改正労働契約法 改正18条をめぐって

 これまでも何度か採り上げてまいりました改正労働契約法(参照:改正労働契約法_2012年8月16日改正労働契約法及び改正高年齢雇用安定法のその後_2012年11月30日)は、平成25年4月1日から有期労働契約の無期労働契約への転換権を定めた18条が施行されます。同時に有期労働契約であることを理由に労働条件の不合理な差別を禁じた20条も施行されることになっておりますが、今回はその施行に当たって、留意すべき点が多い18条について、まとめておきたいと思います。


1.「同一の使用者」とは

 18条1項にいう「同一の使用者」とは、労働契約を締結する法律上の主体が同一である使用者のことを意味しています。従って、事業場が異なっていることは「同一の使用者」という要件を排除することにはなりません。全国にチェーン展開するアパレルやコンビ二店の北海道の店舗で働いた後、九州の同一の使用者の店舗で新たに有期労働契約を締結して働いた場合でも、18条1項にいう「同一の使用者」要件を充たすということです。


2.どの時点で転換権が生じるのか

(1)「通算契約期間」とは

 改正契約法18条1項は、2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超えることを無期転換権発生の要件に挙げています。ここで第1に注意しなければならない点は、18条の規定は、施行の日以後の日を契約期間の初日とする期間の定めのある労働契約について適用し、施行の日前の日が契約期間の初日である期間の定めのある労働契約の契約期間は、「通算契約期間」には算入されないという点です。つまり、今現在締結している有期労働契約が本年4月以降満了し、新たな有期労働契約を締結したとしても、両者を通算することはできません。また、現在の有期労働契約が既に何度か更新されており、既に通算して5年を超えていたとしても、無期転換権が本年4月以降当該契約が満了するまでの間に発生することは、当然のことながらありません。

 第2に、「2以上の有期労働契約」といっていることから、無期転換権の発生の要件には、少なくとも1回以上の更新が行われていることが必要であることがわかります。有期労働契約の上限は、通常3年までとされていますが、例外規定が適用されて期間5年以上の有期労働契約を締結したとしても、この時点で無期転換権が発生することはありません。

 第3に「通算契約期間」の計算方法ですが、同計算は、年・月・日単位で行い、契約期間の初日から起算して翌月の応答日の前日までを1箇月とし、複数の契約期間について1箇月未満の日数がある場合には、その日数を合算した後、30日を1箇月に換算するものとされています。

(2)クーリング

 ところで、改正契約法18条2項は、複数の有期労働契約の間に「同一の使用者」の下で働いていない期間(空白期間)が一定以上継続した場合には、当該空白期間以前の有期労働契約期間は、前述の「通算契約期間」には算入しないとしています。この仕組みは「クーリング」と呼ばれています。

 この仕組みが発動するための空白期間ですが、通常は6箇月以上とされています。但し、契約期間が1年未満である有期労働契約を複数回締結している場合、厚生労働省令に基づき契約期間の長さに応じて契約期間がクーリングされることになります。具体的には次のような仕組みになります。

 ①契約期間が2箇月以下____1箇月以上の空白期間
 ②契約期間が2箇月超4箇月以下____2箇月以上の空白期間
 ③契約期間が4箇月超6箇月以下____3箇月以上の空白期間
 ④契約期間が6箇月超8箇月以下____4箇月以上の空白期間
 ⑤契約期間が8箇月超10箇月以下____5箇月以上の空白期間
 ④契約期間が10箇月超____6箇月以上の空白期間

(3)無期転換権の発生時期

 さて、有期契約労働者が使用者に対して無期転換の申込みを行うことができる時期に関して、改正契約法18条1項は、「現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に」と規程しています。例えば、契約期間3年の有期労働者が同様の条件で最初の更新を行ったとき、「通算契約期間」は6年となります。従って、更新された契約期間の初日から同契約期間が満了する日までの3年間が無期転換の申込みを行うことができる期間となります。

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