厚生年金基金に関する改正点_2

  以前の記事で「平成25年6月に可決成立した『公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律』の施行により、これまで我が国の企業年金制度の中枢を担ってきた厚生年金基金も、原則廃止の方向に動き出しています。」と書きました(厚生年金基金に関する改正点_2014年4月15日)。今回は、以前の記事で触れられなかった基金が解散した場合に起こると予想されることや企業年金連合会が果たしている役割について、簡単にまとめておきます。


1.厚生年金基金が消滅する3つの場合

 厚生年金基金制度(以下「厚年基金」という)が廃止の方向に動き出しておりますが、厚年基金が消滅するときの型は、大きく分けて2つに、2番目をさらに2つに分けて、全体で3つあると整理しておくと分かりやすいようです。

(1)一番目は、代行返上と呼ばれるものです。この型は、国から預かっている代行部分を国に返還し、加算部分及びプラスα部分など上乗せ部分は残して、確定給付年金(DB)などの企業年金に承継させることが義務付けられています。大企業では既に代行返上を実施し、新しい企業年金制度に移換したところが今日では大多数を占めるようになっています。
20140622_企業年金連合会と代行返上(改正)

(2)次に考えられる型は、厚年基金の解散です。厚年基金が解散すると、これまでは企業年金連合会に移換されることになっていました。企業年金連合会の目的は、中途脱退者の記録及び解散基金の記録をまとめて、受給権者が老齢年金の受給資格を取得したときに、一元的に管理している記録を基に受給権者にまとめて基金支給分の年金を支給することでした。しかし、今年4月から、代行部分に関しては全て国に返済することとなりましたので、企業年金連合会が取り扱うのは、加算部分及びプラスα部分など上乗せ部分だけになってゆきます(厚生年金基金からの年金支給義務の引継)。
20140622_企業年金連合会と解散(改正)

(3)三番目は、(2)の派生系です。すなわち、一旦解散し、残った年金資産を企業年金連合会には移換せず、この資産を元手に新たな企業年金制度を構築するというものです。

 ところで、厚生年金基金及び企業年金連合会について定めた条文は、厚生年金保険法からは既に削除されており、平成25年6月26日の附則によって、「旧厚生年金基金であってこの法律の施行の際現に存するものは、施行日以後も、改正前厚生年金保険法の規定により設立された厚生年金基金としてなお存続するものとする。(附則4条)」として基金の存続が担保されています。また、同附則2条においては、「政府は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)から起算して十年を経過する日までに、存続厚生年金基金が解散し又は他の企業年金制度等に移行し、及び存続連合会が解散するよう検討し、速やかに必要な法制上の措置を講ずるものとする。 2項 政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、この法律により改正された国民年金法の規定に基づく規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」として、厚生年金基金及び企業年金連合会についての原則廃止の方針が確認されています。


2.企業年金連合会の行方

 現在企業年金連合会に関する条文は、確定給付企業年金法の第11章に設置されています。企業年金連合会のHPによれば、「『公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律』(平成25年法律第63号。以下「改正法」といいます。)が平成26年4月1日に施行されました。改正法施行後(平成26年4月1日以後)についても、企業年金連合会は、存続連合会として存続しますが、確定給付企業年金法に基づく新たな企業年金連合会(新連合会)が設立されたときに存続連合会は解散することとなります。なお、現段階では、新連合会の設立(=存続連合会の解散)の時期は未定ですが、改正法施行後であっても存続連合会が解散するまでの間につきましては、年金の取扱いに変更はありません。」(企業年金連合会が法律改正の施行前(平成26年3月31日まで)に引き継いでいる年金の取扱いについて)となっています。


3.厚年基金制度消滅の影響

 厚年基金は、基金冥利ともいえる受給権者には恩恵のある制度です。厚年基金制度が廃止されると次のような恩恵が消滅するものと思われます(厚生年金基金の代行部分とは何か_2012年6月3日)。

 第一に、基金は加入期間が1箇月以上あれば、基金が担当する基本部分についての支給を行っています。しかし、厚生年金本体では加入期間が25年以上ないと老齢年金を受給する資格がないので、公的年金の加入期間が25年に充たない者などは、原則的に年金の受給権を失ってしまいます。

 第二に、一般的な厚生年金基金では、60歳から65歳までの特別支給の老齢厚生年金について、在老の調整が比較的ゆるく運用されてきたといわれています。この部分は、「支給要件緩和によるプラスアルファー給付」と言われているものですが、各厚生年金基金の規約によってまちまちのようで、支給停止に全く手をつけないような基金は少数派で、少なくとも加入員である間は国同様の調整がかかるというものが最も多いようです。ただし、国の厚生年金からの支給と全く同様の調整をかけている基金も少数派のようです。

 第三に、国からの障害年金又は遺族年金に係る給付との調整は行われず、併給とされているようです。ただし、雇用保険の基本給付及び高年齢雇用継続給付との調整は、きっちりと行う基金が多いようです。

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