遺族基礎年金及び遺族厚生年金の基礎

 遺族年金の知識は、時に頭が混乱することもあるので、遺族基礎年金及び遺族厚生年金の基礎をまとめてみました。


1.遺族基礎年金

(1)支給要件
 国民年金の被保険者が死亡した場合、死亡した人の要件、遺族の要件、保険料納付要件の3つの要件を適宜満たしていることが必要です。

 ①死亡した人の要件
 死亡した人が、次のいずれかに該当する必要があります。さらに、A及びBについては、保険料の納付要件を満たすことが必要です。
 A.国民年金の被保険者 
 B.国民年金の被保険者であった者で日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者
 C.老齢基礎年金の受給権者
 D.老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者(受給資格者)

 ②遺族の要件
 遺族とは、死亡した者によって生計を維持されていた
 A.子のある妻、及び、B.子 です。
 「生計維持」とは、死亡当時その人と生計を同一にしていた人であって、年収850万円以上の収入を将来にわたって有すると認められる人以外の人です。
 ここでいう「子」とは、18歳到達年度末日までの子又は障害等級1級又は2級の障害の状態にある20歳未満の子で、現に婚姻していない子を言います。

 ③保険料納付要件
 ①死亡した人の要件でA又はBに該当する場合、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、死亡日前日に、次の保険料納付要件を満たしていることが必要です。
 A.保険料納付期間(20歳未満及び60歳以後の納付済み期間を含む)と保険料免除期間とを合算した期間がその被保険者期間の三分の二以上あること。すなわち、保険料滞納期間が全体の三分の一を超えていないこと。
 B.死亡日が平成28年4月1日前の場合は、Aの要件を満たしていなくても、死亡日の属する月の前々月までの1年間のうち保険料未納の被保険者期間がないこと。
 註)「死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるとき」とは、「死亡日前に保険料を納付しなければならない期間があるとき」という意味です。国民年金(厚生年金も)の保険料の納付期限は、翌月末日とされ、前月の保険料はまだ保険料納付期限に到達していないのです。

(2)遺族基礎年金の金額

 ①子のある妻
 子のある妻に支給される遺族基礎年金の額は、現在792100円でこの数により加算される仕組みです。加算される額は、子が1人の場合227900円、2人の場合455800円、3人の場合531700円です。

 ②子に支給される場合
 子に支給される遺族基礎年金の額は、子が1人の場合792100円、子が2人の場合792100円に227900円が加算され、子が3人の場合792100円に227900円及び75900円が加算されて支給されます。

(3)遺族基礎年金の支給停止

 ①労働基準法上の遺族補償が行われるべきものである時には、死亡日から6年間支給を停止する。
 ②子に支給される遺族基礎年金は、妻が遺族基礎年金の受給権を有するとき、又は、その子が父若しくは母と生計を同じくしているときは、その間支給を停止される。
 ③妻に支給される遺族基礎年金は、妻の所在が1年以上不明な場合には、受給権を有する子の申請によって、所在不明になった時に遡って支給が停止される。
 ④子に支給される遺族基礎年金は、受給権者である子が2人以上いる場合で、その内1人以上の子の所在が1年以上不明な場合には、その子に対する遺族基礎年金は、他の子の申請によって、所在不明になった時に遡って支給が停止される。

(4)遺族基礎年金の失権

 ①妻及び子共通
 A.死亡
 B.婚姻
 C.養子になった時(直系血族又は直系姻族の養子になった場合を除く)

 ②妻
 子に該当する者がいなくなったとき
 
 ③子
 A.離縁によって死亡した者の子でなくなったとき
 B.18歳に到達した日以後最初の3月31日が終了したとき(障害の状態である場合を除く)
 C.障害等級1級又は2級の障害の状態にある子について、その状態が止んだ時(18歳に到達した日以後最初の3月31日までの間にある場合を除く)
 D.20歳に到達したとき


2.遺族厚生年金

(1)支給要件
 厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者が死亡した場合、死亡した人の要件、遺族の要件、保険料納付要件の3つの要件を適宜満たしていることが必要です。

 ①死亡した人の要件
 死亡した人が、次のいずれかに該当する必要があります。さらに、A及びBについては、保険料の納付要件を満たすことが必要です。
 A.厚生年金保険の被保険者(短期) 
 B.厚生年金保険の被保険者資格喪失後、被保険者期間中に初診日がある傷病によって初診日から5年以内に死亡したとき(短期)
 C.障害等級1級又は2級の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したとき(短期)
 D.老齢厚生年金の受給権者又は受給資格期間を満たしている者が死亡したとき(長期)

 ②遺族の要件
 遺族とは、死亡した者によって生計を維持されていた
 A.配偶者、及び、 
 B.父母
 C.孫
 D.祖父母 です。

 「生計維持」要件は基礎年金と同様です。また、「子」及び「孫」とは、18歳到達年度末日までの子又は障害等級1級又は2級の障害の状態にある20歳未満の子で、現に婚姻していない子及び孫を言います。妻以外の夫、父母、祖父母については、55歳以上の年齢制限があり、また、支給開始年齢は60歳からとされています。

 死亡日が、平成19(2007)年4月以降の場合、夫の死亡時30歳未満の子のない妻に支給される遺族厚生年金は、5年間の有期給付(30歳前に遺族基礎年金の受給権がなくなった場合はその時点から5年間)とされることになりました。
 
 ③保険料納付要件
 ①死亡した人の要件でA又はBに該当する場合、遺族基礎年金と同様の国民年金保険料納付要件を満たす必要があります。

(2)遺族厚生年金の金額

 遺族厚生年金の年金額は、報酬比例部分の年金額の4分の3に相当する額です。現状では次のように算定されます。

 ①平成15年3月までの総報酬制導入以前
 平均標準報酬月額(平成6年改正の再評価率)×(1000分の7.5)×被保険者期間の月数

 ②平成15年4月以降の総報酬制導入後
 平均標準報酬額(平成6年改正の再評価率)×(1000分の5.769)×被保険者期間の月数

 (①+②)×1.031(従前額改定率固定)×0.985(スライド率)×(4分の3)

 (1)①死亡した人の要件A~Cの短期要件に該当する場合、被保険者期間が300月未満では、それぞれの期間における被保険者期間に基づいて年金額を計算し、求めた年金額を全被保険者期間で除して得た数値に300を乗じて300月に換算した得た額を年金額とします。Dの長期要件の場合には、平均標準報酬月額についての1000分の7.5については1000分の10~7.61及び及び平均標準報酬額1000分の5.769については1000分の7.692から5.854の死亡した者の生年月日に応じた読替えを行います。読替えが行われるのは、平成21年4月1日以前に生まれた者についてです(参照:5%適正化及び従前額の保障)。

(3)遺族厚生年金の支給停止

 ①労働基準法上の遺族補償が行われるべきものである時には、死亡日から6年間支給を停止する。
 ②夫、父母、又は、祖父母の年金は、60歳に到達するまで支給停止される。
 ③子に支給される遺族厚生年金は、妻が遺族厚生年金の受給権を有する間支給停止される。但し、所在不明及び遺族基礎年金の受給権が無い(妻と子が生計を同一に入していない場合)等で妻が支給停止されているときは、子の年金は支給停止されない。
 ④妻に支給される遺族厚生年金は、遺族基礎年金の受給権が無く子にあるときには、支給停止される。但し、子が所在不明のときは支給停止されない。
 ⑤夫に支給される遺族厚生年金は、子に受給権があるときには、支給停止される。但し、子が所在不明のときは支給停止されない。
 ⑥その他所在不明の場合等は支給停止される。

(4)遺族厚生年金の失権

 ①共通
 A.死亡
 B.婚姻
 C.養子になった時(直系血族又は直系姻族の養子になった場合を除く)
 D.離縁によって死亡者との親族関係が終了したとき

 ②父母、孫、又は祖父母
 死亡当時、胎児であった子が出生したとき、父母、孫、又は、祖父母についての遺族厚生年金は失権します。

 ③子(又は孫)
 A.離縁によって死亡した者の子でなくなったとき
 B.18歳に到達した日以後最初の3月31日が終了したとき(障害の状態である場合を除く)
 C.障害等級1級又は2級の障害の状態にある子について、その状態が止んだ時(18歳に到達した日以後最初の3月31日までの間にある場合を除く)
 D.20歳に到達したとき

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