改正労働者派遣法

 改正労働者派遣法は既に公布されていますが、施行日は本年10月1日、ただし、労働契約申込みみなし制度については、平成27年10月1日からの施行とされています。本日は、この改正によって正式名称も「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改められる改正労働者派遣法について概観します。なお、今回の改正でも俎上に上せられた「登録型派遣・製造業務派遣の原則禁止」については今後の検討事項とされ、具体的な手直しは見送られました。


1.日雇派遣の原則禁止

 改正法では、日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者派遣)を原則禁止としています(法35条の3 1項)。これは、日雇等短期派遣については、雇用元が雇用管理責任を果たしにくいため違法行為が生じやすく、労働者の保護が十分に行われない傾向にあることを念頭においています。

 専門業務として日雇派遣の原則禁止の例外とされる業務は派遣可能期間の例外26業務より絞られ、(1)ソフトウェア開発、(2)機械設計、(5)事務用機器操作、(6)通訳、翻訳、速記、(7)秘書、(8)ファイリング、(9)調査、(10)財務処理、(11)取引文書作成、(12)デモンストレーション、(13)添乗、(16)受付・案内、(17)研究開発、(18)事務の実施体制の企画、立案、(19)書籍等の制作・編集、(20)広告デザイン、(23)OAインストラクション、(25)セールスエンジニアの営業、金融商品の営業の18業務です。ただし、(16)に駐車場管理などは含まれていません。

 現在派遣可能期間の例外26業務のうち、改正法で日雇派遣の例外とされない業務は、(14)建設物清掃、(15)建設設備運転、(16)駐車場管理等、(24)テレマーケティング、(3)放送機器等操作、(4)放送番組等演出、(21)インテリアコーディネーター、(22)アナウンサー、(26)放送番組等の大道具・小道具です。

 また、日雇派遣の原則禁止の例外として政令で認められる場合は、次のとおりです。
(1)高齢者:日雇労働者が60歳以上
(2)雇用保険法の適用を受けない学生:日雇労働者が定時制の過程に在学する者等を除く学生又は生徒
(3)副業:日雇労働者の収入の額が500万円以上
(4)主たる生計者ではない者:日雇労働者が生計を一にする配偶者等の収入により生計を維持する者であって、世帯収入の額が500万円以上

 派遣元事業主は、労働者を日雇派遣労働者として雇い入れようとするときは、当該労働者が従事する業務が専門業務として日雇派遣の原則禁止の例外とされる業務に該当するのか、又は、当該労働者が日雇派遣の原則禁止の例外として政令で認められる場合に該当しているのか確認する必要があります。

 なお、この規定に遡及効はなく、改正法施行日後に締結される労働者派遣契約に適用されます。


2.グループ企業内派遣の8割規制

 同一グループ内の事業主が派遣先の大半を占めるような場合については、本来は直接雇用すべき者を派遣に切り替えることによって労働条件を切り下げているのではないかという疑いが持たれ不適切であると推定されるため、関係派遣先への派遣割合(関係派遣先へ派遣した労働者の総労働時間をその事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の全ての派遣就業に係る総労働時間で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合をいう。)は、100分の80以下とする規制が設けられました(法23条の2)。

 また、「労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるときは、当該離職の日から起算して1年を経過するまでの間は、当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならない」(法40条の6)として、離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることを禁止しています。


3.無期転換推進措置の努力義務化

 派遣元事業主には、その期間を定めて雇用する派遣労働者又は派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者の希望に応じ、期間を定めないで雇用する派遣労働者として就業させることができるように就業の機会を確保し、又は派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、これらの機会を有期雇用派遣労働者等に提供するなどの努力義務が課せられることになりました(法30条)。

 このほかに、派遣労働者の保護又は待遇改善の試みとして次のような規定が新たに設けられています。
(1)派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮(法30の2)
(2)派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)などの情報公開を義務化(法23条5項)
(3)雇入れ等の際に、派遣労働者に対して、1人当たりの派遣料金の額を明示(法34条の2)
(4)労働者派遣契約の解除の際の、派遣元及び派遣先における派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当等の支払いに要する費用負担等の措置を義務化(法26条1項8号)


4.労働契約申込み「みなし」制度

 違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなされます(法40条の6)

改正法40条の6
労働者派遣の役務の提供を受ける者(国(特定独立行政法人(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人をいう。)を含む。次条において同じ。)及び地方公共団体(特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第2項に規定する特定地方独立行政法人をいう。)を含む。次条において同じ。)の機関を除く。以下この条において同じ。)が次の各号のいずれかに該当する行為を行つた場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し 、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす。ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行つた行為が次の各号のいずれかの行為に該当することを知らず、かつ、知らなかつたことにつき過失がなかつたときは、この限りでない。

一 第4条第3項の規定に違反して派遣労働者を同条第1項各号のずれかに該当する業務(※派遣禁止業務)に従事させること。
二 第24条の2(派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主からの労働者派遣の受入れの禁止)の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。
三 第40条の2第1項の規定(派遣可能期間)に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。
四 この法律又は次節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号(契約の内容)に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること。

2.前項の規定により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働契約の申込みに係る同項に規定する行為が終了した日から1年を経過する日までの間は、当該申込みを撤回することができない。

3.(省略) 
4.(省略)


※派遣禁止業務
①港湾運送
②建 設
③警 備
④医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士等(紹介予定派遣は例外)

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