解雇予告の30日前の数え方

 労働基準法第20条1項は、「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前に解雇予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなけらばならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においてはこの限りでない。」と規定しています。言うまでもなく、使用者に課せられた解雇予告を定めた規定です。雇用契約を定めた民法627条1項の「解約の申入れ日から2週間経過」による期間の定めのない雇用契約の解約を労働者保護の観点から修正したものといえます。

 この30日以上前の解雇予告について実際にはどのように扱うのか、約1箇月と感じはつかんでいても、実務となると後でもめないためにも正確を期す必要があります。


1.解雇の日

 「○○日を以て解雇する」という日が解雇の日です。これでも、解雇の日から会社に来ないのか、それとも、その翌日から会社の籍がなくなるのか迷う気もしますが、定年退職などの状況を思い出すと、退職日が月末だとするとその翌日(翌月1日)から来なくなります。つまり8月31日が解雇の日とすれば、この日は最後に会社に出社する日ということでよいのではないかと思います。

 解雇の日が日曜日や国民の祝日などに該当する場合でも、解雇は特段の取引などとは関係のない行為ですので、民法142条の適用はなく、その日を以て解雇されると考えます。


2.解雇予告日

 そこで、解雇の日を8月31日と定めると、解雇予告をいつにすれば30日以上前にという要件を満たすことになるかです。ここで注意しなければならないことは、法律上の期間の計算方法です。これについては民法に規定があります。民法140条は「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」と言っています。また、141条は、「期間は、その末日の終了を以て満了する。」と定めています。

 つまり、8月31日から遡って30日間とは、8月2日から8月31日までです。そして、8月2日から30日間に算入するためには、解雇予告を遅くとも8月1日には行っていなければなりません。

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8月1日(8月2日←―――  30日間  ―――→8月31日)


3.解雇予告の撤回

 解雇予告をしておいて、一方的にこれを撤回することはできないものと考えるのが妥当です。民法540条は契約の解除権行使について、「契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。」、2項「前項の意思表示は、撤回することができない。」と規定しているからです。

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