面白法人カヤックの経営理念

こういう記事を読むと、世の中には面白いことを考える男がいるものだと心底感心してしまいます。おっさんになった証拠なのかもしれません。しかし、伝統的な経営と言うことからはみ出した感じの若い経営者の考えは、何かの参考になるかと思い、同社代表柳澤大輔氏の語録を取り上げてみました。

カヤックと言う会社ですが、「1998年、合資会社カヤックとして創業し、2005年に事業を引き継いで株式会社化。代表取締役は柳澤大輔、貝畑政徳、久場智喜の3名。鎌倉に本社を置き、経営理念は「つくる人を増やす」。カヤックオリジナルのサービスとクライアントサービスを軸にユーザー参加型のECサイトやコミュニティサイトなど、さまざまなWebサイトの企画・開発・運営を行う。」ということです。


1.面白いアイデアを生み出す仕組み

柳澤氏によれば、社員の半分がウェブ技術者で、アイデアを考えるという点では、全員がクリエイターなのだそうです。従って、とにかく面白いアイデアをたくさん考えて、形にしていくことが事業の中核と言うことのようなのです。

では、面白いアイデアをどうやって生み出すのか、その点について柳澤代表は

「アイデアは、すごいものを考えようとすると出てきません。大事なのは、すごくないものをとにかくたくさん出すこと。すごいアイデアを出す人というのは、その何倍もすごくないアイデアを出しています。とにかくたくさん出す。」といっています。

同社はブレインストーミング(Brain Storming)を多用するそうですが、そのやりかたとして3つの決まりごとを重要視していると言っています。

(1)とにかくアイデアの量を出す、
(2)とにかく相手を否定しない、
(3)とにかく相手の意見に乗っかる、の3つです。

「量を出すというのは、とにかく声に出して発言することです。量を出すとさっきまでは思いつかなかった意見が飛び出し、思わぬアイデアがひらめくことがあります。否定しないということは、否定されるとアイデアが出にくくなるからです。量を出すことが大事なのですから、否定してはいけません。そして、他人のアイデアに乗っかることも重要です。だれかのアイデアをさらにふくらませたり、そのアイデアをヒントにしてまったく違った案を出して、一つのアイデアを縦横無尽にかけめぐらせます。」

どうも、島国の人間と言うのは、国土や資源が限られていると言う事実を毎日突きつけられているせいか、小生も含めて潜在意識として量よりも質を重視する傾向が強いように思えるのですが、柳澤氏が言っていることは、アイデアの物量作戦の重要性です。


2.ブレインストーミングの効用と良い会社とは

柳澤代表は、頻繁にブレインストーミングをやることによって、社員のやる気が出てくるのだと言います。

柳澤氏は、よい会社というのは社員にやる気のある会社だと考えています。よい会社の指標としての社員満足度ということについて、代表は敢えて満足よりもやる気が大事と考えています。社員が満足しているということは、その会社の社員たちが現状で十分でこのままがいいということになります。柳澤代表によれば、これでは会社自体が止まってしまっていて、成長性も躍動感も感じることができないと考えているのです。

よく、「顧客満足」か「社員満足」かという議論がありますが、この議論はむしろ不毛な議論で、社員にやる気があって、「顧客満足」を高める方向に社員のやる気が向いているというのがあるべき姿なのだろうと小生も気付かされました。

ブレインストーミングの効用がどんな風に表れて来るのか、柳澤代表は次のように述べています。
「例えばどのようにしたらもっと会社は楽しくなるか? というブレストをみんなでします。出てきたアイデアを実際に採用するかしないかは、どちらでもよくて、実はブレストをやるだけで社員のやる気が全然変わってくるんですね。結果として、会社の雰囲気がすごくよくなります。会社のことを初めて自分のこととして考えたという経験が大事なんです。

確かにその通りと思う反面、出したアイデアが全然採用されない(何も変わらない)と言うことになれば、まじめに意見を言う人が次第に減っていくのではないかとも思います。このあたりは、制度の運用の仕方、リーダー達のリーダーシップに拠るところが大なのだろうと思います。

次に、発言できない人について、次のように述べています。これは、ふざけているようで結構実践的かなと小生などは思ってしまう方なのですが...

「発言ができないのには3つの理由があると思います。

1つ目は、心の中ではアイデアとか内容を思い付いているのに自信がなくて言えない場合です。言ってもしようがない、恥ずかしいというケースですね。この場合は、周りがどれだけフォローできるかが重要です。その人のアイデアを無視しないで、できるだけ拾ってあげる。ときには膨らませてあげる。これを繰り返すと、その人に自信がついてきます。
2つ目は、ほかのことを考えている場合。例えば、ブレスト中に「今日はとんかつが食べたいなあ…」なんて考えている場合です。こんなときは、無理をして建設的な発言をする必要はなく、「とんかつが食べたい」と発言すればいいんです。そこからアイデアが生まれることもありますから。会議室に置いてある新聞の見だしをそのまま言うのでもOKです。これも先輩や上司の方などブレストに慣れた人が手本を示してあげるといいですね。
3つ目は、本当に頭が真っ白になってしまう場合。そのようになったら、誰かの発言をオウム返しのように連呼するだけでも十分場があたたまって活性化してきます。そのほか、口で貢献できないと思ったら、とびきりに面白い格好でブレストに参加するというのでもいいですね! その格好について話しているうちにアイデアが出ることもあります。最初は同期だけとか、気兼ねしないメンバーだけでやるという方法もあります。いきなり変われと言っても難しいので、徐々に時間をかけてアイデアを出すことに慣れていきましょう。」


3.出されたアイデアをどのようにお金に換えるのか

こうして出されたアイデアを会社の収益にどうやって変えていくのか、その仕組みについては、あまり具体的に語られているとは言えませんが、至って正統的な手法をとっているように見受けられます。

つまり、実験的な段階とプロジェクト化する段階という2段階の判断基準があり、プロジェクト化したものに関しては、人件費などの原価を計算して、売上なども見て、しっかりと管理しているそうです。アイデアは誰もが出しますが、まずは新規事業チームを編成して実験的なサービスをつくり、それが成長するとプロジェクト化を検討するという仕組みで、プロジェクト化するかどうかの決定はリーダー層で行うとのことです。


沈黙は金の文化の中で育つ我々には、目から鱗のような話です。しかし、ものすごくないアイデアを物量作戦で出してこないと本当に他人の役に立つ又は興味を引く凄いアイデアはなかなか出てこないというのはわかるような気がします。また、物量作戦を実践するためのブレインストーミングの仕組みは、いいと思いました。

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