受給資格期間短縮のための法律案等について

 社会保障と税の一体改革の一環として、「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」が3月に国会に提出されています。例によって施し的ばら撒きを行って国民の依存体質を促進する改悪案です。そして、その財源として消費税増税をあてにした法案であり、消費税増税が阻止できれば、全てが無に帰す内容ではありますが、一応まとめておけば、後から見直すのにも便利かと思い、要点をまとめておくことにしました。


1.受給資格期間の短縮

 現行では、原則25年とされる老齢及び退縮年金の受給資格期間を将来の無年金者の発生を抑制する見地から、10年に短縮します。対象となる年金は、老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金、寡婦年金等です。現在無年金である高齢者に対しても、改正後の受給資格期間を満たす場合には、経過措置として、施行日以降、納付済期間に応じた年金支給を行います。ただし、遺族年金における老齢年金の受給資格を満たした者が死亡した場合に支給される長期要件において、10年の納付で老齢年金の資格期間を満たしたから長期要件を満たしているとはしないで、現行通り25年のままとします。施行時期は、税制抜本改革の施行時期に合わせて、平成27年10月とします。

 遺族年金の長期要件が25年据置きというのは、何だかとてもちぐはぐな感じがします。また、最低保障年金の給付と相俟って、10年保険料を納めて、あとの30年間未納を選択する人を増やすだけではないのかという指摘が元厚生省年金局のOBからも指摘されています(東京都社会保険労務士会会報377号11頁)。


2.低所得者への加算

 低所得である老齢基礎年金受給者に対して、(1)月額6000円の定額加算、(2)過去の免除期間について、老齢基礎年金の6分の1相当額の加算といった福祉的な加算を行います。低所得者とは、家族全員の市町村税が非課税であり、かつ、年金収入及びその他所得金額が老齢基礎年金の満額以下である者とします。

 また、所得制限を設けた上で、障害基礎年金の受給権者については、2級で月額6000円、1級で7500円の加算を、遺族基礎年金については、月額6000円の加算を行います。施行時期は、税制抜本改革の施行時期に合わせて、平成27年10月とします。


3.高所得者の年金額調整

 世代内、世代間の公平を図る観点から、高所得の基礎年金受給者の老齢基礎年金額について、国庫負担相当額を対象に支給停止を行います。老齢基礎年金受給者について、所得550万円(年収850万円相当)を超える場合に、老齢基礎年金の一部を支給停止し、所得950万円(年収1300万円相当)以上の者については、老齢基礎年金額の半額を支給停止とします。


4.基礎年金国庫負担2分の1を26年度から恒久化等

 基礎年金国庫負担について、消費税の8%への引上げを目論んでいる平成26年度を所要の安定財源の確保が図られる年度として特定しています。また、平成24年度の基礎年金国庫負担ついては、交付国債の発行及び交付によって、2分の1と36.5%との差額を負担することとしています。なお、この交付国債の償還財源としても消費税増税による税収を充てることを見込んでいます。


5.短時間労働者に対する厚生年金及び健康保険の適用拡大

 短時間労働者に対する厚生年金及び健康保険の適用について、現行では週所定労働時間30時間以上となっています。改正案では、従業員数501人以上の事業所について(1)週所定労働時間20時間以上、(2)月額賃金78000円(年収94万円)以上、(3)勤務期間1年以上、の要件を満たす者に適用拡大するとしています。ただし、学生は、以上の要件を満たしていたとしても適用除外になります。


6.産休期間中の保険料免除

 産前産後休業を取得した者について、厚生年金保険料を免除し、産前産後休業終了後に育児等を理由に報酬が低下した場合に、定時決定時まで保険料負担が改定前のまま据置きとならないよう、産前産後休業終了後の3箇月の報酬月額を基に、標準報酬月額を改定します。

 ちなみに、従来から同期間中は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が出産手当金として支給されています。会社を休んだ期間について、事業主から報酬を受けられる場合は、その報酬の額を控除した額が出産手当金として支給されます。


7.遺族基礎年金の父子家庭への拡大等

(1)遺族基礎年金の支給対象を「子のある妻」から「子のある配偶者」とします。ただし、第3号被保険者が死亡した場合には、遺族基礎年金が支給されることはありません。

(2)未支給年金の請求権者を受給者と生計を同じくする2親等以内の親族から3親等以内の親族(甥、姪、子の配偶者など)にまで拡げます。

(3)国民年金保険料免除の遡り期間について、現行の直近の7月までから、保険料の納付が可能である過去2年間分まで拡げます。

(4)繰下げ支給の年金を70歳を過ぎてから請求した場合、請求時からではなく、70歳時から効力発生とします。

(5)障害年金の額改定請求に係る1年間の待期期間について、障害の程度が明らかな場合特例を創設します。

(6)付加保険料の納付期限を翌月末から2年間に延長します。

(7)国民年金に任意加入して保険料を未納にした期間につき、元々任意加入しなかった期間とみなして合算対象期間に算入します。

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