厚生年金基金に関する改正点

 平成25年6月に可決成立した「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」の施行により、これまで我が国の企業年金制度の中枢を担ってきた厚生年金基金も、原則廃止の方向に動き出しています。同法の施行による厚生年金基金制度の主な改正点をまとめておきます。


1.基金新設を平成26年4月以降認めない

 基金新設を認めないことに加え、基金の解散又は中途脱退による代行部分の企業年金連合会への移換も停止されます。従って、今後基金から企業年金連合会へ移換できるのは、加算部分及びプラスアルファー部分だけということになります

厚生年金保険法159条は、1項及び2項で企業年金連合会の業務につき、次のように定めています。

1.連合会は、第160条第5項の規定により老齢年金給付の支給に関する義務を承継している中途脱退者及び解散基金加入員に対し老齢年金給付の支給を行うほか、第160条の2第3項及び第161条第5項の規定により一時金たる給付の支給を行うものとする。
2.連合会は、前項に規定する業務のほか、第147条第4項に規定する残余財産の交付を受け、同項に規定する者について、死亡又は障害を支給理由とする年金たる給付又は一時金たる給付を行うことができる。



2.施行日から5年間の特例措置

 代行割れとなっている基金が厚生労働大臣に対する自主的な申出により解散する「特例解散制度」について、解散申請を施行日から5年以内に行うことを条件に、次のような特例措置が実施されています。

(1)事業所間の連帯債務を負わせることなく、各事業所ごとに債務を確定する分割納付の特例を実施します。この際、利息を固定金利とし、納付期間を最長15年から30年に延長します。

(2)代行割れが見込まれ、自主的に基金解散の申請を行った場合、厚生労働大臣は、基金が事業運営について相当の努力をしたものとして政令で定める要件を満たすときに、社会保障審議会の意見を聴いた上、基金の解散を認可します。この特例解散が認可されると、納付額の最低準備金は、「平成11年9月までは5.5%、平成11年10月以降は厚生年金本体の実績利回りを付利」又は「基金設立時から厚生年金本体の実績利回りを付利」して計算した額のいずれか低い方とします。

(3)解散認可基準について、母体企業の経営悪化等の事由要件を撤廃した上で、代議員の定数の4分の3による議決から3分の2による議決へ緩和されます。

(4)「毎事業年度の決算における純資産額が最低責任準備金に政令で定める率を乗じて得た額を下回る」又は「事業継続が著しく困難なものとして政令で定める要件を満たす」場合には、社会保障審議会の意見を聴いて「清算型基金」に指定します。この指定を受けた基金は、解散に必要な業務が完了するまでの「清算計画」を提出し、承認を受けると議決要件に係らず解散することになります。


3.施行日から5年間経過後の措置

(1)毎年度の決算における純資産額が「最低責任準備金の1.5倍未満」かつ「決算までの加入期間に見合う代行部分及び上乗せ部分の債務(非継続基準による要積立額)未満」の基金については、厚生労働大臣が事業継続困難とみなし、第三者委員会の意見を聴いた上で解散命令を発動できるとしています。

(2)上乗せ資産を確定給付企業年金(DB)へ移行する場合、移行後の積立不足を掛金で埋めることができる期間を延長するとしています。また、解散後、事業所単位で既存の確定給付企業年金(DB)へ移行できる仕組みが創設されます。

(3)上乗せ資産を確定拠出年金(DC)へ移行する場合、厚生年金基金を脱退した事業所の従業員が厚生年金基金から既存の確定拠出年金(DC)へ資産を移換できるようにするとしています。また、解散後、確定拠出年金(DC)へ移行する場合の積立基準が緩和されます。

(4)確定給付企業年金(DB)等の仕組みを活用する場合、退職金についての積立基準の規制を緩和します。

(5)厚生年金基金解散後、事業所単位で中退共へ移行できる仕組みが創設されます。

20140415_企業年金連合会Chart
    (出典:企業年金連合会HP)
 

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