ワタミ過労自殺訴訟が和解

 昨日の新聞・テレビ等の報道によれば、居酒屋チェーンを経営するワタミ子会社の正社員だった森美菜さん、当時26歳が、2008年に過労で自殺したのは会社の責任だとして、両親が会社側に損害賠償を求め東京地裁に起こした訴訟は、ワタミ側が約1億3千万円を支払い、謝罪することで和解が成立した、とのことです。2008年といえば、リーマン・ショックの年でもあり、この前後というのは景氣後退色が強く、若者の就職はとりわけ厳しい状況で、労働密度の過度な強化による職場環境の悪化も急速に進行していったものと推測されます。ワタミは、創業者の渡邉美樹氏が一代で築き上げた独特の社風を持つ新興企業で、この風土が合う人にはそれなりに成長する機会を提供する会社だったのかもしれませんが、合わない人にとっては精神を病んでしまうほどに劣悪な環境だったと認定されるほどのものだったようです。

 昨今業績不振が顕著になってきたワタミにとって、世間の注目を集めたこの訴訟の結末は、和解金以上に大きな痛手と重しになることでしょう。従業員が一斉に反乱を起こしたゼンショーのときもそうでしたが、この手のカリスマ経営が負の螺旋階段を下り始めた際のつけは高くつくようです。それにしても、少子化が進行する中で、若者は本来ならばとても貴重な労働力であり、会社の宝物であるはずなのですが、こういった問題が後を絶たないのは、一体どこでボタンの掛け違いが起こってしまったのか、残念な事件です。美菜さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

=== 毎日新聞電子版 12月8日 ===

 居酒屋大手「和民」で働いていた森美菜さん(当時26歳)が過労自殺したのは会社側の責任だとして、遺族らが運営会社ワタミと当時の社長の渡辺美樹参院議員(自民)などに約1億5300万円の損害賠償を求めた訴訟は8日、東京地裁(吉田徹裁判長)で和解が成立した。原告側によると、被告側が業務に起因する自殺であると認めて謝罪したうえで1億3365万円を支払い、労働時間の正確な把握などの再発防止策を取ることで合意した。遺族側の意向に全面的に沿った和解となった。

 訴えていたのは森さんの父豪(つよし)さん(67)と母祐子さん(61)。訴状などによると美菜さんは2008年春にワタミの子会社に入社、神奈川県横須賀市の店舗で働いていたが、同年6月に自殺した。残業は国の過労死認定ライン(月80時間)を超える月約141時間に上り、12年2月に労災認定された。

 原告と被告は和解条項で、美菜さんはワタミの業務が原因で自殺したことを確認。渡辺議員は従業員に過重な業務を強いるなど最も重大な損害賠償責任を負っているとした。賠償額には逸失利益のほかに慰謝料4000万円が含まれた。原告側の玉木一成弁護士は「慰謝料は通常の倍額で(日本の裁判では認められない)懲罰的要素も含まれている」と説明した。

 このほか、美菜さんの未払い残業代約40万円や賃金から天引きされた業務用のブレザー代金など2万4675円も支払われる。被告側は08〜15年に入社した社員にも美菜さんと同様の未払い賃金や天引きがあったと認め、1人当たり約2万5000円、総額約4500万円の支払いにも応じる。

 和解成立後に厚生労働省で記者会見した豪さんは「娘の過労自死がなかったかのように振る舞う会社の態度が許せなかった。金を払って終わりではなく、和解条項の過重労働防止策を守り、良い会社になってもらいたい」と話した。原告側によると、渡辺議員は東京地裁での協議で和解成立に当たって発言を求め「企業理念が独り歩きして森さんを追い詰めたことを悔いている。これまでの発言、態度を反省し、二度と過労死が起きないように取り組んでいきたい」と両親に改めて謝罪した。ワタミは「原告側にご心労を与えたことを心からおわびする。同様の事案の再発防止に努めております」とするコメントを公表した。【東海林智】


和解条項に盛り込まれた再発防止策

・36協定更新の際に残業時間を短縮する
・労働時間を厳格に把握する
・研修などを労働時間として記録し、賃金を支払う
・長時間労働や賃金未払いに関する労働基準監督署の是正勧告を全従業員に周知する
・労働条件に関するコンプライアンス委員会の調査、検証を実施して公表する

=== 転載 終わり (下線及び太字は浅草社労士) ===

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