年更・算定手続マスター講座(中企団 定期研修会)

中小企業福祉事業団が幹事社労士のために開催している定期研修会に行ってきました。研修題目は、「年更・算定手続マスター講座」ということで、1号、2号業務の基本中の基本を実務に則して正味4時間しっかりと勉強しました。講師は、台東支部、小島経営労務事務所の小島信一先生でした。Workshopというのでしょうか、事前に配布されたレジュメの課題を実際に賃金台帳をみながら届出を作る作業があり、非常に実践的でためになりました。


1.年 更

「年更」とは、労災保険及び雇用保険を意味する労働保険の年度更新手続のことです。労働保険の保険料は、保険年度(4月1日から翌年3月31日まで)を単位として計算されることになっており、その額は全ての労働者に支払われる賃金の総額に保険料率を乗じて求められます。労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算するという方法をとっています。そのため、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きを毎年6月1日から7月10日までに行うことになっています。

年度更新は、「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」を作成して、所轄都道府県労働局及び労働基準監督署のいずれかに提出することによって行います。

対象労働者についてですが、労災保険の方では、「法人の役員」、「同居の親族」などの扱いが労働基準法の考え方そのままでよいようです。一方、雇用保険の場合、役員報酬が労働者としての賃金を上回っているような者は、労働者とみなされない、同居の親族は原則的に被保険者にならないなど運用が厳格なようです。雇用保険をこれらの者にも適用する場合には、労働者性を明らかにする何らかの措置が必要です。


2.算 定

算定は、年更が労働保険の話だったのに対して、健康保険及び厚生年金保険の話になります。社会保険では、毎月の保険料及び保険給付の計算をするとき、標準報酬月額を用いています。その標準報酬月額を決める最も一般的な方法が「定時決定」で「被保険者報酬月額算定基礎届」によるため、通称「算定」と呼ばれています。これに関連して、「資格取得時決定」、「随時改定」及び「育児休業終了時改定」でも標準報酬月額が変更されますので、広義で算定というときにはこれらの話も加わります。なお、随時改定は「被保険者報酬月額変更届」によって行われるため通称「月変」と呼ばれています。

報酬の中でも注意を要するのは、役員報酬です。役員報酬の根拠法は会社法で、総額を株主総会で決定し、各役員への分配額は取締役会で決めるとしています。従って、取締役会等の議事録は必ず用意する必要があります。また、増額ではなく減額については月変で行えるようですが、やはり取締役会議事録は必要でしょう。

少し認識が不足していたのは、月変を行わなければならない要件です。固定給の大幅な変更と理解して、例えば残業時間の大幅増が3箇月続いたことによって2等級以上高い報酬が出ていたとしても、月変の必要はないと考えていました。しかし、このときたまたま引越しをして固定給である通勤手当が月100円高くなっていたら(極端な例ですが...)、これは、①固定給上昇(非固定給も上昇)、②報酬平均額が2等級以上の開き、③支払基礎日数17日以上の要件を満たすので、月額変更届の提出が必要になってきます。

それでは、応用編で、固定給の基本給が20万円から23万円に増加したのと同時に、家族手当制度が廃止され、家族手当5万円が支給されなくなったというような場合です。つまり、固定給の増加と減少が同時に起こったような場合です。この場合、基本給と家族手当を合算して考えるのではありません。それぞれ、固定給上昇の場合と減額の場合を個別に検討するというのが基本です。この場合でも、たまたま当該3箇月が多忙期で残業の猛烈な増加もあり、2等級以上上昇ということであれば、月変届が必要という場合に当たってきますので、要注意です。また、あまり考えられないのですが、何かの事情で2等級以上減額の標準報酬に該当する場合にも、月変届が必要になります。

コメント

非公開コメント

トラックバック

http://yokoteoffice.blog130.fc2.com/tb.php/28-61bc6ca7