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副業奨励の是非

 安倍晋三総理の肝いりで平成28年秋に始まった働き方改革実現会議、その初会合では、有識者議員から9つの議論されるべき議題が提案されました。その5項目目に挙げられているのが、「テレワーク、兼業・副業といった柔軟な働き方」についてです。厚生労働省のモデル就業規則の内容が副業原則禁止から副業容認に変わったことなどから、副業に関する議論が俄かに活発化してきておりますが、まさにこの問題を取り扱った島本雄太記者の署名入り記事が19日の日経紙電子版に掲載されておりました。この問題の本質は、健康を害するような過重労働の是正をしようというのが働き方改革の重要な柱の一つであるはずなのに、過重労働を助長しかねない兼業や副業を推進するのかという点に尽きるといえます。

=== 日本経済新聞電子版 平成29年12月19日 ===

 政府が働き方改革の柱に据える副業・兼業の推進。働く人が今の仕事を辞めずに、新しいスキルを身に付けられる利点がある。収入が増えるとの期待も大きい。だが、今の労働法制はこの流れに対応できていない。個人の労働時間はどう把握するのか、健康上の問題は本業の会社と副業の会社でどちらの責任なのか。副業解禁が独り歩きする現状に、厚労省内でも意見が割れる。「制度の在り方には踏み込まず、副業解禁を示すことに懸念がある」。11月下旬、厚生労働省で開かれた「柔軟な働き方に関する検討会」。企業が就業規則を制定する際のひな型となる「モデル就業規則」について、厚労省が副業を認める内容への改定を示したことに有識者から心配する意見が相次いだ。モデル就業規則を自社の就業規則に転用する企業も多く、影響力は大きい。

■残業代は副業先が払う

 今の労働法制のまま副業解禁が進むと、色々な問題が起こる可能性がある。一つが労働時間の管理だ。労働基準法には、複数の企業で働く場合の労働時間は通算するとの規定がある。法定労働時間は1日8時間。Aさんの所定労働時間が「本業」のB社で7時間、「副業」のC社で3時間の場合、法律上はC社に2時間分の割増賃金を支払う義務がある。Aさんは3時間しか働いていないC社が残業代を支払うことになる。すでにC社で3時間副業しているAさんが、本業のB社で1時間の残業をしたとする。この場合、通算ルールによりすでに法定労働時間を超えているため、B社は1時間分の割増賃金を支払う。こうしたルールを知ると副業解禁に二の足を踏む企業も少なくない。

 しかも、このルールは「有効に機能していない」(労働法が専門の小西康之・明治大学教授)のが実状だ。厚労省が策定中の副業のガイドライン案には「労働者の自己申告で把握する」とされるが、複数の企業で働いている場合、個人の労働時間の合計を知るのは難しい。互いの企業が実際に働いた時間を開示する義務もなく、労働者が偽りの申告をすれば、原則はそれに従うことになる。厚労省監督課も「実態を正確に把握するのは困難」と認める。こうした現状を受け、政府は12月8日に閣議決定した経済政策パッケージで、「実効性のある労働時間管理の在り方について検討を進める」と明記。厚労省は2018年以降、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)などで通算ルールを見直す方向で検討を始める。

 問題は長時間労働の助長につながらないかという点だ。政府は2019年度にも、残業時間に年720時間の罰則付きの上限規制を設ける。現在の通算ルールは適正に運用できていないならば見直す必要はあるが、別管理となればルールを抜け道として利用する企業が出ないとも限らない。仮に同じ企業グループの2社に社員を在籍させていることにし、労働時間を分割すれば残業代を支払わず働かせることも可能になってしまう。労働時間を別々に管理するかついては厚労省の内部でも、部署によって副業を推進する課と残業規制を行う課などで「意見が分かれている」(厚労省幹部)。

■副業の過重労働どうする

 労働者に健康上の問題が生じたときの責任の所在も明確にする必要がある。仮に副業先で過重労働などで体調を崩した場合、本業の勤務先は責任を取る必要があるのか。現在は法律に記載はなく、判例でも明らかになっていない。こうした課題を明確にしなければ、副業する労働者の労務管理に対する企業の意識も高まらない。今や1つの会社で生涯働き続ける時代ではない。しかし労働法制は1つの企業で勤めあげることを前提につくられている面が多い。副業を広げるには、複数の会社で同時に働くことがあるという前提を設け、働く人の納得が得られる仕組みを作る必要がある。

=== 転載終わり (下線は浅草社労士) ===

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コメント

柔軟な働き方に関する検討会

本年10月3日に厚労省による「柔軟な働き方に関する検討会」(座長 村松茂教授)というのが発足しています。その趣旨は、テレワーク、兼業・副業についての実態把握と課題のえぐり出し、制度の普及促進に向けた検討を行い、報告を行うことのようです。

2017年12月23日 13:57 from ヨコテ URL

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