リコー出向命令事件

 新聞報道などによれば、技術職から物流子会社への出向は自主退職を促すためだなどとして、リコー(東京)の社員2人が同社を相手取り、出向義務がないことの確認や損害賠償などを求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であり、篠原絵理裁判官は「人事権の乱用」と認定し、出向命令の無効を言い渡したとのことです。なお、会社側は、判決を不服として、直ちに控訴した模様です。

 リコーの出向命令は無効=退職拒否社員に「人事権乱用」-東京地裁

 単に「出向」という場合、在籍出向と転籍出向という2種類の出向が含まれています。在籍出向とは、出向元の会社に席を置きながら、関連会社などに出向することです。これに対して転籍出向とは、出向元の会社を一旦退職して出向先の会社に再就職するようなものですから、出向元の会社に戻ることができる特約でもない限り、原則として当事者の同意が必要です(民法第625条第1項)。

 在籍出向については、従業員からの個別の同意が必要とする個別同意説と包括的な同意で足りるとする包括同意説がありますが、就業規則又は労働協約等の一定の根拠が存在する場合、個別具体的な従業員の同意が得られなくとも出向が有効であるとした判決があります(出向命令_新日鐵事件)。 

 ただし、、平成20年3月1日施行の労働契約法は、第14条で出向命令と権利の濫用法理について規定を設けており、「その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、」権利の濫用と認められた場合、その出向命令は無効になるとしています。今回の東京地裁判決の根拠は、この条文によるものかと推察されます。

上野浅草周辺_0069

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