「同一労働・同一賃金」に対応できる評価制度の研修に出てきました

 「同一労働・同一賃金」に対応できる賃金・評価制度という研修に出てまいりました。東京都社労士会中央統括支部の主催で、講師は現代マネジメント研究会を主宰されている菅野篤二さんという方でした。浅草社労士は、紋切り型の「同一労働・同一賃金」の考え方は誤りであり、日本の労働慣行には馴染まないと思っているので、基本的には反対の立場です。ですので、菅野講師がどのようなお考えを示されるのか、興味を抱いて聴講することにしたわけです。

 冒頭、賃金の基本的な考え方は2つある、一つは「人につける賃金」、もう一つは、「職務に就ける賃金」という考え方です。年功序列制度などに代表される従来我が国で行われてきた慣行が前者に当たります。一方、「同一労働・同一賃金」は後者の考え方です、という解説がありました。つまり、「同一労働・同一賃金」の考え方は、従来の我が国労働慣行には馴染まず、これを変えるとなると相当面倒なことになるとの認識です。成果給が徹底されている世界の代表のようなプロスポーツの世界でも、日米の野球などを見ていると、空氣の違いを感じることができます。大リーグはとてつもない契約金を支払いますが、実績はあってもその年成果を上げられない選手がいとも簡単に自由契約にされてしまうのに比べ、日本のプロ野球は過去の実績をより尊重する傾向にある(った?)印象を受けます。そして、ファンの私たちにも十年以上もチームに貢献してきた〇〇を少々衰えたからといって退団させるなどおかしい、といった感覚を持っていると思われます。書いていて氣がつきましたが「同一労働・同一賃金」の考え方は、成果主義とも親和性が高い感じがとてもします。

 とはいえ、定年後の再雇用で賃金格差は違法という東京地裁の判決が出たように、政府が唱える定年後「同一労働・同一賃金」の標語がそれなりに世の中の流れに影響を及ぼし始めていることもまた事実のようです。そこで、菅野講師が提唱されていたのが、職務の内容を具体的に見直し、職務内容のスキルマップというものを作成して、職務内容基準の人事考課を行う制度を導入していこうということでした。その際制度を社労士がお任せで作成してしまい、会社にやらせるのではなく、職務内容の見直しから会社にやってもらうことが成功の要諦とのことです。講義を聞いて、なかなかいいと思ったところは、次のような点です。

(1)具体的にどのような職務をこなしているのか整理する作業があるので、職務の無駄の見直し、他部署との重複の見直しなど、業務「改善」のきっかけになる。

(2)整理した職務をどこまでこなせればよいか、目標管理もより客観的かつ具体的にできるようになる。

(3)目標が決まってくると、社員の能力を向上させるための教育訓練やOJT研修でも何をすればよいのか分かりやすくなる。

(4)昇給、賞与、及び昇進の判定のベースとなる汎用性の高い評価制度となる可能性を持っている。

 浅草社労士も、職務内容を具体的に見直して、より客観性の高い人事評価基準を作成することには大賛成です。どんなに無能な上司が評価しても一応は機能するしっかりした人事評価制度を構築することの意味はとても大きいと思います。ただし、ここでも難しいのは、人事はやはり人の事であり、人間として優れた経営者が適当に行う人事の方が精緻に作った人事制度にのっとって無能な経営者が行った人事評価よりもおそらくは優れた結果になるだろうという点です。

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