技能実習制度は早急に抜本的見直しを

 技能実習制度というのをご存じだろうか。「開発途上国の外国人を最長3年間、国内企業で受け入れ、技術を身につけてもらう制度。平成5年にスタートし、22年の入管難民法改正で現行の仕組みに変わった。対象職種は農漁業や機械・金属、食品製造など今年4月1日時点で74。人を相手にするサービスは含まれていない。平成27年、同制度で来日した外国人は約19万2千人で、今年28年は6月末時点で21万人を超えている。」というものです。本来の制度の趣旨は、開発途上国から実習生を受け入れて働きながら技術を学んでもらい、3年以内に技術を身につけて母国に帰っていただき、日本で学んだ技術を生かして祖国の発展に尽くしてもらうという立派なものです。しかし、この制度については本来の目的とはかけ離れた使われ方が相当程度あるようで、問題がかねてから指摘されておりました。

 浅草社労士が最も問題だと思う点は、事実上の外国人移民制度に容易につながってしまうことです。外国人移民がなぜ悪いかというと、そもそも経営者が外国人労働者を選好する理由は、かれらが目先低賃金で使用できることです。そのため、単純労働を低賃金で引き受ける外国人労働者が増加すると、企業が生産性向上の努力を怠るようになり、かつ、日本人の賃金の上昇を抑えたり、引き下げる要因になるからです。また、いつまでも外国人労働者が低賃金の重労働に耐え続けることはありえず、不満が募り、中長期的には治安を必ず悪化させます。

 既にその兆しが現れていることを今朝の産経新聞がスクープしています。記事によれば、「技能実習制度」で来日した外国人の失踪が昨年5803人、そのうち、全体の約半分が中国人で、昨年の失踪者を国別にみると、中国が3116人で最も多く、ベトナム(1705人)、ミャンマー(336人)と続いています。現行制度成立後の統計によると、平成23年からの5年間で計1万人超の中国人が失踪しているとのことです。その多くが不法滞在となっているとみられ、国内の治安にも影響を与えかねないことから、捜査当局は警戒を強めています。ここで指摘したいことは、そもそも中国が発展途上国とはいえるのかという疑問す。GDP世界第2位の経済大国と胸を張る国の人民が発展途上国からの技能実習生になっていること自体、おかしなことのように思えてなりません。 

 技能実習生の摘発も絶えず、26年の摘発者数は全国で961人に上り、25年の約3倍に急増しています。期間を越えて国内に居続ける「不法残留」や、実習以外の仕事をする「資格外活動」などの入管難民法違反罪が約4割を占めているようですが、空き巣などの窃盗罪で摘発されるケースも多いとのことです。

 こうした状況の中で政府は、(1)受け入れ企業・団体の監視態勢強化(←これは、やるべき)、(2)対象職種の介護分野への拡大(←外国人に介護されたいか?)、(3)滞在期間の延長(←絶対にまずいでしょ)-などを盛り込んだ外国人技能実習制度の適正化法案と入管難民法改正案を国会に提出、今月25日の衆院本会議で可決されており、今国会中に成立する見通しとのことです。しかし、本来の制度趣旨から逸脱した事例がこれだけ多く見られる「技能実習制度」は、無理をして存続させる意味があるのか大いなる疑問が残り、制度廃止を含めた再検討がなされるべき時期に来ているのではないでしょうか。移民制度ではもはや後戻りができなくなっている欧州主要諸国などに比べて、我が国はまだ引き返せるところにいるはずなのですから。




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