出張中の労働時間

 政府による働き方改革で労働時間の規制が俎上に上せられています。今後は今まで以上に厳格な労働時間管理が事業所に対して課されることも必然的になってくることでしょう。ところで、出張中の労働時間はどのように考えたらよいのでしょうか。出張先に移動している時間など、厳密に考えてみるとどう扱うべきなのか疑問が生じてくるところです。


1.出張中の移動時間

 通常の始業時間以後に出張先へ交通機関を利用して向かう行為は、当然労働時間に含められるということです。営業職が業務時間中に営業先に向かうのと同じことです。それでは、業務時間外に行った移動はどうなるのでしょうか。極端な場合は、日曜日に遠方の取引先などに移動して一泊し、翌日業務をこなすというようなことも想定されます。このような場合、移動時間を労働時間に含めるという学説もあるようですが、一般的な考え方は、通常の出勤のための通勤時間と同様若しくは類似の性質を有する時間とみなされ、労働時間に算入されないということです。もちろん、移動時間中の過ごし方の自由は確保されている必要があります。移動時間中に資料の作成等の業務を行う業務命令が出ている場合などは、当然業務時間に算入されなければなりません。


2.出張中の労働時間

 出張中は、事業場外での業務に従事しています。このため、通常は使用者の指揮監督が及んでいないとされます。従って、当該業務に係る労働時間の算定が困難な場合に相当し、事業場外労働のみなし労働時間制の対象になると考えられます。事業場外労働のみなし労働時間制を適用する際に難しい点は、労働者の労働の実態をある程度は把握しつつ、指揮監督が及んでいると判断されるような厳密な管理が行われていてはならないことです。出張に関しては、時間の使い方は出張者に任されていることが一般的ですので、よほどの縛りがあらかじめかけられていない限り、事業場外労働のみなし労働時間制の適用が可能と思われます。

 事業場外労働のみなし労働時間制の対象となるのは、事業場外で業務に従事し、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な業務です。次のように事業場外で業務に従事する場合であっても、使用者の指揮監督が及んでいる場合については、労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間制の適用はできません。
 ①何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
 ②無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら事業場外で労働している場合
 ③事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後、事業場に戻る場合

第三十八条の二  労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
2  前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
3  使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。


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