雇用調整助成金から労働移動支援助成金へ?

1.雇用保険関係の主要助成金制度

 雇用保険関連の代表的な助成金として、雇用維持のための雇用調整助成金及び再就職支援のための労働移動支援助成金を取り上げます。まずはどのような助成金なのか、概略を見てみます。

(1)雇用調整助成金

 景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合、具体的には、売上高又は生産量などの事業活動を示す指標の最近3箇月間の月当たり平均値が前年同期比10%以上の減少となっている等の場合、休業、教育訓練、又は出向によってその雇用する労働者の雇用の維持を図る事業主に対して支給される助成金です。

 支給額は、平成25年度現在、休業手当等の一部助成としてその2分の1中小企業の場合3分の2)、教育訓練の実施については、事業所内で行った場合1人1日当たり1000円(中小企業のときは1500円)、事業所外で行った場合1人1日当たり2000円(中小企業のときは3000円)、また、出向を行った場合、出向元事業主の負担額の一部助成としてその2分の1(中小企業のとき3分の2)とされています。休業手当又は賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成対象労働者1人当たりの助成金の上限は7830円です。

(3)労働移動支援助成金

 事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者等に対して、求職活動のための休暇を1日以上与え、当該休暇の日について通常賃金以上の額を支払うなどの支援をした上で、再就職を実現するための支援を民間の職業紹介事業者に委託して行う中小企業事業主に対して支給される助成金です。

 支給額は、平成25年度現在、委託費用の2分の1(対象被保険者が45歳以上の場合3分の2)、1人当たりの上限は40万円、同一の計画については上限300人までとされています。


2.雇用調整助成金から移動支援助成金へ

 さて、この雇用調整助成金ですが、2008年(平成20年)のリーマン・ショックを契機とする世界的な金融危機及びその後の不況に対処するために、助成率が5分の4まで引上げられ、翌2009年6月に支給限度日数を3年で150日から300日へ延長、過去にこの助成金の支給を受けたことがある企業であっても使用できるようにクーリング期間を撤廃するなどの制度の充実が図られ、2009年(平成21年)には、約80万事業所が6535億円程度の支給を受け、恐慌寸前の大不況時に雇用を守る制度として、その役割を果たしてきました(雇用調整助成金制度の変遷)。

 その後、政権交代、アベノミクスによる経済政策の大転換などを経て、助成率が以前の水準に戻されています。景氣が若干の上向き傾向を示していることもあるからなのでしょうが、政府は雇用調整から労働移動支援重視に舵を切ったと明らかに見て取れます。その根拠は、来る2014年度の予算で雇用調整助成金が545億円と前年度の約1175億円から半減されていること、一方、労働移動支援助成金については、予算が前年度の2億円程度から2014年度は301億円と大幅に増額されていることです。


3.最近の労働政策に関する新聞報道から

 雇用保険関連の助成金について、「雇用維持から雇用の流動化へ」という明白な方向性が見て取れると述べました。前述の労働移動支援助成金については、予算の拡大の他、次のような制度変更も予定されています。

(1)対象企業が中小企業だけでなく大企業にも拡大される。
(2)送り出し企業が民間人材ビジネスの訓練を活用した場合の助成措置が創設される。
(3)支給時期が支援委託時と再就職実現時の2段階とされる。
(4)受入れ企業の行う訓練(OJTを含む)への助成措置が創設される。

 その他にも、ある意味で一貫性が保たれているといえるかもしれない氣にかかる労働政策についての報道が相次いでいます。

(1)毎年20万人の移民受け入れ 政府が本格検討開始
 →経済財政諮問会議の専門調査会を中心に議論を進め、年内に報告書をまとめる方針だそうです。心底から馬鹿げた政策だと思います。こんな議論、「欧州各国で移民政策に成功した国は皆無、むしろ良き伝統を破壊し、社会保障制度を危機に至らしめるなど諸悪の根源となっている、以上」で終了です。

(2)官房長官、法人減税「世界との競争の中で戦う環境を整備」
 →これも経済財政諮問会議関連のようです。「菅氏は19日に首相官邸で開いた経済財政諮問会議で、2015年度から法人実効税率を引き下げるべきだと発言している。」

(3)Q&A 配偶者控除見直し
 →女性の活用といっておられますが、外国人移民同様、女性を安い労働力として「活用」しようという魂胆も透けて見えるようです。

(4)政府・自民、所得税の納税上限検討2億円案 金融・投資企業を呼び込み

201403_中小企業事業主の範囲

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