パートタイム労働者に対する有休の比例付与など

1.有休の比例付与とは何か

 所定労働日数の少ないパートタイム労働者等に対しても、6箇月継続勤務し、全労働日(所定労働日数)の8割以上出勤した場合、年次有給休暇を与えなければなりません。ただし、所定労働日数の少ない労働者に対しては、その所定労働日数に比例した日数の年休を与えることでよしとしています。これが、年次有給休暇の比例付与ですが、比例付与の対象となる労働者は、次のいずれかに該当する者でなければなりません。

(1)1週間の所定労働日数が4日以下
(2)週以外の期間によって所定労働日数が定められている労働者については、1年間の所定労働日数が216日以下

 注意すべき点は、(1)又は(2)に該当しても、1週間の所定労働時間が30時間以上のときは、通常の労働者と同じ年休を与えなければならない点です。例えば、週4日勤務で1日8時間の所定労働時間である場合、週32時間になりますから、6箇月経過時に付与しなければならない有休の日数は7日ではなく10日となります。また、週5日勤務であっても、月当たりのの労働日数を18日まで減らすことが可能ならば、年所定労働日数が216日となりますので、1週間の所定労働時間が30時間未満であれば、6箇月経過時に付与しなければならない有休日数は7日でよいことになります。

20111118_有給比例付与

 次に、労働条件が変更された場合の付与日数についてですが、基準日における労働条件で判断します。例えば、週所定労働日数が2日の労働者が、丁度6箇月目に週5日勤務に変更になったとき、基準日の時点で週5日勤務であるために年休は10日になります。また、定年後の再雇用では、それまでの労働契約が終了となり、引き続いて新しい労働契約が締結されますが、一旦退職したかどうか、退職金の支給があったかどうかを問わず、「実質的に労働関係が継続」していれば、年休の発生に関しては、継続勤務として取り扱うとされています。一方、退職から再雇用までの間に相当程度の断続期間が見られる場合、年休の計算は再雇用の時点からやり直しとなります。


2.有休取得時の賃金

 ところで、有休取得時の賃金については、以下の3つのうちから選択することが認められています。

(1)平均賃金
(2)所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金
(3)健康保険法における平均標準報酬日額

 実務的には、「(2)所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金」を使っている場合が多いようですが、少々手間がかかるものの平均賃金を使うこともできます。例えば、時給制で働くパート労働者の時給が1000円、所定労働時間が8時間で月12日勤務とします。この場合、「所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金」とした場合、有休取得時の賃金は8000円となります。しかし、平均賃金を有休取得時の賃金と定めた場合には、平均賃金が1000×8時間×12日×3箇月÷総歴日数(90日以上) ≒ 3200円となります。ただし、この金額は、時給制又は日給制などの最低保証額8000×0.6 = 4800円を下回るため、この4800円が有休取得時の賃金となります。

 そうすると、パート労働者の場合、「働けば全額、有休取得の場合6割」となります。しかし、有休取得時の賃金を「所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金」から「平均賃金」に変更することは、就業規則の不利益変更とされる可能性があり、労働者に周知した上でその合意を得るなどの事前準備が必須になります。


3.退職前の有休一括請求への対処

 退職を申し出た者が、退職前に残りの有休の全ての日数分を取得して退職する場合、引継ぎなどのための時間が取れなくなって、業務の継続に支障をきたすことがあります。しかし、この場合には、労働者の有休請求に対して、会社が唯一行使できる時季変更権を行使することが実質的にできない状態になります。

 そこで、退職申出者と事前に交渉して退職した後に有休の買上げを約してしまうことが考えられます。すなわち、有休の買上げは原則として認められていませんが、退職後であれば、権利が消滅しているため本来の有休は残っておらず、あるとすれば退職時まであった有休取得権の残滓のようなものがあるだけで、これを買上げたとしても何ら違法ではない、と考えられるのです。また、有休取得の場合には、前述の通り「所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金」などを支払わなければならないわけですが、買上げの場合には、支払額についての定めはないので、当事者間で協議して決めることも可能になってきます。

コメント

パートタイム労働者の有休

パートタイム労働者の中には、本文の例のように一日の所定労働時間が固定していない者もいます。このような場合でも使えるのは(1)平均賃金です。

2011年12月13日 09:41 from ヨコテ URL

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