厚生年金逃れの実態

 今朝の読売新聞等が報じていた「厚生労働省が国税庁から情報提供を受けて行った調査」の結果が、衝撃的な内容でした。厚生年金が適用されるべき事業所でこれを逃れている疑いのあるところが約80万社にのぼるというのです。要は、国税庁は事業所の実態を把握していて、従業員の所得税が納められているのにもかかわらず、厚生年金保険料が支払われていない事業所がそれだけの数にのぼったということのようです。例えば、労働時間が正規の四分の三未満又は労働日数が正規の四分の三未満のパート社員であれば、社会保険への加入義務はないとされていますが、この場合でも、比較対象になる正規は被保険者となっているはずなのです。

 年金記録問題以来、国民の公的年金に対する関心は高まってきています。社会保険料逃れの問題は、以前から言われていたことで(厚生年金未加入企業へ警告_2014年7月4日)、実態が明らかになってきたこと自体評価できますが、この手の議論は、ときに「歳入庁構想」に飛躍してしまうことを少々懸念しています。管轄が異なる行政官庁間で、情報が上手く相互利用されてこなかったことは確かに問題ですが、この点だけを強調して、組織の効率化一辺倒で改革を推し進めれば、肝心の利用者の便宜が損なわれるおそれがあるからです。共通番号制度の導入も近く予定されていることでもあり、今後の制度改革、組織再編の議論がまたまた活発化してきそうな氣配も感じられる事象です。


=== 読売新聞電子版 2月23日 ===

 厚生年金への加入を違法に逃れている疑いの強い中小零細企業が約80万社にのぼることが、厚生労働省が国税庁から情報提供を受けて行った調査で明らかになった。厚労省と日本年金機構は新年度の4月以降、強力な指導に乗りだし、応じなければ立ち入り検査も実施した上で、強制的に加入させる方針だ。勤め先の加入逃れで厚生年金に入れない人は数百万人にのぼる可能性があり、老後の貧困を防ぐため本格的な対策に乗り出す。

 厚生年金は原則として、フルタイムの従業員がいる法人の全事業所と、従業員5人以上の個人事業所に加入義務がある。だが、事業所が厚生年金保険料(給与(註)の17・474%)の半分を負担しなければならないことから、会社を設立しても加入しない事業所が後を絶たない。事業所が加入していないと、従業員は国民年金保険料(月1万5250円)を自分で納めるだけになり、老後は基礎年金しか受け取れないことになる。

 国税庁は、従業員の所得税を給与天引きで国に納めている法人事業所を約250万か所把握している。このうち厚生年金に加入しているのは約170万か所だけ。残る約80万の事業所は加入を逃れている可能性が高い。 厚労省はすでに国税庁から所在地などの情報提供を受け、未加入事業所を割り出す作業を進めている。新年度からは日本年金機構が3年間かけて、新たな加入対策を行う方針だ。

(註)標準報酬月額
下線及び註は浅草社労士

=== 引用終わり ===

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