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技能実習制度の拡充と外国人労働者

 以前から氣になっていた問題とその関連記事を改めて紹介します。本年4月11日付け日本経済新聞電子版に「外国人、技能実習後も5年就労可能に 本格拡大にカジ 」という記事が掲載されておりました。我が国は、これまで外国人労働者は、専門的な技術や技能を持った高度人材を除き、原則受け入れないというのが建前でした。一方で、技能実習制度と言うのがありましたが、これは学んだ技術を母国に伝えることが前提で、労働者とはみなされないというのが建前でしたので、経験を積んだ人材も実習後に国外に退去しなければならないということでした。では、近年よく見かけるようになったコンビニの外国人店員は、どういう資格で働いているのかというと、留学生資格で入国してきた外国人に認められている限られた時間でのアルバイトということのようです。

 しかし、そんな建前も生産年齢人口の急激な減少傾向がみられるようになってから、なし崩し的に消滅させられていくかのようです。記事は、昨年11月に新たな法律で緩和されたばかりの技能実習制度に「特定技能(仮称)」という新たな資格を新設することで拡充することで、本来の目的とは離れた実質的な外国人労働者、しかも単純労働に従事する外国人労働者の受入れにつながっていく制度であることを伝えています。記事の要点は、次の通りです。

1.政府は2019年4月にも外国人労働者向けに新たな在留資格をつくる。最長5年間の技能実習を修了した外国人に、さらに最長で5年間、就労できる資格を与える。試験に合格すれば、家族を招いたり、より長く国内で働いたりできる資格に移行できる。5年間が過ぎれば帰国してしまう人材を就労資格で残し、人手不足に対処する。外国人労働の本格拡大にカジを切る。

2.政府は今秋の臨時国会にも入国管理法改正案を提出し、来年4月にも新制度を始める方針だ。

3.新設する資格は「特定技能(仮称)」。17年10月末で25万人いる技能実習生に、さらに最長5年間、就労の道を開く。技能実習は農業や介護などが対象。新設する資格とあわせれば、通算で最長10年間、国内で働き続けることができる。新資格で就労すれば技能実習より待遇がよくなるため、技能実習から移行を希望する外国人は多いとみられる。政府は少なくとも年間数万人は外国人労働者が増えるとみている。農業、介護、建設など人手不足の業界を対象にする。

4.技能実習制度とその本来の目的は維持するため、新資格は一定期間、母国に帰って再来日した後に与える。外国人の永住権取得の要件の一つに「引き続き10年以上の在留」がある。いったん帰国してもらうため、技能実習と新資格で通算10年を過ごしても、直ちに永住権取得の要件にはあたらないようになる。

5.新資格の保有者は、より専門性が高い在留資格に変更できるようにする。専門技能を問う試験に合格すれば、海外の家族の受け入れや、在留期間の更新ができる既存の資格に切り替えられる。

 技能実習制度の枠組みで入国してきた外国人に、専門技能を問う試験に合格という条件はつけるものの、専門的技術・技能を持った例外的な外国人労働者になる道を開き、家族も呼び寄せられるとなると、外国人労働者受入れ、移民受入れに舵を大きく切ることになります。欧州諸国では、多文化共生政策が完全な失敗に終わり、移民受け入れに厳しい制限をかけようとしているまさにこの時期に、何を勘違いしてこういう政策を導入するのか、大きな疑問符が付くと浅草社労士は考えています。

 記事は、「国内では25年度に介護職員が約38万人不足する見込み。農業人口はこの10年で約4割減り、人手不足が深刻だ。」と外国人労働者を受け入れる理由にも言及しておりますが、外国人労働者を受け入れた場合の潜在的な経済的又は社会的損失の大きさについて触れることはありません。しかし、それらが既に顕在化している欧州諸国の諸事情は、折に触れ報道されるようになっては来ております。もはや、我が国でも外国人労働者の流入に歯止めをかける国民的な議論が必要な時期にさしかかってきたように思えます。何せ、この問題の深刻なところは、一旦入れてしまうと、よほどのことがない限り、出国してもらうことが難しくなる一方になるからです。

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