東芝不正会計事件

 今年の財界を揺るがせた最大の出来事というのは、やはりこの事件になるのではないでしょうか、まだ今年も折り返し地点を通り過ぎたところではありますが。140年に及ぶ歴史と伝統を誇る大企業であり、日立製作所と並ぶ重電の雄、東芝を襲った不正会計事件の実体が第三者委員会の調査報告書の公表を受けて明らかになって来ました。 報告書によると、2008年度からの決算修正額(税引き前利益ベース)は、第三者委が認定した1518億円に加えて、東芝の自主チェック分が44億円。長期プロジェクトの採算を管理する工事進行基準と呼ぶ会計処理で損失計上を先送りするなどしていたというものです。この間の東芝の税引き前利益は5650億円で、不適切会計の金額は3割近くに達しています。

 具体的な不正会計の実態は次のように行われたようです。「例えばパソコン事業では、経営トップが社内カンパニーに対して『チャレンジ』と呼ぶ過大な収益目標と損益改善要求を課していた。それを達成するために実質的に翌期以降の利益を先取りするなど、不適切な会計処理をせざるを得ない状況に追い込んだという。現場についても『上司の意向に逆らえない企業風土が合った』と指摘され、さらに監査法人などに対して正しく説明せず、不適切会計は外部から発見されにくい巧妙な手法でなされていた。」

 東芝が払う不正会計のつけは、まず、報告書を受けて東芝は過去の決算を訂正することとなります。1562億円とは別に、事業の収益性の低下を反映させ、2012年度決算を中心に半導体やパソコン事業などで計700億円規模の減損損失を計上する可能性もあるといわれています。さらに、証券取引等監視委員会や金融庁は、不適切会計が金融商品取引法の違反(有価証券報告書の虚偽記載)にあたると判断し、課徴金処分を検討しており、東京証券取引所は、内部管理に問題ある企業として投資家に注意喚起を促す「特設注意市場銘柄」に指定することになりそうです。

 東芝は、何といっても我が国を代表する企業の一つですし、原発を手がけている企業です。原発は、我が国の安全保障にとって極めて重要な技術ですから、反原発勢力や反日の外国勢力に狙い撃ちにされた可能性も含め、この問題は慎重に対処されるべき重大事件と見ていたのですが、同社の企業風土や経営陣に極めて問題があったと報告書は指摘しているようです。

=== 東芝会見の主なやり取り 7月21日 日本経済新聞電子版 ===

 東芝は21日、不適切会計を調べてきた第三者委員会(委員長=上田広一・元東京高検検事長)がまとめた調査報告書を受けて田中久雄社長らが東京都港区の本社内で記者会見を開いた。調査報告では、歴代3社長が利益を水増しするために「組織的な関与があった」とトップの責任を厳しく指摘した。利益操作は2009年3月期から14年4~12月期まで計1562億円にのぼった。

 田中久雄社長、前社長の佐々木則夫副会長、前々社長の西田厚聡相談役、前田恵造代表執行役専務らが責任を取って辞任する。9月の臨時株主総会まで暫定的に、室町政志会長が社長を22日付で兼任する。田中久雄社長は会見で不適切会計について「私自身が不適切な会計をしろという直接的な指示をしたという認識はない」と語った。主なやり取りは以下の通り。

 ――なぜ利益至上主義になってしまったのか。

 田中社長「利益を稼ぐことは株主や投資家のため、豊かな社会をつくっていくために必要なものだ。ただ、その前提として適切な会計処理を行っていく必要がある。そのあたりの認識、知識のところで課題があったと思う」

 ――この会計処理は粉飾という認識か。

 田中社長「粉飾という言葉をどう定義するかだが、第三者委員会の報告では不適切な会計処理という記載がなされている。それ以上のことは答えを控えさせて頂く」

 ――この時点での辞任の理由は。

 田中社長「株主総会では9月まで臨時的な取締役として再任は頂いていた。ただ、一刻も早く、新しい体制にすることが重要だと考えた。新体制では第三者委員会の報告を真摯に受け止め、新しい東芝を構築していって欲しい」

――純資産の毀損額はどれくらいになるのか。また、銀行借り入れなどへの影響は。

 前田専務「第三者委員会の指摘を受け、固定資産の減損や長期繰り延べ税金資産の引き当てなどの検討を行っている。過年度の会計処理の妥当性も検討している。新日本監査法人の監査を受けているところで、金額は把握していない」

 「銀行借り入れの財務制限条項に抵触するという指摘は現状では受けていない。会計処理の修正をしても大丈夫なように金融機関に万全の説明をするように努力していく」

〔日経QUICKニュース(NQN) 片野哲也〕

=== 転載 終わり (下線は浅草社労士) ===

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東芝新体制公表

東芝は8月18日、9月下旬の臨時株主総会後に発足する経営の新体制を発表した。同社は不適切会計で企業統治の機能不全を厳しく指弾された。新体制では三菱ケミカルホールディングス会長の小林喜光氏など7人の社外取締役を起用し信頼回復に向け背水の陣を敷く。ただ肝心の取締役会議長の人選は混乱し決まらぬまま。室町正志会長兼社長の続投も暫定的な面が残り万全とはいえない。

2015年08月19日 09:27 from ヨコテ URL

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