寡婦年金及び中高齢の寡婦加算

遺族年金の知識は、時に混乱することもあるので、今回は、遺族基礎年金の制度である寡婦年金と遺族厚生年金側の中高齢の寡婦加算についてまとめておきます。

1.寡婦年金

(1)寡婦年金とは
寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者に対する独自の遺族給付制度です。第1号被保険者の妻が遺族になった場合に、当該妻が60歳から65歳になるまでの期間、自分の老齢基礎年金が支給されるようになるまでのつなぎの期間に支給される遺族給付制度と考えられます。第1号被保険者とは、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人で、第2号被保険者、第3号被保険者に該当しない被保険者です。具体的には、自営業者、農業従事者、失業者、学生、年間収入が130万円以上のため被扶養配偶者になれない主婦(夫)などの被保険者が該当します。

さて、ここで60歳から65歳の国民年金任意加入保険者期間はどうなるのだろうと思ったのですが、この期間は厳密には第1号被保険者期間ではありません。国民年金の第1号被保険者の定義から、そのことは明らかです。しかし、法附則5条9項によって65歳未満の任意加入被保険者としての被保険者期間については、第1号被保険者としての被保険者期間とみなされます。

(2)支給要件

寡婦年金を受給するためには、次の要件を全て満たしていなければなりません。

 ①死亡した夫の要件
 A.死亡日の前日において、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間との合算期間が25年(昭和5年4月1日以前に生まれた者の21年~24年の期間短縮特例あり)以上である夫であること。
 B.障害基礎年金の受給権者であったことがないこと。
 C.老齢基礎年金の支給を受けていないこと。

 ②妻の要件
 A.夫の死亡当時夫によって生計を維持していたこと。
 B.夫と婚姻関係又は事実上の婚姻関係が10年以上継続していたこと。
 C.65歳未満であること。

(3)年金額及び支給開始時期
年金額は夫の第1号被保険者期間に応じて支給される老齢基礎年金の年金額の四分の三相当額です。夫の死亡当時60歳以上の妻については、夫の死亡日の属する月の翌月から、また、夫の死亡当時60歳未満の妻については、60歳到達の日の属する月の翌月から支給されます。

(4)支給停止及び失権
 
 ①支給停止
 夫の死亡について労働基準法の遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間、支給停止される。

 ②失 権
 A.65歳に達したとき。
 B.死亡したとき。
 C.婚姻したとき。
 D.直系血族又は直系姻族を除く者の養子になったとき。
 E.繰り上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したとき。

(5)併給調整
同時に遺族基礎年金の受給権と寡婦年金の支給要件を満たす妻は、そのうち1つを選択し、他の年金は支給停止されます。そして、遺族年金の受給権が消滅したとき、妻の年齢が65歳未満である場合には寡婦年金が支給されます。


2.中高齢の寡婦加算

(1)中高齢の寡婦加算とは
遺族基礎年金は子のある妻にしか支給されないので、子のない妻は遺族厚生年金だけの支給となってしまいます。これを補う厚生年金保険制度の仕組みが中高齢の寡婦加算と呼ばれる制度です。

(2)支給要件

 ①死亡した夫の要件
 老齢厚生年金の受給権者又は受給資格期間を満たしている者(長期要件に該当する者)が死亡したとき、厚生年金の被保険者期間の月数が240(中高齢の特例あり)月以上であること。短期要件に該当する者の場合には、240月要件はない。

 ②妻の要件
 A.遺族厚生年金の受給権を取得した当時、35歳以上65歳未満であること(且つ、遺族基礎年金の受給権が無いこと)
 又は、
 B.遺族厚生年金の受給権を有し、35歳に達した当時、遺族基礎年金の支給要件に該当する子と生計を同じくしていた妻で、子が遺族基礎年金の支給要件に該当しなくなったことにより遺族基礎年金の受給権を失った者

(3)年金額及び支給開始時期
加算額は、現在594200円です。40歳又は40歳以降に(2)②妻の要件に該当した時はその時から65歳に達するまでの間遺族厚生年金に加算して支給されます。

(4)経過的寡婦加算
中高齢の寡婦加算は、対象となっている妻自身が65歳に達すると遺族厚生年金の他に、自分の老齢基礎年金が支給されるようになるので、加算がなくなります。

しかし、昭和31年4月1日以前生まれの妻については、昭和61(1986)年4月1日以後その者が60歳に達するまでの全期間を国民年金に加入していた場合でも、施行日前に任意加入などをしていなかったとすると、老齢基礎年金の額が中高齢の寡婦加算の額より低額になることがあります。これを防止するため、65歳到達以降も経過的に遺族厚生年金の額に妻の生年月日に応じた金額を上乗せして支給しています。昭和30年4月2日~31年4月1日生まれの妻の場合の19900円から昭和2年4月1日以前生まれの594200円まで、妻の生年月日に応じて加算額は段階的に若い年齢層ほど少ない加算額になります。昭和31年4月2日以降に生まれた者には、経過的寡婦加算の制度は適用されません。

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