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裁量労働制の論点

 働き方改革関連法案が議論されている国会で、俎上に上せられているのがいわゆる「裁量労働制」です。今回の法案で、広義の裁量労働制がらみと思われるのは、これまでもあった企画業務型裁量労働制をより柔軟に適用できるように改正しようというものと、特定高度専門業務・成果型労働制の新設の二つです。そのうち、裁量労働制で働いている労働者の勤務時間に関する調査内容に不備があったとして、今回の法案の中から削除されることになったのが企画立案型裁量労働制を拡充する内容の改正案です。

 企画立案型裁量労働制の拡充というときの要点は、次の2つの業務を対象業務として追加するということです。
(1)事業の運営に関する事項について繰り返し、企画・立案・調査・分析を主として行うとともにこれらの成果を活用し、当該事業の運営に関する事項の実施状況の把握・評価を行う業務
(2)法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査・分析を主として行うとともに、これらの成果を活用し、当該顧客に対して販売・提供する商品・役務を専ら当該顧客のために開発し、当該顧客に提案する業務(主として商品の販売・役務の提供を行う事業場において行う場合を除く)

 何ともわかりにくい定義で、具体的にどういう業務が該当するのか、想像するのも困難です。私見ですが、裁量労働制とは、仕事の内容や就労時間が事業主の意思によって左右されろことになじまず、労働者自身の裁量にゆだねられているとした方が常識の範囲内で適当とみなされる業務というようなことではないでしょうか。すぐに想起されるのが、専門職型裁量労働制の方に入る「新聞社や通信社の記者」などです。

 問題は、裁量労働制を違法に拡大適用して、時間外手当を支払わずに労働者を長時間働かせる方便にするような悪徳経営者を世にはびこらせることにつながるのではないかという懸念です。過去に起こった問題事案を新聞が伝えています。

=== 日本経済新聞電子版 平成30年3月5日 ===

 裁量労働制を不当に適用し、労働基準監督署から是正勧告を受けていた野村不動産で、50代の男性社員が長時間労働が原因で自殺し、労災と認定されていたことが4日、分かった。男性は裁量労働制を不当に適用されていた社員の一人だった。

 男性は2016年に自殺。勤務記録などを労基署が調べたところ、自殺前の1カ月の残業時間が180時間を超えていたという。労基署は長時間労働による過労が原因の自殺と判断し、17年12月に労災認定した。

 野村不動産は、本来企画立案などの業務が対象の裁量労働制を営業活動を担当する社員に不当に適用。残業代未払いや違法残業などがあったことから17年12月、東京本社や関西支社など全国5事業所が労働基準監督署から是正勧告を受けた。このとき東京労働局は社長に対し、是正の特別指導をする異例の対応を取った。社員約1900人のうち自殺した男性を含む約600人に裁量労働制を適用していたという。裁量労働制は労働者の裁量で勤務時間などが柔軟に決められ、1日8時間の上限が適用されない。デザイナーや編集者など専門性が高く時間管理が難しい業務が対象となるが、営業は対象外。

=== 日本経済新聞電子版 平成30年3月6日 ===

 加藤勝信厚生労働相は5日の参院予算委員会で、働き方改革関連法案から切り離した裁量労働制に関し、対象者の健康確保措置の強化も議論し直す方針を示した。「全面削除し、実態を把握した上で議論していく」と語った。高度専門職を労働時間規制の対象から外す脱時間給制度については、今国会に提出する法案に「盛り込む方針で議論している」と強調した。

 法案には裁量労働制の拡大とともに、勤続3年以上との適用要件や、終業から始業までの時間確保など、裁量労働制で働く人の健康確保措置を企業に義務化する内容を盛り込む予定だった。

 野党は裁量労働制を適用された野村不動産の男性社員が自殺したことを取り上げ、裁量労働制の拡大に反対した。安倍晋三首相は「労働基準監督署が、様々な情報を入手しながら適切な指導を行っていくことが大切だ」と指摘した。男性は2016年9月に自殺し、遺族の労災申請を受けて、17年12月に東京労働局が労災を認定した。

=== 転載終わり (下線は浅草社労士) ===

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