育休プラスの効果を得るための要件は、次の通りです。個別の事案によっては少々複雑な話にもなりますが、とにかく3要件を当てはめて、可否を判定します。
(1)パパ・ママ育休プラスを取得する予定の親の配偶者がこの1歳到達日以前のいずれかの日において育児休業を取得している。
(2)パパ・ママ育休プラスを取得する予定の親の育休開始予定日が子の1歳到達日の翌日後ではない。
(3)パパ・ママ育休プラスを取得する予定の親の育休開始予定日が配偶者が取得している育休の初日前でない。

(具体例)
子の出生日 :      2010年10月10日(日)
1歳到達日 :       2011年10月 9日(日)
1歳到達日翌日:    2011年10月10日(月)
1歳2箇月到達日:   2011年12月 9日(金)

(例1)

母親 産後8週間    育児休業        10月9日
    ------>---------------------->

父親            育児休業   10月10日開始日 12月9日終了日
                                 ------->

(例2)

母親 産後8週間    育児休業   9月9日
    ------>------------->

父親            育児休業    9月20日開始日 12月9日終了日
                              ------------>

(例3)父親が産後8週間以内に育休を取っている場合、次のようなことも可能になる。ただし、母親の育児休業期間は、出生日以後の産前・産後休業期間を含む1年間です。

母親 産後8週間    育児休業        10月9日
    ------>           ------------------>

父親            育児休業   10月10日開始日 12月9日終了日
     ------->                      ------->


なお、就業規則の修正は、以下のような感じでしょうか。
「従業員はその配偶者が、当該従業員の取得する育児休業の開始日と同日から、又は育児休業開始日前に育児休業を取得している場合には、従業員は子が1歳2箇月に達するまでの間で、出生日以後の産前・産後休業期間及び育児休業期間との合計が1年を超えない期間を限度として、育児休業を取得することができる。」


4.パパ・ママ育休プラスと1歳6箇月までの育児休業

パパ・ママ育休プラスとして1歳到達日後1歳2箇月までの育児休業を取得している場合でも、次の要件を満たせば1歳6箇月までの育児休業の延長ができます。

(1)本人又は配偶者が子の1歳到達日後の育児休業終了予定日において育児休業していること。
(2)子の1歳到達日後、保育所に入れないなどの要件を満たしていること。
(2)の要件についは、申出時点で判断される訳ですが、その後入園が可能になった場合、要件には該当しなくなるわけで、この時点で育児休業期間は終了ですが、労働者が申出を自主的に行なわなかったとき、雇用保険法の育児休業給付、健康保険法の育児休業期間中の保険料免除の問題も含め、かなりややこしいことに発展します。最初に労働者に対する明確な説明することと同時に誤りが起こらない就業規則の整備が絶対に必要だと思われます。

(例4)

母親 産後8週間    育児休業        10月9日 12月10日開始翌年4月9日終了日
    ------>---------------------->       ------->

父親            育児休業   10月10日開始日 12月9日終了日
                                 ------->

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