平成26年度年金制度改正についての雑感(1)

 平成26年4月は、後から振り返ると我が国の歴史に刻まれる「時」になるのかもしれません。何といっても消費税増税がその全ての要因といってよいと思いますが、消費税の引上げが「税と社会保障の一体改革」という建前の下に断行されたため、社会保障の重要な一角を占める年金制度も、この4月から相当大きく変更されています。

 東京都社会保険労務士会の発行する会報の4月号に、年金制度に詳しい三宅明彦先生が「平成26年度年金制度改正のポイント」と題して寄稿されておられたのを拝読しました。その中で、既に世間でも大分知れ渡ってきたと思われる「遺族基礎年金の父子家庭への支給拡大」について書かれたところは特に興味をひきます。

 遺族基礎年金の受給要件については、これまでも記事で何度か触れていますが(遺族基礎年金及び遺族厚生年金の基礎遺族基礎年金の受給権者)、簡単に復習すると、「夫が死亡した場合に残された遺族が18歳到達年度末日未到達の子(夫の実子又は養子)のある妻又は18歳到達年度末日未到達の子(夫の実子又は養子)であって、夫によって生計を維持されていたこと」ということでした。これが、本年4月から「妻が死亡した場合に残された遺族が18歳到達年度末日未到達の子(妻の実子又は養子)のある夫」にも適用されることになりました。ただし、当然といえば当然ですが、この改正の適用に遡及効は認められていないので、不公平との感じを持たれる方もおられるかもしれません。

 この改正で一つ議論になったのが、当初の「国民年金法施行令等の一部を改正する政令案」で示された「死亡者が第3号被保険者であるときは、支給要件である配偶者により生計を維持されていたことには該当しない」という点でした。これについては、全国社労士会連合会も会長名で反対の意見を表明する(「国民年金法施行令等の一部を改正する政令案」に関する会長見解)などの反響があり、第3号被保険者が死亡した場合も他の被保険者と区別をしないことになりました。とはいえ、またもや、第3号被保険者が論議の対象になっていたことがわかります。以前にも述べたとおり、小生は「第3号被保険者」制度は欠陥が多すぎる制度なので廃止すべきだという考えです。決して個人単位の平等主義の徹底や家族主義の伝統を軽視する立場からではなく、あくまで制度として問題が次から次へと出現しすぎのため、制度を維持する公益よりも不便や筋の通らぬことの方が優に上回っているという視点です(第3号被保険者に関する種別変更問題の考察_2011年12月2日)。

 小生の立場とは全く異なるように思えますが、「第3号被保険者制度は廃止すべし」という結論は一致するこんな記事が今朝ほど紹介されておりました。
 公的年金の制度改革を議論する社会保障審議会年金部会の武田洋子委員(三菱総合研究所チーフエコノミスト)

 三宅先生は、今回の遺族基礎年金の受給権者の拡大について、年金制度における男女差解消の方向付けと解釈され、遺族厚生年金の男女差、すなわち、夫が遺族厚生年金を受給するためには妻の死亡時に夫が55歳以上であるという要件も解消されるべきであると主張されています。また、「寡婦年金」、「中高齢の寡婦加算」、「子のいない30歳未満の妻に支給される5年間の有期年金」等の廃止(?)も検討されるべきであるとしています。このような考え方は、個人単位の平等主義を徹底していけば、必然的に俎上に上せられてくる議論です。しかし、そもそも個人単位の平等主義を徹底することが、はたして我が国の歴史や伝統に立脚した価値観に合致していることなのか、現代に生きる国民だけでなく、過去から将来に連なる人々の経世済民につながることなのか、極めて冷静かつ大局に立った判断が求められる懸案のように思えます。

201403_桜花爛漫

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