非正規の格差是正へ政府が指針

 政府は20日、首相官邸で働き方改革実現会議を開き、非正規社員の処遇改善を促す「同一労働同一賃金」のガイドライン(指針)案を示しました。正社員と非正規との不合理な待遇差を例示し、基本給や賞与、手当などについて格差是正を目指しています。安倍政権による労働政策は、働き方改革会議の9項目の課題のうち、この「同一労働・同一賃金=非正規の格差是正」及び「長時間労働の是正」に喫緊の課題としてその関心が向けられるような感じになって参りましたが、その実効性を担保するため労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の3法改正を想定しています。

(1)基本給:  労働者の職業経験や業績・成果、勤続年数などに応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の能力を蓄積している有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、その能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

-問題とならない例-

 同じ職場で同一の業務を担当している有期雇用労働者であるXとYのうち、職業経験・能力が一定の水準を満たしたYを定期的に職務内容や勤務地に変更がある無期雇用フルタイム労働者に登用し、転換後の賃金を職務内容や勤務地に変更があるのを理由にXに比べ高い賃金水準としている

 基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給している会社で、フルタイム労働者の半分の勤務時間のパートタイム労働者であるXに対し、無期雇用フルタイム労働者に設定されている販売目標の半分の数値に達した場合には、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合の半分を支給している。

 -問題となる例-

 基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給している会社において、無期雇用フルタイム労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多くの職業経験を有することを理由として、Xに対して、Yよりも多額の支給をしているが、Xのこれまでの職業経験はXの現在の業務に関連性を持たない

 基本給の一部について労働者の業績・成果に応じて支給している会社において、無期雇用フルタイム労働者が販売目標を達成した場合に行っている支給を、パートタイム労働者であるXが無期雇用フルタイム労働者の販売目標に届かない場合には行っていない。

(2)賞 与: 会社の業績等への貢献に応じて支給しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の貢献である有期雇用労働者またはパートタイム労働者には、貢献に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない。また、貢献に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた支給をしなければならない。

-問題とならない例-

 賞与について、業績等への貢献に応じた支給をしている会社において、無期雇用フルタイム労働者であるXと同一の会社業績への貢献がある有期雇用労働者であるYに対して、Xと同一の支給をしている。

-問題となる例-

 無期雇用フルタイム労働者には職務内容や貢献等にかかわらず全員に支給しているが、有期雇用労働者またはパートタイム労働者には支給していない。

(3)その他手当等: 通勤費、出張手当、慶弔休暇、食堂の利用といった福利厚生は同一としなければならない。

- 有期雇用労働者またはパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除及び有給補償の付与をしなければならない。

- 無期雇用パートタイム労働者には、無期雇用フルタイム労働者と同一の病気休職の付与をしなければならない。また、有期雇用労働者にも、労働契約の残存期間を踏まえて、病気休職の付与をしなければならない。

- 現在の職務に必要な技能・知識を習得するために教育訓練を実施しようとする場合、無期雇用フルタイム労働者と同一の職務内容である有期雇用労働者またはパートタイム労働者には同一の教育訓練を実施をしなければならない。また、職務の内容、責任に一定の違いがある場合においては、その相違に応じた教育訓練を実施をしなければならない。

(4)派遣労働者

 派遣元事業者は、派遣先の労働者と職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情が同一である派遣労働者に対し、その派遣先の労働者と同一の賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。また職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情に一定の違いがある場合、その相違に応じた賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。

=== 日本経済新聞電子版 平成28年12月21日 ===

 政府は20日、首相官邸で働き方改革実現会議を開き、非正規社員の処遇改善を促す「同一労働同一賃金」のガイドライン(指針)案を示した。正社員と非正規との不合理な待遇差を例示し、基本給や賞与、手当などについて格差是正を促した。指針には、格差をつけた企業に理由を説明する責任を課す仕組みは盛り込まれず、実効性の確保が課題になる。基本給や手当など待遇全般について格差が認められるかどうかを具体的に記した指針を政府が作るのは初めて。安倍晋三首相は会議で「多様な働き方の選択を広げる。何とかして同一労働同一賃金を導入したい」と強調。指針を踏まえた関連法の改正を指示した。

 厚生労働省の労働政策審議会の議論を踏まえ来秋の臨時国会への関連法案の提出をめざす。政府は法改正が実現した段階で指針案の「案」を取るとしている。国内の労働市場に占める非正規の割合は約4割にのぼる。政府は賃金水準の引き上げや手当の充実により、非正規の働く意欲を高め、生産性向上につなげたい考えだ。

 指針はA4で16ページ。非正規のうち有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者を対象に正社員との格差是正を企業に求めた。待遇は基本給、賞与・手当、福利厚生、教育訓練・安全管理の4項目に分類。合理的な差、非合理な差について具体的な事例をあげて説明した。

 賃金の大きな比重を占める基本給は(1)職業経験や能力(2)業績・成果(3)勤続年数――の3要素の基準を設定。それぞれの要素で働き方を評価し、雇用形態にとらわれない基本給を払うよう促した。正社員と非正規で評価が同じであれば同水準の支給を原則としながら、違いがある場合はその違いに応じた支給を求めた。

 非正規への賞与の支給にも踏み込んだ。厚労省の調査によると、非正規向けの賞与制度を持つ企業は全体の4割弱。同じ仕事でも正社員にしか賞与が払われない場合が多い。指針では業績への貢献が同じであれば同額を支給し、貢献度合いに違いがあればそれに応じた額を支給するとした。

 曖昧だった役職手当や時間外労働に対する手当も同一支給の対象とした。深夜や休日の仕事は雇用形態にかかわらず同じ割増率で賃金を払うよう要請。非正規で約6割の支給にとどまる通勤費を支払うよう促し、職業訓練の機会も与えるよう求めた。

=== 転載 終わり ===

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