公的年金、物価連動国債購入へ

 20日、ロイター通信は、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が物価連動国債への投資に乗り出す。デフレ脱却を見据え、将来の金利上昇に備えるのが狙い。GPIFは『来年4月から少なくとも年間数千億円規模で投資する』としている。」と伝えています(GPIF、来年4月から物価連動国債を購入=厚労省)。

 デフレからの脱却と2%程度のインフレを目標とする政府・日銀の金融政策の動向を受けて、政府の有識者会議が11月20日に甘利明経済再生担当相に提出した最終報告書で、GPIFの公的年金資産の運用に関して、国内債中心で金利上昇に弱い資産構成を見直し、デフレ脱却を前提に金利リスクを管理する必要があるとの提言(GPIF理事長:国内債比率、将来は低下へ)を行っています。今後、GPIFが公的年金資産の運用比率に若干の手直しを施していくことが予想されます。今回は、物価連動国債又はインフレ連動国債とはどのような金融商品なのか、簡単にまとめておきたいと思います。
  

1.ブレークイーブン・インフレ率

 ブレークイーブン・インフレ率(break-even inflation rate)とは、物価が今後どの程度上昇すると一般的に予想されているかを表すインフレ期待(inflationary expectations)を測る代表的な指標です。国債とインフレ連動債との利回りの差を数値化したもので、市場が推測する期待インフレ率を表します。この値がプラスならインフレ、マイナスならデフレを市場が期待していることになると考えます。

 ブレークイーブン・インフレ率 = (国債の利回り - インフレ連動国債の利回り)


2.物価連動債

 英国及び米国などで実際に発行されている物価連動債と固定金利債券との違いは、元本・クーポン(利息)のどちらかないし両方が発行条件に明示されている物価指数による調整を受ける点です。

 通常の長期債券の利率(長期金利)は、実質的に利息が増える分とインフレのリスクヘッジ分に分けられます。一方でインフレ連動債の場合、元本と利率がインフレによって目減りするリスク分が必ず補填されることになっていますので(逆に、デフレによる増加分は控除)、利率は「実質的に利息が増える分」のみになります。したがって、この2種類の債券利率を比較することで市場の期待インフレーション率が分かると考えられています。

 例えば、10年後10000円が返済される零クーポン長期債が5584円で取引されていたとします。この場合、名目金利は年率は6%となります。一方で、10年後の返済額が「インフレ調整現在価値で10000円」であるインフレ連動債、つまり年率1%のインフレが10年間続いたとすると元本が11046円になり、年率2%のインフレであれば、元本が12190円という具合になることが保証された零クーポン債が、7441円で取引されていたとします。この連動債の金利は3%ですから、実質金利は年率3%となります。そして、通常の国債の名目金利6%と実質金利3%の差は3%(実際は除算をすべきところですが、減算でも近似値が出る)となります。ここから、金融市場は10年間の間に年平均3%のインフレが起きると想定していると考えることができるわけです。

 上記の例で、-1%のデフレ期待の状況(デフレ期で名目金利が6%もある状況は、非現実的ではありますが)を見てみることにします。6%-X=-1%となる連動債の市場価格を求めればよいわけですから、5083円、実質金利は7%となります。

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