Cash Balance 企業年金

1.企業年金における年金額

 確定給付型の企業年金の場合、給付額は掛金や年金資産の運用状況にかかわらず、一定額に決定され、その額は原則として不変です。それでは、確定給付型企業年金の年金額は、どのように決定されるのでしょうか。企業年金と退職一時金とは、非常に近い親類縁者の関係なので、支給額を決定する仕組みもよく似ています。おおよそ次のように分類されると考えます。

(1)定額制: 加入者期間に応じて定めた額に規約で定める数値を乗じて導かれた定額を支給
  (例)給付額=加入者期間×10000円、加入者期間10年以上一律200万円など
(2)最終給与比例: 最終給与額×(年齢、加入者期間、等級、退職事由などに対応する支給乗率)
(3)累計給与比例: 累計給与額×(年齢、加入者期間、等級、退職事由などに対応する支給乗率)
(4)平均給与比例: 平均給与額×(年齢、加入者期間、等級、退職事由などに対応する支給乗率)
(5)ポイント制: (職能ポイントの累計+勤続ポイントの累計)×ポイント単価
(6)Cash Balance: 後 述


2.ポイント制

 ポイント制は、給付額の基準として職能資格に対応して定められた「職能ポイント」及び勤続期間(加入者期間)に対応して定められた「勤続ポイント」などを用いて、給付額を決定する制度です。具体的には、これらのポイントを1年当たりの点数で定め、ポイントの累計にポイント単価を乗じて求められる金額を年金支給額とする仕組みです。

 ポイント制を導入する第一の理由は、「年金又は退職一時金を賃金連動から分離できる」点にあるとされています。賃上げによる年金又は退職一時金の自然増を回避することができるため、退職給付を賃金体系にとらわれずに設計することができるようになります。第二に、ポイントの決め方にもよりますが、従業員の「企業への貢献度を反映した退職給付制度を構築することができる」点があります。第三に、ポイントの管理が容易で、会社にとっても従業員にとっても、退職給付の算定が容易にできる点が挙げられます。

 逆に不都合な点としては、第一にベースアップなどに連動しなくなるため、物価上昇及び賃上げが進んだ場合には、給付単価の見直しによる給付額引上げに関して適切な判断が求められるようになることです。第二に、ポイント制を導入するためには「職能資格制度の導入」が不可欠になるという点です。ポイント制の前提となる職能資格制度を適切に運営していくためには、それなりの経験及び知見が要求されることになります。第三に、ポイント制への移行が就業規則の不利益変更につながる場合には、労使の合意が要求されることです。


3.Cash Balance

 純粋な確定給付型企業年金の年金額は、前述の通り一定額に決定され、原則的には不変です。換言すると、掛金及びその掛金を積み上げた年金原資に係る想定金利が固定金利で不変と言うことができます。これに対してCash Balanceでは、加入中、待機中、さらに受給中にも変動する予め定めた指標金利に応じて付利するという考え方を採用しています。

 具体的には、加入者ごとに仮想個人勘定を設定し、この口座に積み立てられたと想定される残高を元に年金の支給額を決める仕組みです。積立分は、毎期付与される元本部分と利息部分からなり、利息部分は指標金利に応じて決定されるため、年金原資が積み立てる段階から金利変動に連動してある程度増減する仕組みになっています。同様に退職後から裁定(年金額決定)時までの待機期間も変動金利とします。

 そして、年金の給付額は、こうして決定される年金原資を給付期間及び給付利率に対応する年金原価率で除して求められる金額とします。その際、年金原価率は、指標金利に応じて一定期間ごとに改定して行く仕組みを採用しているために、年金給付額は確定給付年金とは言え、一定の範囲で変動することになります。ただし、指標金利には下限及び上限が設けられるのが一般的で、特に下限金利の設定により、下限金利時に想定される年金額を下回る水準に給付額が落ち込まないように配慮されています。

 この指標金利に応じて年金給付額を変動させる仕組みを、退職後の待機期間及び裁定後の年金給付時又は裁定後の年金給付時のみに採用している仕組みは疑似CBと呼称されています。

 また、指標金利には、(1)国債利回り、(2)国債の利回り+1.0%、-0.5%のような設定、(3)(1)又は(2)に上下限を加えた設定などが用いられています。

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