Panzer vor(戦車前進)!

 ガールズ&パンツァー(Girls und Panzer)というアニメをご存じだろうか。ロボット・アニメ好きの浅草社労士もこのアニメは知らなかった。2012年に東京MXなどの深夜アニメ枠で放映され、今年に入って新作劇場版が公開されたこの作品、「美少女とメカ物」の系列に連なることは間違いないのですが、古くは「0戦はやと」(フジテレビ系)、「決断」(日本テレビ系)などの戦記物の系列にもかろうじて連なっているような、不思議な設定の作風なのです。

 このアニメ、最近のアニメではよく試みられることなのですが、茨城県東茨城郡大洗町とコンビニエンスストアのサンクスが全面的な協力をしていて、作品の随所に大洗町の実際に存在する風景がリアルに描かれています。つまりはアニメ好きがいうところの「聖地」に大洗町がなっていて、当の大洗町もここ数年の町興し行事などにガールズ&パンツァー(以後「ガルパン」)を大いに利用していたようです。

=== Biglobe News 12月24日 ===

 大洗町は、町おこしとして「ガルパン」を積極的に活用しており、2013年3月に開催された「海楽フェスタ」では、陸上自衛隊の協力で「74式戦車」を展示、2013年7月に開催された「大洗 海開きカーニバル」では、最新型戦車「10式戦車」が展示された。

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 深夜アニメを見るような人とミリオタを中心に静かに振興していたガルパン人氣でしたが、にわかに浅草社労士のような一般人の目をガルパンに向けさせた出来事がこれでした。

=== Biglobe 同記事 より ===

 日本共産党茨城県委員会が、防衛省への要望書の中で、「ガルパン」の愛称で親しまれているアニメ『ガールズ&パンツァー』ファンイベントでの実物戦車の展示中止を求めていたことがわかった。

 戦車を使った武道「戦車道」が、華道や茶道と並んで大和撫子の嗜みとされている世界を描くアニメ『ガールズ&パンツァー』。少女たちが戦車を運用する、ミリタリー要素と萌え要素を併せ持つ人気作品で、公開中の劇場版は5億円を超える興行収入を記録している。作品の舞台は茨城県大洗町で、役場や交通機関、店舗などの協力により、劇中では実際の街並みや施設が再現されている。

 「ガルパン」イベントでの実物戦車の展示中止の要請は、日本共産党茨城県委員会がアンケートや市町村議員などに寄せられた要望一つとして、2013年11月に提出した防衛大臣宛ての要望書に記されている。「大洗町で『ガルパン』ファン向け、自衛隊の実物戦車の展示が行われ、今後も実施の意向を示しています。大洗町は環境・観光・町づくり・都市計画マスタープランなど多面的な実施計画を作成し、観光地として景観を重視しています。戦車を観光目的として展示することは計画を無視するものであり、都市公園法からみても問題があります。中止してください。」と展示の中止を求めていた。

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 このアニメ、美少女キャラクターというオブラードで包んであるというものの、戦車による戦闘場面のリアルな描写が最大の魅力のひとつになっており、極端な考えを持っておられる方々の過剰な反応呼び起こすのは時間の問題だったようです。しかしながら、大洗町は2011年、東日本大震災による震災被害の影響のため県内観光客数トップの座から陥落していましたが、2012年に早くも奪還しており、そこにはガルパン効果も少なからず影響したと考えられています。つまり、大洗町は元々観光客を呼び込む技に長じた地域ではあったものの、ご当地を舞台にしたアニメを積極的に活用することに成功していたということです。

 次に、それではこのアニメの出来自体はどうだったかという問題が残ります。過剰反応した人々が脅威に感じたようなことが作品の内容に含まれているのか、おそらくは極端な発想をする人たちにとって戦車という兵器が出てきた時点で危険なアニメということになるのでしょう。しかし、この作品は戦車道という一風変わった世界観を除くと、ごく普通の爽快な青春アニメという印象です。世に少年ジャンプ3原則というのがあるそうで、「友情、努力、勝利」の3つが作中に描かれていることなのだそうですが、非少年ジャンプ系とはいえ、本作にも3原則がきっちりと描かれています。そればかりか、リーダーとして一度は失策を犯し、逃げ出した主人公が良き友人たちに巡り合い、図らずも再びリーダーとして戦車道に身を投じ、戦闘において仲間たちを鼓舞し、様々な厳しい局面において決断を重ねて成長していく姿は、現実の社会生活や会社経営でも応用できる内容を含んでいるような氣がいたしました。この手の筋書きは、繰り返し小説や漫画で語り尽くされてはいるものですが、我々日本人の琴線に触れるものがあるのは、長い歴史の中で民族の同一性を保ちながら、全体としては常に社会の仕組みや文化を漸進させてきたという世界的に見れば稀有な、そして世界に誇るべき歴史を持つこと、だからこそ努力を重ねて成長することができるとどこかで信じていることに起因するものではないかと考えています。戦車道に過剰な反応を示してせっかくの町おこしにブレーキをかけている人たちにこそ見てもらいたいなかなかの出来といえる作品です。

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