改正労働契約法への対応

 本年4月1日から施行されている改正労働契約法については、18条の有期労働契約の無期労働契約への転換権が今後実務上の大きな問題になってくる可能性があります。18条の施行日が本年4月ですので、1年更新の有期労働契約の場合、最短で平成30年(2018年)4月に5回目の更新をしたとき、無期転換権が生じることになります。そこで、改正労働契約法に対する実務上の留意点を「月刊社労士」11月号に掲載された記事などを参考にまとめておきたいと思います。


1.有期労働契約の仕分け

 改正労働契約法の施行によって、今後有期労働契約についての制約が課せられるのですから、有期労働契約による労働が事業の継続にとって本当に必要なのか、この機会に見直しておくべきです。具体的には、業務委託や派遣労働等の契約形態に切り替えることが可能か検討することになります。ただし、現に勤務している有期労働契約の従業員を無理やり雇止めにするようなやり方では、本末転倒です。この見直しと具体的な対策の実施は、数年の時間をかけて行うものと腹を据えることが大切です。


2.無期転換に向き合う(1)

 次に、現行の有期労働契約の切替が困難で有期労働契約の継続が必須の場合です。今日、スーパーなどの小売、チェーン展開をしているサーヴィス業など、有期労働契約の従業員が基幹業務の担い手であり、かつこれらの者を正規雇用に切り替えるには費用の観点から事業を成り立たせることが困難になると思われる業態が想定できます。

 このような業態では、多くの有期労働契約の従業員が数年後に5年超の無期転換権を有する者になりえます。従って、今から就業規則の見直し及び労働契約書又は労働条件通知書などの準備を積極的に進めておくこと必要があるといえます。

 早速、書き直しておかねばならないところは、正社員就業規則の適用の範囲のところです。正社員とは別に、無期転換社員就業規則を別途作るというのが最善策かもしれませんが、次のようにして、従来の契約社員用又はパート社員用の就業規則を準用する形も考えられます。

 第○条 従業員の種類

 従業員の種類は、次の通りとします。
 (1)正規従業員  入社試験その他の選考によって雇用される者であって、契約従業員、パートタイマー、嘱託従業員、臨時従業員以外の者。
 (2)契約従業員  所定労働時間が正規従業員に準ずる者で、期間を定めて雇用する者(労働契約法18条の規定により無期契約に転換した従業員を含む)。
 (3)パートタイマー  所定労働時間が正規従業員より短く、期間を定めて雇用する者(労働契約法18条の規定により無期契約に転換した従業員を含む)。
 (以下省略)

 第○条 適用範囲

 1.本就業規則は、前条に規定される正規従業員について適用されます。
 2.契約従業員、パートタイマー及び嘱託従業員については、別途定める「契約従業員及びパートタイマー就業規則」及び「嘱託従業員規程」をそれぞれ適用します。


3.無期転換に向き合う(2)

 続いて、2で挙げられた業種とは異なり、有期労働契約を維持していく必然性がそれほどは高くない業態についてです。この業態では、実務的に残ってもらいたい有期労働契約の従業員の一部は正規雇用にしても構わない者と思われます。従って、正規雇用にする基準と雇止めにする基準を明確に定め、確実に実施してゆくことが重要です。また、有期契約労働から正規雇用に移行するということは、配転・転勤、労働時間、及び職責などの点でも有期労働契約とは異なる処遇を受容しなければならないことを意味します。改正労働契約法では、無期転換後の労働条件について、原則として以前の労働条件と同一とするものとしていますが、「別段の定め」をすることにより、変更することが可能とされています。

 さらに、労働契約書又は労働条件通知書に次のような条文又は文言を入れておくこと自体は、問題なくできると思われます。

 有期労働契約の契約更新は、次の要領で行います。ただし、原則として、契約更新を行う場合でも通算5年を超えて更新することはありません。

 (1)契約更新の有無  □ 特別の事情がない限り、原則的に更新する 
               □ 契約満了のつど更新の可否を判断する 
               □ 契約更新は行わない
 (2)契約更新は次の事由により判断する
   (以下省略)         


4.再雇用制度適用者の無期転換への対応

 高年齢雇用安定法で65歳までの雇用が義務付けられている現状では、60歳定年制の企業で再雇用制度が導入され、65歳になるまで、有期労働契約で再雇用される場合が大多数と思われます。この場合には、高年齢雇用安定法の趣旨からいっても、次のような定めを嘱託従業員規程ないしは再雇用契約書等に入れておくことに何の問題もないと思われます。

 定年後再雇用される従業員(以下嘱託従業員という)は、会社と1年単位の有期労働契約を締結し、以後65歳に達するまで、有期労働契約の更新を行うことができます。ただし、第2定年を65歳到達日とし、原則としてこの日を以って当該有期労働契約又は無期転換権が付与された労働契約は終了します。

東京国立博物館

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