派遣労働規制緩和の動き

 民主党政権時代、「登録型派遣の原則禁止」、「製造業における派遣労働原則禁止」などの論点が俎上に上せられ、派遣労働に関する規制強化の動きが優勢の中、平成24年(2012年)4月に上記の論点は改正に盛込まれない形で、「改正労働者派遣法」が施行されています。

 そもそも、我が国の労働法体系では、職業安定法第44条において、労働者供給事業を包括的に禁止しています。しかし、同法4条6項によって、「労働者派遣」は労働者供給事業から除外され、労働者派遣法の定める要件を満たすことにより、適法とされているという体裁をとっています。従って、派遣労働は、限定的な労働形態と考えるのが本筋であり、正規労働を推し進めることが社会政策的にも実質的妥当性が高いと思われます。ただ、派遣労働が相当程度社会に浸透してしまった昨今、急激に派遣労働を制限することに対して、多方面からの反発もあることは想像に難くなく、「企業が派遣社員を受け入れる期間の上限を事実上なくし、3年ごとの人の交代で、同じ業務をずっと派遣労働者に任せられるようにする。」案が厚生労働省で検討されていることが、12日公表されています。「正社員の仕事が派遣社員に置き換わる可能性があるとして連合などは反発している」とのことですが、厚労省はこの案を軸に年内に結論を出すようです。日本経済新聞電子版等の報道によれば、詳細は以下の通りです。


(1)派遣期間無制限26業務廃止
 まず派遣期間に上限のないソフトウエア開発、通訳、秘書又はファイリングなど「26業務」の区分をなくします。区分の廃止により何が26業務にあたるのか分かりづらかった問題を解決し、派遣労働者に仕事を任せやすくするのが目的としています。

(2)派遣期間の無制限化
 その上で、派遣期間の上限は「業務」ごとではなく「人」ごとに変えるとしています。現行法では、専門26業務以外で3年とする上限は、企業が仕事を派遣労働者に任せてよい期間で、1人の派遣労働者が同じ職場で働ける上限ではありません。上限を「人」に改めることで、人を交代すれば、企業は同じ職場で派遣労働者の受け入れを続けられる期間に制限がなくなるというわけです。しかし、こうなると派遣労働者を守ると同時に正規労働が派遣に置き換えられてしまうことから正規労働者を保護するという建前が崩れます。この点は、派遣労働が正規労働を代替しないように、労働者を交代する時に、労働組合に意見を聞くよう企業に求めるとしていますが、どこまで実効性が働くのか連合などから疑問の声が上がっているようです。

(3)常用型派遣労働者及び高齢者の期間の無制限化
  派遣元の派遣会社と無期の雇用契約を結ぶ人や60歳以上の高齢者は、上限なく同じ派遣先で働き続けられるようにします。

(4)登録型派遣の無期転換等の義務付け
 派遣元と有期の雇用契約を結んでいる労働者は3年働いた時点で、他の労働者と交代しなくてはならないため、この時点で派遣会社に
 ① 派遣先に直接雇用を申し入れる
 ② 新たな派遣先を提供する
 ③ 派遣会社で無期雇用に転換する
――などの措置を義務付けることにしています。これにより派遣労働者にはキャリアアップの機会が増える一方、派遣会社の負担は膨らむことになります。

(5)派遣事業の「許可制」一本化
 派遣元企業が常時雇用する労働者のみを派遣する常用型派遣だけを行う「特定労働者派遣事業」に許容されている「届出制」を廃止し、派遣事業は全て「許可制」に移行し、派遣業者には定期的な許可の更新や講習の受講を義務付けることとしてます。

東京国立博物館

コメント

またも派遣法改正見送り

川端氏は、同日開いた野党8党の国対委員長会談を踏まえ、危険ドラッグの取り締まりを強化する薬事法改正案など社会的、人道的に緊急を要する法案以外には協力しないという野党側の方針を伝えた。
川端氏は会談後、「解散必至の国会の中、落ち着いて審議する環境にない」と記者団に語った。野党側は協力する法案として、薬事法改正案や感染症法改正案など4法案を念頭に置いているという。与野党がそれぞれ検討中の中国漁船によるサンゴ密漁などに対する罰則を強化する外国人漁業規制法などの改正案も今後、対象となる可能性がある。

自民、公明両党はこれに先立ち、幹事長・国対委員長会談を開き、地方創生の関連2法案などの重要法案の今国会中の成立を目指すことを確認した。一方、派遣労働者に柔軟な働き方を認める労働者派遣法改正案については、今国会での成立を断念した。同日の衆院厚生労働委員会の理事会で、与党側が週内の審議を見送る考えを野党側に伝えた。(2014年11月13日読売電子版)

2014年11月13日 15:51 from ヨコテ URL

非公開コメント

トラックバック

http://yokoteoffice.blog130.fc2.com/tb.php/344-fef6f05b