厚生年金基金制度の見直し厚労省試案

 厚生労働省は、先週2日に「厚生年金基金制度の見直しについて」(試案)を公表しました。厚労省によれば、この試案は、今後、社会保障審議会年金部会「厚生年金基金制度に関する専門委員会」で議論され、成案が得られれば、法律改正案を次期通常国会に提出する予定であるとしています。

 ただ、新聞報道によれば、基金が代行部分の積立不足を自助努力で解消できない場合には、厚生年金本体で穴埋めすることについて、健全な基金や自民党からの反対意見があり、厚労省の試案が実現するかどうかは不透明と伝えられています。
 
1.代行割れ問題への対応の基本原則

 厚生年金基金制度とは、国が管掌する厚生年金の相当部分を基金が国に代わってとり行う「代行制度」を基本的な枠組みとする企業年金制度です。近年、基金が国に代わって管理し、年金の支給も行っている代行部分について、積立不足となる「代行割れ問題」が盛んに俎上に上せられるようになりました。試案では、この問題に対応するための基本原則として、「モラルハザードを防止し、早期の対応を進める観点から、明確な適用プロセスと適用条件を設定し、特例解散(註)の申請は施行日から5年内にする。」として、次のように基本原則を発表しています。

(1)厚年基金自身の運営努力を求めること

 代行部分の積立不足は基金の母体企業が責任を持って負担することが前提であり、特例解散制度の適用に当たっても、基金の運営努力(掛金の適正な設定、給付抑制のための措置等)を求めることとする。
 また、受給者にも一定のルールの下に負担を求めるとともに、モラルハザード防止の観点から、基金全体の平均的なポートフォリオ(資産構成割合)を大きく外れた運用を行った結果生じた不足分については、母体企業の負担とする。

(2)母体企業の経営への影響に配慮すること

 母体企業の自己責任を基本としつつ、過度の負担により母体企業が経営破綻に陥ることは、地域経済及び雇用への影響や最終的に代行部分の給付責任を負う厚生年金本体の将来の財政への影響という観点から、極力回避すべきことであるため、母体企業の経営への影響にも一定程度配慮した仕組みとする。なお、母体企業の資金調達の問題に関しては、関係省庁とも連携を図っていく。

(註)特例解散
 代行割れとなっている基金が厚労相に特例解散を申請し、認可を受けることにより自主解散すること。また、新たに、代行割れの度合いが一定率以上である等の要件を満たし、かつ、自主的に解散の申請を行わない基金については、厚労相が第三者委員会の議決を経て指定を行い、一定期間内に解散を促す仕組みを導入する。


2.代行制度の段階的縮小及び廃止

 試案では、代行制度は、改正法施行日から10年をかけて段階的に縮小し、最終的には廃止されるとしています。その際、基金が給付していた代行部分は、代行割れの有無にかかわらず、厚生年金本体から全額支給されることになります。縮小及び廃止のプロセスは、次の通りです。

(1)改正法施行日以降の基金新設の停止

(2)施行日~5年後
 
 現存基金で、代行割れしていない基金については、代行返上して確定給付企業年金等へ移行するか、解散のいずれかの選択をします。また、代行割れの基金は、特例解散制度により解散を促されます。

(3)5年経過後~10年後

 施行日から5年経過以降は、残存している基金の各事業所は、これまで基金に納付していた代行部分の保険料(免除保険料)を厚生年金本体に納付するようになります。

(4)施行日から10年後

 施行日から10年経過以降は、残存している基金の代行部分の給付責任が全て国に移り、基金は代行資産を厚生年金本体に納付することになります(10年経過の以前であっても、保有資産が最低責任準備金の一定額を下回った基金は、代行資産を厚生年金本体に納付することになります)。

(5)企業年金連合会

 基金からの中途脱退者及び解散基金の加入員等の代行給付を行っている企業年金連合会も、10年の移行期間をもって代行資産を厚生年金本体に納付します。企業年金連合会は、確定給付企業年金法に基づく組織として再編されます。

(6)解散認可基準(代行返上を含む)の緩和

 ① 代議員会における法定議決要件
  代議員の定数の4分の3以上による議決から代議員の定数の3分の2以上による議決に緩和します。
 
 ② 解散認可申請に際しての事前手続要件
  全事業主の4分の3以上の同意から全事業主の3分の2以上の同意に緩和します。
  全加入員の4分の3以上の同意から全加入員の3分の2以上の同意に緩和します。

 ③ 解散認可申請に際しての理由要件
  母体企業の経営悪化等 → 撤廃(代行返上の場合は、母体企業の経営悪化等の理由要件は課していない)

コメント

非公開コメント

トラックバック

http://yokoteoffice.blog130.fc2.com/tb.php/270-4d6383fd