年金機能強化法と消費税引上げとの関係

1.年金機能強化法

 新聞報道などによれば、来年4月に予定されている消費税引上げについて、安倍首相は来る10月1日にその施行の是非についての最終判断を行うということのようです。消費税の引上げは、決して有無を言わせぬ決定事項ではなかったということが、ここに来て白日の下に曝されることになりました(社会保障と税の一体改革-消費税増税法案衆院通過-_2012年6月28日)。

 昨年8月10日の消費税引上げ法案可決、成立に伴い、「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金機能強化法)という長い名前の法律が国会で成立し、同月22日に公布されています。その内容については、既に解説しました(年金機能強化法の内容_2012年9月2日)が、総理の決断を前にもう一度復習しておきたいと思います。


(1)基礎年金の国庫負担割合2分の1を恒久化

 平成26年4月施行、つまり、消費税が8%に引上げられることを前提に、これによって得られる税収増をあてこんで基礎年金の国庫負担割合2分の1を維持するという考えが背景にあります。そうすると、消費税引上げが停止された場合、どうなるのかいまひとつ判然としないところです。景気の回復で税収は増加傾向にあるのですが、財政は依然国債の発行に頼る状況です。お金には色がないので、そもそもこういう議論をしていることに果たして意味があるのか、という氣もいたします。

(2)父子家庭への遺族基礎年金の支給

 同じく平成26年4月施行、消費税が8%に引上げられることを前提にした改正のようです。現在子のある妻に限定された遺族基礎年金の支給を子のある父にも受給権者の範囲を拡大するというものです。遺族年金でいう子とは、18歳到達年度の3月31日を経過していない子、又は20歳未満かつ障害年金の障害等級1~2級の子のことです。

 これを認めてしまうと、それでは実施日より前に母親がなくなった子のある父はどうなるんだということになりますが、支給対象外です。あまりに不公平なので救済措置を、という話になりそうな氣が少ししています。

(3)老齢基礎年金の受給資格期間10年に短縮

 平成27年10月の消費税10%への引上げによる税収増をあてこんで実施される措置です。対象となるのは、老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金及び寡婦年金などです。現行法の受給資格期間25年を満たしていない60歳以上の者が改正施行日以降、受給資格期間10年を満たすことになれば、それ以降は納付済み期間等に応じた年金を受給することになります。

 これも、実施されたらされたで問題の多い改正です。財源確保が必要なことはいうに及ばす、10年では生活していけるだけの年金額には到底達しないこと、それにもかかわらず、被保険者の納付意欲をそぐ方向(10年だけ納付して後は未納とするなど)に作用することなどが懸念されます。

 さらに、障害年金及び遺族年金の受給資格との整合性についても、細かく検討してゆく必要があると思われます。

(4)短時間労働者に対する厚生年金及び健康保険の適用拡大

 この改正の施行は、平成28年10月となっていますので、消費税の引上げとは直接連動してはいないようです。中身は、「週所定労働時間が20時間以上」、「賃金が月額88000円以上(年収106万円以上)」、従業員501人以上の規模の企業に使用されている」の基準を全て満たす短時間労働者(ただし、学生を除く)について、厚生年金保険及び健康保険の被保険者とするということでした。また、厚生年金の標準報酬月額等級に88000円の枠が新たに追加されます。


2.社会保障と税の一体改革関連法概観

平成24年年金制度改革 施行時期

コメント

露骨に不平等です

父子家庭への遺族年金の件、明らかに不平等です。

「施行日以降に18歳未満の子がいる父子家庭」であっても、施行日より前に死別していたら対象でないなど、あまりにも酷い話です。

男女間の不公平を正すのなら、18歳未満の子がいる全死別母子父子家庭が対象で無ければおかしい!

2014年01月22日 22:58 from cat URL

非公開コメント

トラックバック

http://yokoteoffice.blog130.fc2.com/tb.php/327-4b065a71