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人類学と大相撲と移民政策

 東京都社労士会の平成30年度前期必須研修、中央統括支部は、ほとんどしんがりといっていい11月14日の開催でした。お題は、「多様な人材が活躍できる環境整備」ということで、武蔵野大学、東京家政大学などで非常勤講師をなさっておられる、笹川あゆみ先生による講義を拝聴いたしました。講義に先立って、先生と少し話をする機会があり、先生の専門が人類学となっていたので、そのことをお尋ねいたしました。そこで、人類学は、英米などが植民地広げていく中で、その経営を進めて行くに当たり、現地の人々の歴史、文化、風習などを研究する必要が生じたことをそもそもの契機として発展してきた学問であるという趣旨のお話がありました。

 そのような下地があったので、先の大戦の際にも、米国は敵国である日本の研究を十分すぎるほどに行っていた一方で、我が国は、野球をするのにもストライクやボールまで敵性外国語として日常生活から排除しようとしたのが象徴的ですが、敵の研究を禁忌にしてしまったというような話をされておいででした。戦前の日本は、支那大陸、朝鮮半島、台湾、または、信託統治となっていた南洋諸島などについて、その歴史、文化、風習などの研究をかなりしっかりと進めていたはずで、そのような真っ当な姿勢が、昭和初期の世界経済の混乱に巻き込まれたことと外交政策でこれでもかというほど失敗を重ねたことで、いつのまにか国際社会を敵にまわした戦争を始めてしまい、英語を敵性言語として排除するといった常軌を逸した状況に至ったことは、どうにも理解できかねる点でした。

 とはいえ、理性よりは感情に支配されるのが、そもそも人間の本性であるようです。その上、日本人や英国人のような島国に暮らす民族には、独特の島国根性といい得る何かがDNAに刻まれているようで、ときとして、それが良い方に出ることもあり、逆に悪い方に出たりすることがあるものです。

 昨年は、元横綱日馬富士による貴ノ岩関への暴行事件などが勃発した大相撲界でしたが、今年に入ってからも混乱は止まるところを知らず、貴乃花親方が遂に相撲界を去ることに至ってからまだ2箇月ほどしかたっておりません。そんなこんなで、モンゴル出身の2横綱が休場する中で迎えたのが、本年最後の場所となる九州場所です。横綱としての進退をかけた先場所で辛うじて10勝を挙げ、九州場所が本格的な再起の場所と期待された日本人横綱でしたが、初日からまさかの4連敗でまたもや休場となってしまいました。しかし、横綱審議会その他からは、引退勧告の声は今のところ一切聞こえてきません。大相撲は、国技ですから、日本人横綱を応援する人が多くて当たり前、あらゆる場面で多少の贔屓が出てしまうことは仕方のないことだと思います。しかし、一連の稀勢の里関に対する角界関係者の処遇は、過ぎたる優遇措置であり、二重基準と映ってしまいます。長い年月をかけて先達たちが築き上げてきた横綱の権威を、この時代に崩してしまうことは、長期的視点からは、やはり間違っているのではないかと思えてならないのです。

 こじつけといわれるかもしれませんが、大リーグでは、今季の新人王に大谷翔平選手が選出されていますが、大相撲とは対照的な印象を受けます。通常の年であれば、新人王間違いなしであろうといわれ、打率.297、27本塁打、92打点の成績を残したヤンキースのアンドゥハー内野手がいたのにもかかわらず、大谷という外国人選手の試みた二刀流を歴史的偉業と評価して新人王を与えた巨大な島国アメリカに、その懐の深さを感じないわけにはいきませんでした。

 相撲は、日本人にとって単なるスポーツにおさまらない、神事という性格を宿しているものです。相撲界がここまで乱れてくるのには、何か理由があるのかもしれません。外国人力士の人口が増えるにしたがって、日本人横綱が絶えてしまい、大相撲への関心が薄らぐことを恐れた協会があたふたとおかしなことをやっているという解釈もできそうです。今臨時国会において移民政策に揺れる日本ですが、国内に力士のなり手が少ないからと大量に外国人を受け入れた結果がいまの角界の有様です。よほどの覚悟も持たず移民政策を採用すれば、早晩取り返しのつかないことになることを、今日の角界の現状が証明してくれているのかもしれません。

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