東芝不正会計事件と役員の賠償保険

 東芝の不正会計事件は、事件発覚から半年が経過した今もおさまりがつかないようです。昨日は、金星探査機の「暁」の軌道修正やノーベル賞週間に係る話題と並んで、東芝に対する訴訟が提起されたというニュースが流れておりました。この問題では、既に先月7日、東芝自身が西田厚聡氏ら歴代3社長を含む旧経営陣5人を相手取り、3億円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に提起しています。15日付けJ-castの記事は、東芝が歴代の役員5人を提訴した背景には、次のような事情があったと伝えています。

=== J-Cast 11月15日 ===

  東芝が提訴に踏み切ったのは、株主の怒りに背中を押された側面が大きい。同社の個人株主は2015年9月、歴代経営陣28人に総額10憶円の損害賠償訴訟を起こすよう東芝に請求。請求から60日以内に東芝が提訴に踏み切らない場合、株主は「株主代表訴訟」を起こすことが可能になり、経営陣への賠償訴訟が避けられない情勢になっていた。この「60日以内」の期限が11月8日だったので、まさにギリギリで滑り込んだわけだ。

  株主の請求を受けて、東芝は法曹関係者による「役員責任調査委員会」(委員長は大内捷司・元札幌高裁長官)を発足させ、利益水増しのあった期間に役員を務めた98人の賠償責任の有無を検討。その結果、西田氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏の歴代3社長と、財務担当役員2人に、民法や会社法に基づく「善管注意義務」違反があり、「市場の健全性を害する行為であり、看過されるべきものではない」として賠償責任の追及を求めた。

  東芝は調査委の報告を踏まえて提訴したが、9日に公表された報告書全文を見ると、旧経営陣に対する「配慮」が随所に見られる。 報告書は歴代3社長らがパソコン事業などで過度な「チャレンジ」を迫ったり、損失計上の先送りを促したりするなどの不適切な対応を詳述する一方、「個人的利益を図ったものでも、会社に対して特別に損害を加えようと画策したものでもない」と指摘。さらにリーマンショック(2008年)、タイの水害(2011年)、東日本大震災(同)を例示しながら、「競合他社に打ち勝って収益向上を図らなければならないという厳しい事業環境の中で、会社経営の一環として行われた側面もある」との認識も示し、賠償請求額で「そのような事情を考慮する余地がある」と付言した。

=== 一部転載 終わり (下線は浅草社労士) ===

 そして、被告となった旧経営陣には、いわゆる役員の賠償保険が適用されないことになるという指摘があります。11月10日の日本経済新聞電子版によれば、東芝の役員が加入する保険は多くの企業と同種で、株主代表訴訟を起こされた際の損害賠償に備えたもの。今回は会社が旧役員を訴えるため「保険は入っていても適用外となる」と東芝幹部は話したと伝えています。これがその通りだとすると、旧役員側が敗訴したとき、大企業の社長を務めた人たちにとってもかなり厳しいことになりそうです。

 これとは別に、今度は不正会計が始まったとされる2008年以降同社の株式を購入した株主が、同社と旧経営陣を相手取って集団訴訟を提起したのが、昨日12月7日のことです。時事通信の伝えるところによれば、以下の通りです。

=== 時事通信 12月7日 ===

 東芝の不正会計問題で株価が下落して損害を受けたとして、15都道県の個人株主ら50人が7日、同社と旧経営陣5人に総額約3億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。弁護団によると、東芝の個人株主による集団訴訟は初めて。年内に大阪、福岡両地裁で別の株主ら計約50人も提訴するほか、来年3月をめどに3地裁と高松地裁で追加提訴を準備しており、最終的には1000人規模の原告数を見込んでいるという。

 東京地裁の原告は、不正会計が始まった2008年以降に株式を購入するなどした30~80代の50人で、被告の旧経営陣5人は西田厚聡氏、佐々木則夫氏、田中久雄氏の歴代3社長と元財務担当役員の2人。訴状などによると、東芝の株価は、不適切会計の疑いで特別調査委員会が設置された今年4月3日以降、11月末時点で約200円下落した。原告側は「虚偽記載により適切な投資判断ができなかった」と主張し、購入価格と売却価格との差額などを損害額として算定した。

=== 一部転載 終わり (下線・太字は浅草社労士) ===

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東芝家電部門開発拠点を縮小へ

東芝家電部門を大幅縮小
東芝は不正会計問題を受けた経営再建の一環として、テレビやパソコンの開発拠点がある青梅事業所(東京都青梅市)を縮小する方針を固めた。白物家電を含めた国内外の家電事業全体では、早期退職などによって数千人規模の人員削減も検討している。
 家電を中心とした「ライフスタイル事業」の従業員は約2万4千人で、青梅事業所にはうち2千数百人がいる。テレビやパソコンの開発のほか、家電子会社が本社を置いている。
 東芝はすでに、海外向けテレビの開発・販売から撤退する方針を示しており、青梅事業所の縮小は避けられないと判断した。国内の家電関連では、愛知県瀬戸市に白物家電の開発拠点が、新潟県加茂市には炊飯器などの工場があり、それぞれ対応を検討している。

2015年12月15日 11:56 from ヨコテ URL

東芝改革へ「家電」に大ナタ  計1万人削減へ

 東芝がついに改革の「本丸」部門に大ナタを振るう。21日、テレビ・白物家電などのライフスタイル部問で約6800人を合理化すると発表した。他部門を含め約1万人の削減となる。不振部門の合理化にメドをつけて、来期以降の全社のV字回復につなげる。
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO95381530R21C15A2000000/

2015年12月25日 16:48 from ヨコテ URL

課徴金73億円

 金融庁は25日、東芝(6502)の会計不祥事に関して、有価証券報告等に虚偽の記載をしたとして同社に73億7350万円の課徴金を納付するよう命じたと発表した。課徴金額は過去最大で納付期限は2016年2月25日。
 東芝の会計問題を巡っては証券取引等監視委員会が7日に、金融庁に同額の課徴金納付命令を科すよう勧告しており、会社側も受け入れる姿勢を示していた。東芝は虚偽記載関連の引当金として84億円を計上済み。

2015年12月25日 19:13 from ヨコテ URL

3億→32億円

東芝は27日、会計不祥事を受けて西田厚聡元社長ら旧役員5人に対して東京地裁に起こした損害賠償請求訴訟で、賠償額を当初の3億円から32億円に拡大すると発表した。同日、会計不祥事を受けて金融庁から納付命令のあった73億7350万円の課徴金を納付し、損害が確定したため。不祥事を受けて修正した過年度決算の監査作業で監査法人にも別途報酬を支払い、損害が発生したとしている。同日付で裁判所に請求拡張の申し立てをした。

2016年01月27日 21:02 from ヨコテ URL

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