厚生年金未加入企業へ警告

 算定基礎届けの時節となりましたが、本日の日経紙電子版には「厚生年金加入逃れ阻止 政府、納税情報で特定」という記事が掲載されておりました。

 同記事によれば、現在厚生年金に未加入の中小零細企業などは、80万事業所に上るとのことです。全ての法人企業及び5人以上の従業員を雇用している個人事業は、原則として社会保険への加入が義務付けられているのにもかかわらずです。そこで、厚生年金保険などの公的年金を管理する日本年金機構は、「国税庁が保有する企業情報をもとに厚生年金に加入していない企業を調べ、日本年金機構が加入を求める。応じない場合は法的措置で強制加入させる。加入逃れを放置すれば、きちんと保険料を払っている企業や働く人の不満が強まり、年金への信頼が揺らぎかねないと判断した。」というのがこの記事の趣旨です。

=== 日経新聞電子版 7月4日 ===

厚生年金加入逃れ阻止 政府、納税情報で特定

 厚生年金は公的年金の一つで、会社員が加入する。労使折半で収入に応じた保険料を支払う仕組みになっているが、重い保険料負担を避けるために、加入を逃れている企業も少なくない。加入逃れをしている企業を特定するため、所得税を源泉徴収している事業所に関する国税庁のデータを使う。所得税を従業員に代わって納めている企業・事業所は全国に約250万カ所あり、名称と所在地、給与支給人員などを年金機構に提供することにした。年金機構は実際に厚生年金を納めている約170万の事業所のデータと照合する。税金は払っているが、年金保険料を払っていない約80万の事業所は大半が中小零細とみられる。これらに年金加入を強く求めていく。

 年金機構はこれまでも未加入の事業所の特定や加入要請を進めてきた。だが、ペーパーカンパニーや休業中の企業が多いこともあり、十分な効果を上げられなかった。納税情報を基にすれば、実際に従業員を抱え、保険料を支払えるのに加入を逃れている企業を効率的に調べられる。データの照合作業が終わり次第、年金機構は来年度にも、加入逃れが疑われる全事業所に文書や電話で厚生年金への加入を求める。応じなければ訪問指導などを実施。最終的には立ち入り検査で事業の実態や従業員数などを把握し、強制的に年金への加入手続きをとる。来年度から数年で全事業所が厚生年金に加入することを目指す。

(中 略)

 国税庁と日本年金機構を統合して歳入庁をつくるべきだとの意見もある。政府内には「形式的な統合は無意味だ」などと消極的な意見が多い。実質的な連携を強化することで、歳入庁の設立を求める声をけん制する狙いもありそうだ。

=== 引用終わり ===

 国税庁が所得税の徴収を行っている事業所数と社会保険料を納付している事業所数の差が80万事業所というのは、確かに問題になりそうです。ついでに労働保険料を納めている事業所数も当たってみると好いように思います。記事の終わりのところでも触れられていますが、こういうことを放置していると件の「歳入庁構想」が徴収漏れや未加入問題を抜本的に解決するための方策として、主張されることになるおそれがあります。歳入庁構想は、机上の論理としてはすっきりしており、とっつきやすい感じを受けますが、これまでの社会保険の歴史や経緯をほぼ無視することになりかねず、税務及び社会保険業務に係る各方面への影響が大きすぎて、大きな混乱を招き、そのときには納税者や社会保険料納付義務者も巻き込む社会的な危険をはらむものではないかと考えます。今回の国税庁との連携が確実に実行されれば、摩擦を最小限に抑えつつ現状を漸次改善してゆくことができるのではないでしょうか。

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