消費税引上げについての動向

1.消費税引上げの大義は社会保障目的税だった

 昨年8月、消費税を平成27年10月までに10%に引上げることを決めた消費税増税法案(「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案」)が国会で成立しています。しかし、この法律の施行ついては、「消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。」という景気弾力条項が付帯されているために、今月下旬から来月上旬にかけてのどこかで、総理大臣がその実施について最終決断を行うことになっています。

 ところで、昨今の消費税を巡る議論で忘れ去られているかに見えるところですが、今回の消費税引上げについては、その正当性を「消費税の使途は、原則として社会保障サービスなどに限る社会保障目的税」という点に求めていることです。だからこそ、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げるための恒久財源として、また、平成24年度及び25年度の国庫負担割合を2分の1とするために発行された年金特例公債を償還するための財源としての消費税増税であり、老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金及び寡婦年金の受給資格期間を25年から10年に引き下げる財源としての消費税増税であるなど、多くの社会保障改革が増税を前提に設計されてしまっているのです。


2.政府の「集中点検会合」

 先週は、60人ほどの有識者から消費税引上げの是非、その影響などについて意見を聞く、政府の「集中点検会合」が開かれたことは、新聞・テレビ等で広く報道され周知のことです。さて、消費税は、果たして来春8%に引き上げられるのでしょうか? 出席された60人のうち、約7割の44人が、平成26年4月に予定通り3%引き上げるべきとの主張だったようです。
消費増税で有識者の7割が2014年3%上げ容認、激変緩和策に焦点

 しかし、安倍総理の政策ブレーンに名を連ねておられる浜田宏一内閣官房参与(イェール大学名誉教授)、本田悦朗内閣官房参与(静岡県立大学教授)などは、「デフレ脱却途上では増税の刻みは小さくすべきだ」と年1%引上げ説を唱えていたようです。これは、事実上の反対論ではないのでしょうか? というのは、増税による経済への影響が最も軽微とみられ、慎重論者が提案する「1%ずつ」の小刻み案には、中小企業を中心とした実務家が次のように述べて反対しているからです。「対応するための事務量が膨大」(岡村正・日本商工会議所会頭)、「価格転嫁を阻害し、中小企業の収益悪化を招く」(鶴田欣也・全国中小企業団体中央会会長)と表明、価格転嫁の難しさや事務費用の肥大化が容易に想定されてしまい、中小企業の重荷になり、実務的には採用できない筋の悪い方策とみられるからです。
点検会合最終日は6人が来春3%増税賛成、本田参与ら小刻み提唱

 さらに、今月は、FRBの超金融緩和策からの早期脱却や米国によるシリアへの軍事介入の可能性など、我が国の景気動向にも大きな影響を及ぼしそうな事象が予想されています。果たして総理は既に腹をくくっているのやら。個人的には、消費税引上げは時期尚早、数年間の先延ばしが上策だと思っています。
官邸の財務省不信が生んだ「検討会合」、税・財政で主導権争い

上野池之端Lotus(2013年)

コメント

読売消費税引上げ延期社説

読売消費税引上げ延期社説

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130830-OYT1T01397.htm

2013年09月05日 13:10 from ヨコテ URL

非公開コメント

トラックバック

http://yokoteoffice.blog130.fc2.com/tb.php/326-2aa2e041