団体交渉における社労士業務と役割

 11月7日木曜日に開催された東京都社労士会の2013年前期必須研修において、「団体交渉における社労士業務とその役割」についてと題して寺田晃統括支部長が講師をされた講義は、大変興味深いものとなりました。講義の内容は、今後の業務を考える上で大いに参考になるものでしたので、要点をまとめておきたいと思います。


1.社労士業務

 まず、社会保険労務士法から社労士業務をまとめておきます。社労士業務は同法2条1項に挙げられています。

(1)手続業務:労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等(行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、再審査請求書その他の書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)をいう。以下同じ。)を作成すること。

(1)-2 申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。
労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、異議申立て、再審査請求その他の事項について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述(厚生労働省令で定めるものを除く。)について、代理すること(「事務代理」という。)。

(2)帳簿書類作成:労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含み、申請書等を除く。)を作成すること。

(3)事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。

 (3)には、かつて「労働争議に介入することとなるものを除く。」という括弧書きが付され、また、23条には、「労働争議に介入してはならない。」旨規定されていましたが、平成17年第7次改正で削除されました。

 社会保険労務士法が制定された昭和43年当時、法が想定した労働争議「介入」とは、次のような場合であるとされています。

(A)労使紛争の当事者双方の中に割って入り、交渉妥結のために斡旋又は調整といった機能を果たす場合。
(B)一方の当事者の代理人として、その当事者のために相手方と折衝等の任に当たる場合。
(C)表面には出てこないで、法律解釈又は争議対策の検討等、相談・指導に応じる場合。


2.第7次改正後の社労士業務

 そこで重要なことは、3号業務に付されていた「労働争議に介入することとなるものを除く。」という括弧書き、及び、23条「労働争議に介入してはならない。」旨の規定が削除された結果、どのような効果が生まれたかということです。

 これについて言及した、平成18年3月1日 厚生労働省基発第0301002号庁文発第0301001号の骨子は、「社労士は、業として当事者の一方が行う争議行為の対策の検討、決定等に参与することができることとなる。しかし、労働争議時の団体交渉において、一方の代理人となることは、法第2条第2項の業務には含まれない」ということです。

 また、平成18年6月30日付け連合会見解は、「(労働協約締結時の)団体交渉の場に、当事者の一方とともに出席し、交渉することは法第2条1項3号の業務に含まれ、弁護士法第72条に反しない限り、当然社会保険労務士の業務であり、法改正後は、労働争議時における団体交渉についても、(労働協約締結時の解釈)と同様と解釈する」と述べています。

 ただし、ここで注意が必要なことは、(A)労使紛争の当事者双方の中に割って入り、交渉妥結のために斡旋又は調整といった機能を果たすことは、依然できない業務であり、また、(B)一方の当事者の代理人として、その当事者のために相手方と折衝等の任に当たる場合でも、当事者の一方を代表して相手方と折衝に当たるような行為は、不適当と解釈されていることです。


3.団体交渉事始

 社会保険労務士法は、第1条で「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。」と社会保険労務士制度を制定した理念について語っています。社労士が団体交渉にかかわる理由も根底はそこにあるということを肝に銘じておかねばなりません。

 そして、当事者から委任を受けているという点を明らかにするために、「委任状」を書面にしておくことが望まれます。「○○側から委任を受けて交渉委員として出席している社会保険労務士の○×です。どうぞ宜しく。」という感じでしょうか。

 また、交渉にかける時間及び時間帯、出席する人数、議事録の作成など事前に十分検討しておくべき点です。その上で、できる限り丁寧な対応を心がけ、交渉を進めてゆくことが肝要です。

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