休日の振替と割増賃金

1.休日の振替の周辺知識

 就業規則について規定している労働基準法89条では、

 第1号「始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項」
 第2号「賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」
 第3号「退職に関する事項(解雇事由を含む。)」

の3項目について必ず就業規則に記載されなければならない事項とされています。休日については、第1号に含まれる絶対的記載事項であることが分かります。

 また、休日の振替とは、予め就業規則等で休日と定められた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とすることです。休日の振替をすることについて就業規則等に休日の振替ができる旨の規定を設けることが必要で、これによって休日を振替えた場合、当該休日は労働日となり、休日に労働させたことにはならなくなるのです。この規定を置くことによって、土日休日の週休2日制を採用している事業所が、仮にある週の土日を労働日として、翌週の月火に振替えることは可能になるし、同じ起算日からの4週間以内であれば、やむを得ず翌々週の月火に振替えることもできることになります。つまり、週休制の会社が必ず週1回の法定休日を従業員に与えなければならないことの例外になるわけです。


2.休日の振替を行う場合の注意点

 ところで、就業規則について書かれた一般的な教科書などを見ると、「始業及び終業の時刻」及び「休日」については、条文の見本付きで丁寧に説明されているのが通常です。「始業及び終業の時刻」に休憩時間について書かれた条文が加われば、必然的に1日の所定労働時間が定まり、さらに「休日」が分かれば、1日の所定労働時間×1週間の所定労働日数 = 1週間の所定労働時間も求められます。

 また、法定「休日」については、休日を毎週1回又は4週間を通じて4日以上と労基法で定められていますが、休日をどのように特定するかまでは特に決められているわけではありません。さらに、週休制を採用している大部分の事業所の場合、1週間の起算日を特に意識して決めている場合の方がむしろ少数派なのではないかと思われます。

 これで通常は、特段問題はなさそうに思われますが、休日の振替を行ったとき、次のようなことを意識しなければならないことがあります。例えば、土日が休日の週休2日制を採用する企業で、始業時刻9時、終業時刻18時、途中昼休みが1時間の事業所があったとします。この会社の従業員Aが、毎日8時間労働、残業なしで来たある週末、突発的な注文への対応が必要になって、土曜日に休日労働しなければならなくなった場合です。前日の金曜日に翌週水曜日との振替を人事・総務などに届出ていたとしても、この会社の1週間が日曜日から起算される1週間であるとすると、当該土曜日の労働は、週40時間の法定労働時間を超える時間外労働として取り扱うことになります。

 これを避けるためには、1週間の起算日を敢えて土曜日と決めておくことです。これによって、振替えられて労働日となった土曜日と翌週の水曜日は、1週間の時間外の算定においても完全に振替えられたことになります。つまり、「休日を振替える場合には、原則として被振替日から1週間以内の特定日を予め振替休日と指定した上で、これを行う」などと就業規則に定めることが多いと思いますが、可能な限り、起算日を同じくする週の中で振替えることが割増賃金の支払いを回避するという意味で最も効果的な方法でもある訳です。

2011_@成田山 011A

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