歩合給と時間外手当

 昨日2月28日の日本経済新聞電子版に「歩合給から残業代差し引く賃金規則は有効 最高裁判決」という記事が掲載されておりました。浅草社労士は、タクシー業界及び歩合給の仕組みに明るくはないので、記事を読んだだけではこの判決の意味するところが今一つといったところです。問題の背景にはタクシー業界独特の賃金制度があるようです。つい先般、東京ではタクシーの初乗りの仕組み変更で、初乗り運賃が引き下げられたところです。自動運転の実用化も近い将来に現実的なものになりそうな昨今の時代の流れは、業界にとって厳しさを増しそうです。タクシー業界は、新たな付加価値を生み出してゆかねばならない時期にさしかかっているのかもしれません。一方で、宅配便最大手のヤマト運輸がネット通販荷物の急増に対して、サーヴィスの一部廃止を決めるなど、過剰と思われるサーヴィスを整理する動きも出てきて注目されています(註)。

 基本給と歩合給の組み合わせで支払われている賃金について基本的な時間外手当算出の考え方は、次の(1)+(2)ようになります。

(1)基本給の時給換算 × 1.25 × 残業時間

(2)歩合給の時給換算 × 0.25 × 残業時間

 そこで、ある月に基本給10万円、歩合給15万円が支給されたが、総労働時間が200時間、うち時間外が40時間とすると、

(1)基本給部分の計算
 10万円 ÷ (200-40) = 625
 625 × 1.25 = 781.25

(2)歩合給部分の計算
 15万円 ÷ 200 = 750
 750 × 0.25 = 187.5

残業代は、 (781.25 + 187.5) × 20 = 19375円 ということになります。 

(註)ヤマト運輸は、時間帯指定サービスを見直す方針で、例えば、正午から午後2時の指定をやめて、ドライバーが昼休みをとれるようにしたり、現在、午後9時までとしている配達を早めに切り上げる事などを検討しています。

=== 日本経済新聞電子版 平成29年2月28日 ===

 タクシー会社の国際自動車(東京)の運転手ら14人が、歩合給から残業代を差し引く賃金規則は無効だとして未払い賃金の支払いを求めた訴訟の上告審判決が28日、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)であった。同小法廷は、賃金規則が無効とした二審・東京高裁判決を破棄し、規定は有効と判断した。そのうえで、労働基準法の基準を満たす残業代が支払われているかどうかを判断するため審理を東京高裁に差し戻した。

 同小法廷は判決理由で、国際自動車の賃金規則について「規則が労基法の趣旨に反して無効とはいえない」と判断した。一方、「規則にもとづく賃金が、労基法が定める残業代の支払いといえるかどうかは問題になり得る」とも指摘。差し戻し審で残業代が適法に支払われていないと判断されれば、未払い賃金が生じることになる。

 一、二審判決によると、この賃金規則は、時間外手当や深夜手当などが生じた場合、売り上げに応じて支払われる歩合給から同額を差し引いて支払うと定めていた。運転手側の代理人弁護士によると、同様の賃金規定はタクシー業界で広く用いられているとされる。

 一審・東京地裁判決は「労基法が定める残業代の支払いを免れる賃金規則であり無効」と判断し、未払い賃金計約1460万円の支払いを命じ、国際自動車が敗訴した。二審判決も一審の結論を維持した。

 国際自動車は「売り上げ増加のために過剰労働に陥りやすいタクシー運転手の健康や安全に配慮するのが目的だ」と主張。労働組合からの要望を踏まえた規則であり、有効だと訴えていた。

=== 転載終わり (下線は浅草社労士) ===

20170210_梅園@隅田公園

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