改正労働者派遣法

 派遣規制強化を謳い、当初、製造業への派遣原則禁止及び登録型派遣の原則禁止という企業にとっては厳しい内容の答申が出されて話題になった労働者派遣法の改正ですが、その改正労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)が今国会で可決成立し、平成24年4月6日に公布されました。改正法の主要部分については、公布の日から起算して6箇月以内に、また労働契約申込みみなし制度等については、改正法の施行日から3年を経過した日から施行されることになっています。


1.改正労働者派遣法の概要 

 労働政策審議会の当初の答申の骨子(註1)
(1)登録型派遣:原則禁止
(2)製造業派遣:常用型を除き原則禁止
(3)日雇い派遣:原則禁止
(4)均等待遇:派遣労働者と派遣先社員の待遇を同じようにするような規定を設ける
(5)マージン率の情報公開:派遣料金の改定時などに派遣会社は料金を明らかにする
(6)違法派遣における直接雇用の促進:本人が希望すれば直接雇用に切り替えられる制度の創設
(7)法律の名称及び目的:「派遣労働者の保護」を明記する
(8)(1)、(2)は公布日から3年以内((1)は一般事務などの業務は+2年の暫定措置)、その他は6箇月以内


(1)登録型派遣の原則禁止
 常時雇用する労働者でない者についての労働者派遣の禁止の規定については、全て削除されています。

(2)労働者派遣事業を行ってはならない業務の追加(註2)
 製造業について常用型を除き原則禁止としていましたが、この項目も削除されました。

(3)日雇労働者についての労働者派遣の禁止
 日雇労働者の定義を、日々又は30日以内の期間を定めて雇用される者とし、従事させても当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として政令で定める業務以外については、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行ってはならないものとしています。

(4)有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等
 「派遣元事業主は、その期間を定めて雇用する派遣労働者又は派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者(相当期間にわたり期間を定めて雇用する派遣労働者であった者その他の期間を定めないで雇用される労働者への転換を推進することが適当であると厚労省令で定める者に限る。「有期雇用派遣労働者等」という)の希望に応じ、」期間の定めのない雇用機会の提供、有期雇用派遣労働者等を紹介予定派遣の対象とするなどの措置を講じるように努めなければならなくなりました。

(4)均衡を考慮した待遇確保
 「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案し、その賃金を決定するように配慮しなければならないものとすること。」及び「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者について、教育訓練及び福利厚生の実施その他当該派遣労働者の円滑な派遣就業の確保のために必要な措置を講ずるよう配慮しなければならないものとすること。」とされ、さらに「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者等について、希望、能力及び経験に応じた就業及び教育訓練の機会の確保等必要な措置を講じ、これらの者の福祉の増進を図るように努めなければならないものとすること。」と規定しています。

(5)待遇に関する事項等の説明、労働者派遣料金額の明示
 「派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、厚労省令で定めるところにより、当該労働者を派遣労働者として雇用した場合における当該労働者の賃金の額の見込みその他の待遇に関する事項その他の厚労省令で定める事項を説明しなければならないものとすること。」とされ、

 また、「派遣元事業主は、次に掲げる場合には、次に定める労働者に対し、当該労働者に係る労働者派遣料金額を明示しなければならないこと
 ①労働者を派遣労働者として雇い入れようとする場合
  当該労働者
 ②労働者派遣をしようとする場合及び労働者派遣料金額を変更する場合
  当該労働者派遣に係る派遣労働者 」と規定しています。


2.労働契約申込みみなし制度の創設など

(1)期間を定めないで雇用される労働者に係る特定を目的とする行為
 「労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならないこととする規定について、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者が当該労働者派遣に係る派遣労働者を期間を定めないで雇用される労働者の中から特定することにつき当該労働者派遣契約の当事者が合意したときは、これを適用しないものとする」という規定は、平成22年の法案提出時に削除されました。

(2)期間を定めないで雇用される労働者に係る派遣先の労働契約申込義務
 「派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けることができる期間に制限のない業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣労働者を受け入れている場合の、当該派遣労働者に対し、労働契約の申込みをしなければならないこととする規定について、当該派遣労働者について期間を定めないで雇用する労働者である旨の通知を受けている場合は、これを適用しないものとすること。」としています。

(3)労働契約申込みみなし制度の創設
(この部分の施行日は、法律の施行日から3年を経過した日となっています。)

 ①労働者派遣の役務の提供を受ける者が次のいずれかに該当する行為を行った場合には、その時点において、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、その時点における当該派遣労働者に係る労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす。ただし、労働者派遣の役務の提供を受ける者が、その行った行為が次のいずれかの行為に該当することを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がなかったときは、この限りでないとすること。
(イ)第4条第3項の規定に違反して派遣労働者を同条第1項各号のいずれかに該当する業務に従事させること(註2)。
(ロ)第24条の2の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。
(ハ)第40条の2第1項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。
(ニ)この法律又は第4節の規定により適用される法律の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、第26条第1項各号に掲げる事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること。

 ② ①により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者は、当該労働契約の申込みに係る①に規定する行為が終了した日から1年を経過する日までの間は、当該申込みを撤回することができないものとすること。

 ③ ①により労働契約の申込みをしたものとみなされた労働者派遣の役務の提供を受ける者が、当該申込みに対して②の期間内に承諾する旨又は承諾しない旨の意思表示を受けなかったときは、当該申込みは、その効力を失うものとすること。

 ④ ①により申し込まれたものとみなされた労働契約に係る派遣労働者に係る労働者派遣をする事業主は、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者から求めがあった場合においては、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者に対し、速やかに、①により労働契約の申込みをしたものとみなされた時点における当該派遣労働者に係る労働条件の内容を通知しなければならないものとすること。

(註1)労働者派遣
(註2)派遣労働が禁止されている業種

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