労働協約と労使協定

1.平成23年「労働協約等実態調査」の結果

 厚生労働省は、5年ごとに実施している平成23年「労働協約等実態調査」(前回は平成18年)の結果をまとめ、先月末に公表しています。
 この調査は、労働環境が変化する中での労働組合と使用者(又は使用者団体)の間で締結される労働協約等の締結状況、締結内容及びその運用等の実態を明らかにすることを目的としています。対象は、民営事業所における労働組合員数30人以上の単位労働組合(下部組織がない労働組合)で、平成23年6月30日現在の状況について7月に調査を行い、4086労働組合のうち2597労働組合(有効回答率63.6%)から有効回答を得たとしています。実態調査結果の要点は、以下の通りです。

(1)労働協約の締結状況
労働組合と使用者(又は使用者団体)の間で「労働協約を締結している」とする労働組合は91.4%(前回89.0%)。

(2)正社員以外の労働者への労働協約の適用状況
 ① 労働協約適用の有無
 パートタイム労働者、有期契約労働者ともに前回から増加。
 労働協約があり、その全部又は一部がパートタイム労働者に適用される:41.9%(前回33.5%)
 労働協約があり、その全部又は一部が有期契約労働者に適用される:45.0%(前回42.7%)

 ② 労働協約が適用される事項 【新規調査項目】
 パートタイム労働者に適用される事項(複数回答)は高い順に「労働時間・休日・休暇に関する事項」90.4%、「賃金に関する事項」78.6%。
 有期契約労働者に適用される事項(複数回答)は高い順に「労働時間・休日・休暇に関する事項」93.6%。「賃金に関する事項」79.0%。

(3)労働協約等の運営状況
 ① 人事に関する事項のうち、労働組合の関与の程度が大きい事項は「解雇」45.7%(前回52.7%)、「懲戒処分」43.4%(前回48.8%)。

 ② 組合費のチェックオフ(使用者が組合員の賃金から組合費その他の労働組合の徴収金を天引き控除し、労働組合へ直接渡すことをいう)が「行われている」労働組合は91.0%(前回93.5%)。


2.労働協約と労使協定

 さて、良い機会なので、ここでしばしば混乱する「労働協約」と「労使協定」の定義をおさらいしておきたいと思います。

 まず、労働協約。これは、労働組合と使用者(又は使用者団体)の間で結ばれる労働条件などに関する取り決めのうち、労働組合法に則って締結されたものとされます。具体的には、労働組合による団体交渉によって、労使双方が取り決めた労働条件、福利厚生、災害補償及びその他の事項について署名又は記名捺印した書面です。ここから言えることは、労働組合のない会社の場合、労働協約は存在しないということです。

 そして、労働協約で取り決めた労働条件及びその他の労働者の待遇に関する事項に違反する労働契約は、該当する部分が無効になるという効果があります。また、労働協約の有効期間は3年とされています。

 労働協約が労働組合と使用者(又は使用者団体)の間で結ばれる契約であることから、原則として当事者である労働組合の組合員以外の労働者に適用されることはありません。ただし、一工場事業所に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一つの労働協約の適用を受けるに至ったとき、当該工場事業所に使用される他の同種の労働者に関しても当該労働協約が適用されるといった例外規定があります。

 なお、国家公務員及び地方公務員の労働組合には、労働協約締結権がそもそも認められていません。

 一方、労使協定は、労働者と使用者との間の書面による協定であって、その内容は、労働基準法、育児介護休業法、高年齢者雇用安定法で定められた個々の事項について、労使の合意の下で適用除外を宣言することによって免罰効果を獲得するものといわれています。ここでいう労働者とは、事業場に労働者の過半数で組織される労働組合が存在する場合には当該労働組合、過半数で組織される労組が存在しない場合には労働者の過半数を代表する者を意味しています。

 労働基準法で「労働協約」が必要とされる事項は、賃金の通貨払いの例外としての現物給与だけです。一方、「労使協定」が必要とされるのは、以下の項目です。

(1)任意貯蓄(労基署届出)
(2)賃金の一部控除(社宅使用料、社内預金、組合費等)
(3)1箇月単位の変形労働時間制(労基署届出)
(4)1年単位の変形労働時間制(労基署届出)
(5)1週間単位の非定型的変形労働時間制(労基署届出)
(6)フレックスタイム制(労基署届出不要)
(7)一斉休暇の適用除外
(8)時間外労働及び休日労働
(9)事業場外労働に関するみなし労働時間制
(10)専門業務型裁量労働制
(11)年次有給休暇の計画的付与(5日を超える部分)
(12)年次有給休暇期間中の賃金の支払い方法(準報酬月額方式)
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