「産前産後休業保険料免除制度」まとめ

 平成26年4月より、「産前産後休業期間中の保険料免除制度」が施行されています。その根拠となる法律は、平成24年8月10日の消費税引上げ法案可決、成立に伴い、制定された「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金機能強化法)という長い名前の法律です。

 「産前産後休業期間中の保険料免除制度」とは、ひと言でいえば、産前産後休業の取得者に対し、育児休業同様の配慮措置が講じられる制度ということです。すなわち、産前6週間(多児妊娠14週間)、産後8週間のうち、被保険者が労務に従事しなかった期間の厚生年金保険料が免除されます。また、産前産後休業終了後に育児等を理由に報酬が低下した場合に、次回の定時決定のときまで保険料負担が改定前の標準報酬月額により算定されることになるのを避けるため、育児休業終了時改定と同じ発想で産前産後休業終了後の3箇月の報酬月額を基に標準報酬月額を改定する制度が設けられました。以下、制度の利用に関して、注意点等を見ていきます。


1.産前産後休業期間中の保険料免除制度

 保険料が免除になる期間は、産休開始日の属する月から産休終了日の翌日の属する月の前月までとなります。ただし、実務的には、産休が終了しても引続き育児休業を取得する場合が多いものと思量します。従って、産休終了月は育児休業期間中の社会保険料免除制度適用月となり、そのまま保険料の免除が育児休業の終了まで継続していくことになります。

 制度の施行は、平成26年4月ですが、対象となるのは4月30日以降に産前産後休業が終了となる被保険者(平成26年4月分以降の保険料)となります。このことの意味は、4月30日より前に産休が終了した場合、保険料の免除は前月の3月までということですが、3月は法律が施行される前ですので対象にならず、4月については、育児休業を連続して取得したとき初めて育児休業による保険料免除の対象月となります。産休により4月が保険料免除の対象になるのは、4月30日に産休が終了することで初めて「その翌日の属する月の前月」が法律の施行対象月の4月に当たるので、4月30日に産休が終了となる人から適用ということになるのです。

 産休期間中の保険料免除を受けるためには、事業主が期間中に「産前産後休業取得者申出書」を年金事務所及び健康保険組合に提出する必要があります。


2.産前産後休業終了時の標準報酬の改定

 産休が終了し、職場復帰後、給与が下がる場合の標準報酬月額の改定は、産休終了日の翌日が属する月以降の3箇月間で、給与支払基礎日数が17日以上の月のみの平均値を計算して、その値が1等級でも下がっていれば、4箇月目から改定されます。産休終了時の標準報酬月額の改定は、「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を提出することによって行います。

 ただし、産休が終了しても引続き育児休業を取得する場合が多いものと思量しますので、産休に引続き「育児休業取得者申出書」を提出して、育児休業を取得した場合には、育児休業の終了時の「育児休業終了時改定」によることになります。


3.3歳未満の子の養育特例

 この制度は、3歳未満の子の養育期間に係る標準報酬月額について、年金額の計算時には、養育期間中に引下げられた標準報酬月額ではなく、以前の高い標準報酬月額を養育期間中の標準報酬月額であったとみなすものです。手続は、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を事業所経由で年金事務所に提出することです。養育特例は、次のような事由が生じたときに終了します。

(1)子が3歳に達したとき
(2)資格を喪失したとき
(3)申出に係る子以外の子について特例措置の適用を受けることになったとき
(4)子を養育しなくなったとき
(5)次子の産休を開始したとき

 (5)子が3歳に到達する前に次子を出産する場合です。この場合には、次子の養育特例に係る「従前標準報酬月額」は、先に出産した子の「従前標準報酬月額」を引継ぐことになります。従って、この場合に「養育期間標準報酬月額特例終了届」の提出は不要とされています。


4.「産前産後休業取得者申出書」の提出時期

 「産前産後休業取得者申出書」の提出は産休期間中となっていますので、出産前に提出するか、出産後に提出するかが問題になります。出産後に提出すれば、既に出産日は確定していますので、追加の手続は特に必要なくなります。しかし、出産前に提出すると、出産予定日と実際の出産日が異なる場合、「産前産後休業取得者変更届」の提出が求められることになります。ただし、遡って保険料が調整されるのを避けて産休の開始時から保険料の免除を享受するためには、出産前に申出書を提出する必要があります。

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