老齢年金の裁定及び年金額の改定

 老齢厚生年金の支給開始年齢引上げが昭和28年4月2日生まれの男性からとなっているため、本年平成26年4月1日に61歳到達の男性から、実際に61歳引上げ措置が実施されています。そこで、裁定請求と年金額の特定について、再確認しておきたいと思います。

1.裁定請求

 年金受給の権利(潜在的受給権)は、要件が整ったとき事実上発生します。しかし、実際に年金を受け取るためには、要件を全て満たしていることの確認を受けることが必要で、この手続きのことを「裁定」と呼んでいます。保険者は、裁定の請求があったときは、要件を確認して権利があることを証する年金証書及び裁定通知書を請求者に送付することになっています。

 ここでいう「確認」とは、一定の法律関係を認定する行政処分の一つで、裁定請求は、受給権者本人が行わなければならないのが原則です。ただし、未支給の保険給付の裁定請求は、この例外であるとされています。これはどういうことかというと、本来の老齢年金の受給権者が裁定請求をする前に亡くなってしまった場合、生前に裁定請求が為されていれば受給権者に支給されていたであろう年金があります。この年金を未支給年金の受給権者が請求するために、自己の名で裁定請求を行うというものです。


2.年金額を確定させる時期

 そこで、裁定請求を行って、本来の年金額を確定させる時期です。確定させるといっても、年金額は物価水準によって毎年見直されるのが原則ですから、この見直される元となる年金額を確定させる時期という意味です。

 この時期については、まず、65歳到達時ということになります。今後、特別支給の老齢年金の支給開始年齢が徐々に引上げられ、昭和36年4月2日生まれからは特別支給そのものが消滅しますので、年金額を確定させる時期は、
(1)65歳到達時
(2)65歳以上70歳未満の厚生年金被保険者の退職月の翌月
(3)厚生年金被保険者の70歳到達時
と、ほぼ3つに絞られ、すっきりします。

 問題は、28年4月2日から36年4月1日生まれまでの特別支給の老齢年金を受給できる世代です。この世代は、国民年金の強制加入期間が60歳到達時で取りあえず終了するという意味で60歳が一つの区切りになりますが、特別支給の老齢厚生年金の受給権発生日は、生年月日による61歳到達日、62歳到達日などの日付になります。ここで、60歳到達時290月(全期間厚生年金保険被保険者)、その後も厚生年金の被保険者で61歳到達時に302月に到達したという人がいたとします。この被保険者の場合、60歳までの納付状況により算定された厚生年金報酬比例部分の年金が61歳到達日の翌日から支給されるわけではなく、国民年金側の視点では合算対象期間とされている60歳到達日以降の12箇月が受給資格判定の材料になると同時に、老齢厚生年金については受発日までの期間、即ち302月分の特別支給の老齢厚生年金のが支給されることになります(→年金額はあくまで受発日基準で算定する)。

 したがって、被保険者受給権者の場合、これから36年4月1日生まれまでの特別支給の老齢年金の受給が終了するまで、次のような現象が生じてきます。つまり、上の例で、60歳到達時290月の昭和34年4月2日生まれの場合、受発日の64歳到達日には、338月の厚生年金加入期間がありますので、この期間についての年金額が支給されることになります。64歳到達時から受給権が発生する被保険者受給権者は、61歳到達時から受給権が発生する被保険者受給権者よりも3年分多い年金額の特別支給の厚生年金を受給することができるということになるのです。

 ただし、61歳到達時から受給権が発生する被保険者受給権者が64歳到達時に会社を退職して被保険者資格を喪失、以後厚生年金の被保険者1箇月間以上加入しなかった場合、この時点で退職時改定が行われることになります。つまり、60歳から64歳まで厚生年金保険の被保険者として保険料を納付した48月を含めた年金額の改定がここで始めて行われることになります。

 次に、この受給権者が、64歳で退職しないで被保険者のまま65歳に到達し、さらに働き続けていた場合です。この場合も含め通常65歳時には、実務的には葉書一枚の手続に過ぎませんが(65歳到達で初めて裁定請求をする場合を除く)、本来支給の老齢年金への裁定請求が行われ、特別支給から本来支給の老齢年金へ改定が行われます。

 そこで、この受給権者に生計を維持されている65歳前の配偶者がいるとき、386400円(平成26年度の年金額減額改定_3月31日)の加給年金が加算されて支給されます。また、配偶者が65歳以上の場合、配偶者の基礎年金に振替加算が加算されることになっています。それでは、この受給権者が65歳時に独身で、66歳で65歳未満の人と新たに婚姻したとき、当該受給権者の老齢厚生年金に加給年金が加算されるかどうかという問題です。加給年金の発生は、受給権取得時又は退職改定時で見てゆきますので、このままでは加給年金は発生せず、会社を退職又は70歳到達で被保険者資格を喪失して年金額を新たに確定することが要件になります。その上で、年金額改定時時点で生計を維持されている65歳前の配偶者がいるのか、改めて見ていかなければなりません。

 また、氣をつけなければならないのは、次のような場合です。
(1)65歳到達時 生計維持要件を満たす65歳未満の配偶者がいます。
(2)65歳到達時 受給資格期間は厚生年金228月、残りは国民年金。
(3)65歳到達時 厚生年金被保険者。

 この場合、65歳到達時には、老齢満了(厚生年金加入期間240月)していないため、加給年金は支給されません。さらに、1年後に形式的に老齢満了しても、被保険者である限り65歳到達時に裁定請求して確定した老齢年金が生きているため、自動的に加給年金が支給されることにはなりません。あくまでも、加給年金の発生は、受給権取得時又は退職改定時で見てゆくということです。

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