社会保障制度改革国民会議最終報告に対する批評

 政府の社会保障制度改革国民会議の最終報告が先週発表されました。また、政府はこれを受けて工程表をまとめることになっています。これに対して、著名な経済評論家である森永卓郎氏がNHKビジネス展望で批判的な論評を行っておられましたので紹介します。

 8月9日に放送されたビジネス展望によれば、森永氏は、最終報告全体に対する総括的な印象を「現状維持の彌縫策に終始」していると結論付けています。そもそも、国民会議を設置した目的は、消費税を引上げる代わりに将来的に安定したより安心できる社会保障制度を作り上げることだったと強調しています。ところがその観点で最終案を見ても、(1)国民健康保険の保険料上限の引上げ、(2)平均年収が高い健康保険組合が負担している対高齢者医療制度への負担の引上げ、(3)介護保険について高所得の高齢者の自己負担増など、高齢者と富裕層の負担増で現行制度を何とか維持して行こうという姿しか見えてこないと指摘しています。

 結局、この最終案では、消費税の引上げに加えて社会保障費も負担増を求めるものに過ぎないものになっています。しかし、医療保険の121万円、厚生年金保険の62万円という現行の標準報酬月額上限を撤廃して、富裕層と企業の負担を加増する再分配型の改革を断行すると年間でおよそ17000億円の増収が見込まれるなど、もう少し踏み込んだ改革を行い、将来的により安心できる制度を目指すべきだったのではないだろうかと森永氏は述べています。

 森永氏の主張は、税や社会保障費の負担を貧富の差に関係なく、平らかなものにして能力のある者がより力を発揮すれば好いとする新自由主義、市場原理主義的な発想とは一線を画したものであり、リーマン・ショック後の世界は、富裕層に負担増を求めるなど再分配の仕組みを見直す傾向が出てきているように感じられます。だとすると、我が国の消費税引上げなどは、少々周回遅れの税制改革というそしりを受ける可能性があるのかもしれません。

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